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SaaS事業向けマーケティングガイド-顧客を育成するリードナーチャリング手法とは

こんにちは、CROHackです。

リードを獲得してナーチャリング(育成)し、成約を得るというマーケティングファネルを構築することで、効果的なマーケティングが行えます。

BtoBのSaaS事業は、従来のパッケージ形式で端末にシステムをインストールさせるものと比べて、初期費用やランニングコストを大幅に抑えられます。
その一方で、利用する従業員の人数に合わせた契約が発生するため、気軽に契約してくれるわけではありません。

そこで今回のnoteでは、獲得したリード顧客を育成していくリードナーチャリングに注目して、なぜリードナーチャリングが重要なのかとその具体的な手法などを解説していきます。

なお、リードの獲得について課題を持っている方は、「SaaS事業向けマーケティングガイド-リード獲得したいなら押さえておくべき手法」の記事からお読みください。

-リードナーチャリング(顧客育成)とは

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引用:BOXIL

リードナーチャリングとは、直訳すると「見込み顧客の育成」という意味になります。

具体的には、広告や検索エンジン経由などで獲得した自社サービスに興味を持っているリード顧客に対し、必要であろう情報や価値を提供し、顧客の求めているタイミングで自社製品やサービスの案内ができるよう、関係性を構築していくことがリードナーチャリングです。

テレアポやテレマが主流だった時代は、リード顧客の獲得手法は同じであったとしても、獲得したリードにはすぐに成約を求めて電話やアポイントを設定していました。
しかし、どこの企業もコストを抑えようとしている現代においては、顧客が求めていないタイミングでのクロージングやアポイントは迷惑となるケースが多く、顧客との関係性を築いていくリードナーチャリングという概念が浸透していきました。

リードナーチャリングには中長期的な視点が必要で、効果に即効性を求めると必ずと言っていいほど失敗することになります。

-SaaS事業におけるリードナーチャリングの重要性

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ここでは、なぜSaaS事業においてリードナーチャリングが必要とされているのか、その重要性とメリットについて解説していきます。

冒頭でもお伝えした通り、企業のシステムやサービス導入のハードルは年々高くなっており、リード顧客の購買プロセスは長期化・厳格化しているため、営業だけがリード顧客のフォローをする場合、契約につながらないケースが増えています。
そこで、リードナーチャリングで顧客を育成するによって、厳しい状況下でも成約に近づけることが可能になるのです。

<SaaS事業にリードナーチャリングが重要であるポイント>
SaaS事業にリードナーチャリングが重要であるポイントは、以下の3点です。

・受動的から能動的情報収集への変化
・リード獲得方法の多様化
・検討期間の長期化

・受動的から能動的情報収集への変化
従来のテレアポやテレマなどの手法は、顧客が現時点で求めていない情報を一方的に事業会社側から提供するため、顧客からすると「受動的な情報収集」に該当します。
一方で、リードナーチャリングは顧客が必要としているであろうタイミングで情報を発信するため、「能動的な情報収集」として自社との接触を増やすことができます。

・リード獲得方法の多様化
インターネットでの情報収集が主流となった現代では、従来とは比べものにならないほどリードの獲得手法が多様化しています。これは、事業会社にとって大きなメリットではありますが、同時に確度の低いリード顧客の割合も増えるようになっています。

現在では獲得したリードのうち、営業活動をするに値しない割合が75%にのぼると言われています。
AISCEAS(アイシーズ)の視点で考えると、資料ダウンロードをしたり、展示会に来場したりする方は、まだまだInterest(関心)や Search(検索)の段階で留まっています。ここからAction(購買)までもっていくためには時間を要するため、リードナーチャリングによって確度の高い顧客を増やしていく必要があります。

購買行動モデル「AISCEAS」

・検討期間の長期化
BtoBのSaaS事業の場合、検討期間が半年から数年と長期になるケースも少なくありません。その間、営業一人がすべてを対応するのは非効率的で、顧客としても検討段階に上がっていない段階での営業は迷惑となります。

<リードナーチャリングのメリット>
ここまでのポイントを踏まえて、リードナーチャリングのメリットには以下のような点が挙げられます。

・長期フォローが仕組み化できる
・すでにある資産を活用できる
・顧客のタイミングにあわせたアプローチができる
・休眠顧客や失注顧客の再アプローチができる

このようなメリットからも、SaaS事業においてはリードナーチャリングを重要視し、獲得したリードを大切に育てていくことが、効果的なマーケティングのカギとなります。

-リードナーチャリングに効果的な顧客分析

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リードナーチャリングでリード顧客と適切に関係を構築していくためには、顧客分析が重要です。
顧客のニーズやステータスを把握しておかなければ、必要な情報提供はできません。

<リードナーチャリングの顧客分析>
リードナーチャリングに効果的な顧客分析をするうえで重要なポイントは、以下の5点です。

・リード顧客の理解
・カスタマージャーニーの把握
・リード顧客の優先順位
・顧客の購入頻度
・顧客の在籍期間

・リード顧客の理解
まずは、リード顧客の理解を深めていきます。MAツールで管理できる基本情報だけではなく、どのような点に課題を感じているのか、なぜSaaSの導入を検討しているのかなど、顧客ごとに異なるニーズをキャッチできると提供すべき情報やアプローチの方法が見えてきます。

・カスタマージャーニーの把握
カスタマージャーニー、つまり顧客のステータスを時系列ごとに把握しておくことで、無駄のない効果的な情報提供やアプローチが可能になります。
前述した通り、顧客ごとにステータスやニーズは異なるので、すべて同じ対応をとるのは悪手ですが、カスタマージャーニーに基づいたマーケティングを行うことによって効率化が進みます。

・リード顧客の優先順位
リード顧客と一括りにしても、購入意欲は企業によってさまざまで、具体的にツールの選定を行なっているリード顧客もいれば、情報収集段階のリード顧客もいます。
そこで重要となるのがリード顧客の優先順位づけです。リード顧客をスコアリングし、スコアが高い顧客から成約に向けたアプローチをしていくと、無駄なリソースをかけず効率的にマーケティングを行えます。

・顧客の購入頻度
顧客分析で活用できる指標に「RFM分析」があります。

Recenry:最終購入日
Frequency:購入頻度
Monetary:購入金額

これら3つの観点から、優良顧客・リード顧客・新規顧客・離反顧客の4つに顧客を分類し、それぞれの分類に合わせたリードナーチャリングを行なっていきます。

・顧客の在籍期間
RFM分析と同様に、顧客分析で使われる指標に「CPM分析」という指標もあります。
CPMとは、Customer Portfolio Management(顧客ポートフォリオマネージメント)の略称で、初回購入日から最終購入日までの期間・最終購入日からの経過日数を分析することで、顧客を以下の10のセグメントに分類します。

1. 初回現役客
2. よちよち現役客
3. コツコツ現役客
4. 流行現役客
5. 優良現役客
6. 初回離脱客
7. よちよち離脱客
8. コツコツ離脱客
9. 流行離脱客
10. 優良離脱客

RFM分析よりも細かくセグメントを分ける必要はありますが、より正確なアプローチが可能になります。

-効果的なSaaS事業向けリードナーチャリングとは

ここからは、SaaS事業における効果的なリードナーチャリングの手法についてご紹介していきます。

顧客のステータスやニーズ、セグメントに合わせて手法を選定することで、効果的なリードナーチャリングが可能です。

<リードナーチャリング手法>
リードナーチャリングの手法は、大きく以下の5つに分けられます。

・メールマガジン
・セミナー
・コンテンツマーケティング
・SNS
・ホワイトペーパー

・メールマガジン
メルマガ配信はリードナーチャリングの手法として効果的です。顧客分析と組み合わせて、全てのリード顧客に同一の内容を送るのではなく、セグメントごとにニーズの高いであろう内容を配信することで、メルマガも開封されやすくなるでしょう。

タイトルを工夫するのはメルマガの基本ですが、顧客の期待を裏切らないだけの価値をコンテンツとして提供できれば、「この会社のメルマガは有益だ」という認知を獲得することが可能です。

・セミナー
セミナーへ参加してくれる顧客は自社への関心が高く、成約に近いリード顧客と判断できます。「先日はセミナーへのご参加ありがとうございました」という切り口で、リード顧客との接触を図ることも可能です。

さらに近年では、Webセミナー(ウェビナー)などが主流になってきており、セミナー開催のハードルも下がってきています。

・コンテンツマーケティング
リード獲得、リードジェネレーション、カスタマーサクセスと、幅広いセグメントの顧客に対してアプローチできるのがコンテンツマーケティングです。オンラインマーケティングの基本と言っても過言ではなく、SaaS事業であれば行わない選択肢はないでしょう。

・SNS
コンテンツマーケティングはオウンドメディア(ブログ)だけのものではありません。リード顧客との関係性の構築という観点でも活用することが可能です。例えば、TwitterやFacebookなどのSNSでも情報発信することで、オウンドメディアでは接触を図ることのできなかった層のユーザーと接点を持てます。

・ホワイトペーパー
コンテンツマーケティングで集客したユーザーをリード顧客として獲得する際や、リード顧客が具体的にサービスの導入を検討するために活用するのがホワイトペーパーです。

ホワイトペーパーは、サービスにおける具体的な情報提供を行なった上で、「課題や問題を解決するために自社サービスが活用できる」と判断できるように作成することがポイントです。

<アプローチの流れ>
SaaS事業における、集客からクロージングまでの流れは以下の通りです。

アプローチの流れ

【集客】コンテンツマーケティング

【リード獲得】ホワイトペーパー

【リード育成】メールマガジン、セミナー、SNS

【クロージング】商談

もちろん、サービスの特性や顧客の属性によってアプローチを変えていく必要はありますので、こちらを基準に適宜サービスに合うよう最適化していくとよいでしょう。

-まとめ

年々、リードナーチャリングの重要性は高まっており、テレワークの普及などの影響もありこの流れは今後さらに加速していくと予想されます。
ぜひこの機会にリードナーチャリングの体制を自社で構築し、顧客のセグメントに合わせたアプローチができる組織にしていきましょう。


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