CRORadio_新規事業の罠シリーズ#1
CRORadioはじめました
CRORadioは、CROHack初の音声メインコンテンツです。
アドバイザリーの黒澤さん(@KurosawaTomoki)にモデレーターになっていただき、編集長の松尾(@daisukemo)との対談形式でお送りします。
YouTubeリンク先のラジオコンテンツでは、1テーマ約10分程度に2枚の静止画のみ出しています。画面を見ずに音声を聞き流すだけで学びを得られるコンテンツです。
この記事は、音声コンテンツをわかりやすく文字に起こした記事です。音声より文字で情報をキャッチしたい方におススメです。この記事では、最後に「収録後記」として収録の際の小噺や、時間の都合上編集でカットしてしまったお話なども紹介します。
ダイジェスト解説
ラジオ音声を聞きながらお楽しみください。
YouTubeまたはSpotifyでお聞きいただけます。
松尾
この音声メディアでは、「事業開発×●●」として、事業開発領域をメインテーマとしてお届けしようかなと思っています。
これまでnoteの記事媒体では、マーケティングや営業のテーマの記事や、反響も多かったのですが、事業開発という領域では「他にコンテンツが少ないので参考になった」というお声が多かったんです。
黒澤
事業開発という少しニッチでハードルが高そうに見えるテーマも、実はこういった視点を持つといいよとか、実はこのポイントを押さえればとか、マーケティング思考も役に立つよ、というようなお話ができるといいですね。
音声メディアならではの記事にはできないようなお話もふんだんに入れていければなと思っています!
松尾
まず、シリーズ1回目としてお話したいのは、事業開発ってなんぞや?そのもののお話です。新規事業は何をすれば成功するかではなく、何をしたから失敗したかというお話です。
詳細記事も併せてお読みください
黒澤
負けから入ると。事例というと、成功事例を見たくなりますよね。あそこはなぜ成功したのか?それをどう自分たちで再現できるのかとか。
松尾
そうなんです。でもそれが間違いで。
実は「約30%の企業しか新規事業のKPIを達成していない」というデータがあります。KPIはプロセス目標なので(例えば年内にこの商品のプロトタイプを作るなども含む)事業化まで達成できた企業はもっと少ないはずです。
そうなると、世の中に出ている成功事例の情報ってそのたった3割以下の成功事例ということです。そこに再現性はあるのか?です。
であれば、7割以上がなんでうまく進めていないのかを見て、ベンチマークするほうが対策は練りやすいんです。
黒澤
なるほど。負けパターンを知って、成功率を高めるんですね。
わたしが主宰しているマーケティングトレースでも成功している企業の戦略をなぞっているんですが、もっと知りたいと思う情報って失敗だったりするんですよね。
いいもの(成功事例)をたくさん取り入れるということは前提として、いいものだけを取り入れてもそれを阻害する失敗も見ていかないと、成功率は高まらないですよね。
では、実際の負けパターンを学ぶ、どう学んでいきますか?
松尾
新規事業の罠は大きく「3つの罠」という形で分類できます。それぞれ、戦略課題/組織課題/実行課題となります。
ただ、今日は初回なので、その3つの罠の具体的な罠の前に、誰もが陥りやすい共通のハードルをお話したいなと。
黒澤
これから事業開発に取り組む前の「大前提」として気を付けていきたい部分ということですね。何でしょうか?
松尾
それは、「現状維持バイアス」です。実はこれは新規事業だけの話ではなく、マーケティングでも営業でもほぼなんでも「変化」があるたびに課題になります。
現状維持バイアスとは「これまでの成功体験に縛られて変化を恐れたり、安定を選択していまう無意識の意識」です。
黒澤
成功している人、組織ほどかかりやすそうですね。
松尾
そうですね、大企業であれば既存事業が大きく、新規事業とどうしても比較をしてしまう…そこから現状維持バイアスは始まります。
また、実は意外とベンチャー企業にも現状維持バイアスはあるんです。そもそもベンチャー企業は創業者の成功体験が大きく組織に影響してきますよね。それも現状維持バイアスです。
黒澤
確かに!でももちろん現状維持バイアスは悪いものということではないですよね。現状維持バイアスがあるからこそ、そこに突き進めるもの、ということもあるんじゃないかなと思います。ただ、何か今までと違う変化を起こそうとするときには足かせになってしまう…
松尾
そうなんですよ。現状維持バイアスがいい方向に効いているのか、はたまた良くない方向なのか、この気づき方って結構難しいんですよね。CROHackもメディア運営を進めるうえで黒澤さんにアドバイザリーとして入ってもらっていますが、実はこれが一番のポイントです。
自分自身はなかなか判断がつきませんし、同じ社内であれば、言いにくいとかもあれば、同じような動きに同調しやすいんですよね。
それを「いやいや、そうじゃないんじゃないの?」と言ってくれる外部の人がいることが重要なんです。
黒澤
自分が少なからず現状維持バイアスを持っている、ということを認識して、第三者からの客観的なアドバイスを受け入れる環境が有効ですね。
松尾
そうですね、個人個人がそれを認識しないと特に新規事業開発においてはスモールスタートの場合が多く、関係者が少ないので、現状維持バイアスも気づかないまま進むんです。
そして、事業化を進めるために経営層に提案もすると思いますが、経営層もこれまでの成功体験の現状維持バイアスがあって話が進まないことも。
黒澤
現状維持バイアスがあるということを事業開発担当と経営層お互いに理解してコミュニケーションをとることも大事ですね。
松尾
そうなんです。まずは現状維持バイアスを理解していくことが、何事も重要です。そのうえで3つの罠を学ぶといいと思います。
ということで次回は罠シリーズ1つめの「戦略の罠」とそれを乗り越えるヒントをお話していければと思います!
編集後記
CRO Hackでは対談記事や取材記事はこれまでも発信してきましたが、ラジオ風のセッションでそのままお届けする、というのは初の試みです。
これは、今は事業開発というテーマも本当に多くの記事が出ている中で「記事という形で整理されたものを読むだけではどれも似ているし、本音の部分がなかなか見えてこないな」という私なりの印象があってのものでした。
それに、積読ならぬ、タブ読(タブでとりあえず該当ページは開いておくけど、結局読まない的な。私だけかも?)になっているものも多いなと。
とはいえ、セミナーなどはスケジュール調整だったり、1時間や2時間をまとめて見るのはしんどかったりもする…
そこで、10分ちょっとくらいで、記事にしたものをバーッと深掘りしていく…話しながらだからこそ見える実態やリアルな面白さ、生感をお伝えできないかと思い、このCRORadioは情報をお届けしていきます。
黒澤さんも私も、マーケターやコンサルタントという職業とは別に、それぞれが自社で事業開発を担っている立場でもあるので、そういう生の体験も
どんどん取り入れていきたいと思います。
罠シリーズはこれから中身に入っていきますので、ぜひ今後の更新もお楽しみにしていてください!次回は来週金曜日のUP予定です!