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新規事業の狙い目とは?-参入を決める"考え方"とプロセスを解説

こんにちは、CROHackです。

一部地域では緊急事態宣言が期限前の解除となりましたが、まだまだコロナの話題は尽きない2021年ですが、そんな状況下でも企業は生き残りをかけて既存事業の成長、および新規事業の創出を考えなければいけません。

しかし、2019年以前と現在では、コロナの影響もあり世の中で求められているものや消費者ニーズが大きく変化してます。また、元の生活に戻るには少なくとも数年の期間を要するどころか、「元には戻らない」という意見もあります。

仮に、数年かけて仕込んできた新規事業をこのタイミングで打ち出しても、環境要因で泣かずとばずの結果になることも十分考えられます。

そこで今回のnoteでは、新規事業の狙い目はどこにあるのか、参入を決める考え方と決定までのプロセスを解説します。

なお、「事業をつくりだすバリューカプセルの見つけ方」に興味のある方は、下記の記事をお読みください。また、CROHack主催でバリューカプセルを見つけるワークショップも開催しておりますので、ぜひご参加ご検討ください。

-新規事業の狙い目とは?

まずは、狙い目となる新規事業のアイデアと探し方についてご紹介します。

新規事業の創出は「WANT(自社としてどんな価値を届けたいか)」×「CAN(会社で提供できる価値)」×「NEED(消費者ニーズ)」の3つの視点から考える必要があります。
この3つの視点のうち、いずれか一つでも欠けているとその事業はうまくいきません。

1つ例を挙げると家電メーカーのSHARPが上げられます。SHARPがマスクやフェイスガードを販売したのは記憶に新しいかと思います。

この例をWANT×CAN×NEEDに当てはめていくと以下のようになります。

WANT
誠意と独自の技術をもって、
広く世界の文化と福祉の向上に貢献する(経営理念)
CAN
液晶を作る工場のクリーンルームが空いていた
NEED
海外製マスクへの不安から高品質な国産マスク

その後、液晶テレビのために開発した「反射しない・曇らない」という技術をフェイスガードに応用して発売。最近では、スギヤマゲン製の新型コロナワクチン用の保冷バッグに、液晶の材料研究の技術を応用して製造した「適温蓄冷材」を提供しています。

もちろん、政府要請が起点となり新規事業立ち上げとなったことは間違いないのですが、WANT×CAN×NEEDが上手く成立した結果、社会的貢献という観点でも非常に価値のある新規事業を立ち上げることに成功しました。

<NEEDの探し方>
SHARPの例ほど、明確にNEEDがわかっている上でCANが合致するケースはそう多くありません。WANTとCANは自社のことなのですぐに整理できたとしても、消費者のNEEDを把握するのが一番難しいというケースが実際には多くなるはずです。

NEEDを調べるにはやはり実際に足を動かして探っていくのが一番です。
具体的に以下のような場所や情報を調査してみるのがおすすめです。

・SNSでの調査
・スタートアップ先進国の情報を確認
・スタートアップのイベントやセミナーへの参加
・M&Aなどにも目を向ける

<NEEDのパターン>
NEEDが高まるには、ある一定のパターンがあります。

・参入障壁により、需要よりも供給が下回っているとき(需要>供給)
・需要はあるが供給が全くないとき
・潜在ニーズを供給側が把握できていないとき

これらのNEEDの高まりを逃さずに、WANT×CAN×NEEDを成立できれば、新規事業立ち上げを成功に導けるかもしれません。

-狙い目事業の探し方

では、実際に狙い目の事業の探し方についてご紹介します。

NEEDを把握するのはもちろん大切ですが、余程に資金力のある会社やすぐに外部からの支援を得られる企業でない限り、全くナレッジのない領域で新規事業を立ち上げるのは中々難しいでしょう。

そこで重要になるのが、CANの整理です。自社のアセットできることから考え、既存事業を因数分解し、どこかの1点から横展開させられるかなど、さまざまな可能性を模索しながら整理していきます。

・会社の既存事業と関連させた新規事業
・会社が持つリソースで開発可能な全く新しい新規事業
・外部のサービスや機能を組み込んで行う新規事業

上記のように、自社のアセットを活かしながら新規事業を考えていくことで、WANT×CAN×NEEDを満たした事業が生まれます。

もちろん、CANに捉われずに新規事業を考案するケースもありますが、余程革新的な事業アイデアがない限りは、すでに近しい領域で事業展開している企業の後追いとなり、負けてしまう可能性もあります。
そういった全くの新規領域に立ち入る際は、その領域に詳しい外部からのサポートを受けるのがおすすめです。

-新規参入の障壁

新規事業を立ち上げるにあたり、新たな業界に新規参入する場合に、必ずといっていいほどぶつかるのが参入障壁です。
“参入障壁にぶつかるから諦める”ではなく、事前に想定される参入障壁を明確化した際に、参入障壁を上手く乗り越えられる場合や、参入障壁を乗り越えるのにコストやリソースがかかったとしても参入するベネフィットが大きい場合は、新規参入におけるプロセスを計画してみてください。

アメリカの経営学者マイケル・ポーター氏が自身の著書で、新規参入の障壁となる要因を次のように挙げています。

・規模の経済性が働くか
・製品の差別化が存在するか
・巨額の投資が必要か
・仕入れ先を変更するコストは大きいか
・流通チャネルの確保は難しいか
・規模の経済性以外のコスト面での不利な点が存在するか
・政府の政策による参入の制限や規制が存在するか
・参入に対し強い報復が予想されるか

引用元:マイケル・ポーター(Porter,M.E.)著書 「競争の戦略」

細かいポイントは企業や事業によって異なりますが、多くの場合は上記のような要因が新規参入の障壁となります。
これらを乗り越えられれば、新規事業も軌道に乗ってくることでしょう。

-今後狙い目となりうる市場は?

最後に、今後狙い目となりうる市場はどこなのか、今後の見通しなども踏まえてご紹介していきます。

<クロステック>
今後伸びていく業界として、健康とテクノロジーを合わせた「ヘルステック」や金融とテクノロジーを合わせた「フィンテック」など、既存産業とテクノロジーを組み合わせる「クロステック(X-Tech)」がよく挙げられます。
クロステックがまだ生み出されていない業界は、他社企業よりも早く動き出すことで、その業界のクロステック領域で認知とパイを取れる可能性が大きくあります。

例えば、建築業×テクノロジーです。最近では、施工管理アプリのANDPADなどの登場もあって徐々に建築業界にもITの波が押し寄せています。しかし、実際に現場でIT化やソリューションの導入が進んでいるかと言われると、まだまだというのが実情でしょう。

その他に、農業などもクロステックが進んでいない業界といえるでしょう。
上述で挙げたような、昔から人の手で行われてきた業界にこそ、テクノロジーやソリューションの入り込める余地があると言われています。

しかしながら、実情としてクロステックが進んでいない背景には、商品・サービスの価格の高さや企業間での連携が取れていない点が挙げられます。みずほ総合研究所の「高まるアグリテックへの期待」というレポートでも、アグリテック(農業×テクノロジー)の課題は農業者にとって手が届きづらい水準の価格設定や、各社が個別に開発を進めている点などが課題と言及されています。

参照:みずほ総合研究所「高まるアグリテックへの期待」

コストを抑えてサービスの価格水準を低くし、参入企業同士でも連携をとっていくことなどが、クロステックが浸透していない業界でテクノロジーを活用するためのポイントとなるでしょう。

<サブスクリプション型配信サービス>
コロナの影響で外出する機会が減り、おうち時間を充実させたいという理由から「サブスクリプション型配信サービス」を利用し始めたという声をよく耳にします。

サブスクリプションとは、パッケージ型と異なり、NetFlixやAmazon Primeのような「製品やサービス等において、一定期間の利用に対して料金を支払う形式」のサービスです。サービスの内容としては音楽・動画・写真・スマホアプリなどがあります。

月額単位でいつでも解約できるので、導入までのハードルが低く手軽に始められ、かつパソコンやスマホでインターネット環境さえあれば、いつでも・どこでも利用できるという便利さから契約数が増えている状況です。

ICT総研が発表した「2020年 サブスクリプションサービスの市場動向調査」によると、2019年のサブスクリプションサービスの市場規模は約1.1兆円だったのに対し、2023年には2019年と比べて26%増の1.4兆円にも拡大すると予測されています。

-まとめ

今回は、新規事業の狙い目について、どの領域を攻めるのかを決定するために必要な考え方、どのような参入障壁にぶつかるのかなどをご紹介してきました。

この記事でご紹介した内容を簡単にまとめると、以下のようになります。

・WANT×CAN×NEEDで考えることが重要
・NEEDを探るには、足を動かすことが効果的
・CAN(自社のアセット)を活かせる領域を狙うのが基本
・参入障壁を事前に把握することが重要
・テクノロジーやサブスクリプションを活かした新規事業が狙い目

実際に新規事業を考える際、自社のアセットを客観的に評価し、どこに活かせるのか。どんなところで価値を見出すのかを洗い出すことが重要です。また、そのアイデアが客観的に見てどうであるかという点も重要です。

客観的な意見や自社では見えなかった点を見つけるために、外部パートナーの協力を仰ぐのも一つの手と言えるでしょう。

そんな外部パートナーとして、CROHackを運営しているリブ・コンサルティングは、自社だけでは見えないアセットを発見し、戦略の立案から仮説の検証までを伴走支援しています。ご興味のある方はご相談ください!


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