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新規事業開発-事業をつくりだすバリューカプセルの見つけ方【資料無料DL】

-新しいオプションで、向かい風を追い風に変える

こんにちは。CROHackで編集長を務める松尾大輔です。日頃は事業開発やマーケティングに特化してコンサルティングを行っています。最近は、新型コロナウイルスにより、業種・業界を問わず、さまざまな企業が影響を受けており、その相談が増えました。

新年度から取り掛かる予定だった事業計画が頓挫したり、見直しを余儀なくされるケースも多いのではないでしょうか。

このような環境の中で経営者やCROに求められるのは、コロナ禍という向かい風に耐え忍ぶだけでなく、帆の向きを変え、追い風に変える舵取りをすることです。

スピード感を持って新規事業に着手し、新たな成長を生むグロースプランのオプションを作り出すことが、突発的に発生する向かい風を追い風に変えるために不可欠だからです。

では、将来の見通しがますます困難になるといわれる現状において、新規事業はどのように取り組むのがよいのでしょうか。クライアントとのプロジェクトでも、そして、事業主としてわれわれ自身も導入している新規事業創出のアプローチ方法があります。

本記事はその内容をまとめました。

-新規事業創出の2つの課題

さっそく本題に入りましょう。私がこれまでに携わらせていただいたプロジェクトの経験などを踏まえると、多くの企業がぶつかる新規事業創出の課題は2つあります。

①有望な新事業領域の探索
新規事業創出では、勝負できる市場や参入の機会を見つけ出す必要があります。

そのための手段としては、例えば、PEST分析によって外部環境の変化を予測したり、ワークショップを通じて自社の強みや弱みを把握することができるでしょう。

しかし、この方法では十分な探索ができません。フレームワークありきで取り組み始めることで、「既存の市場で勝負する」「自社の強みを活かせる事業をする」といった前提にとらわれることが多いからです。

②事業化を適切に運用する仕組みづくり
新規事業はスピード感を持って取り組む必要があります。なぜなら、市場環境は絶え間なく変化しているため、起案や実証に時間がかかるほど事業化できる機会が減ってしまうからです。
また、せっかく良い案が浮かんでも検証しなければ先に進めません。実証するための具体的な計画、フロー、評価基準などがなく、新規事業のゼロイチができない企業もあります。

図1

図1 新規事業創出プロセス上の課題仮説

-古典的な新規事業創出アプローチの限界

先にあげた2つの課題(有望な新事業領域が探索できない、事業化を適切に運用する仕組みがない)は、見方を変えると、従来の新規事業創出のアプローチに限界があると捉えることができます。

コロナ禍を例にすると、感染拡大が深刻化しはじめた2〜3月あたりから、多くのシンクタンクやコンサルティングファームが世界の動向や経済への影響などに関する情報を発信しました。

これらの情報は非常に有用です。ただし、情報があり過ぎてどうすればいいかわからなくなったと悩まれた経営者もいらっしゃいました。経営を支援するコンサルタント側も、「こうすべき」といった示唆を明確化しているケースは少ないはずです。


コンサルティングファームが長けているのは、データを分析・検証し、成果が出やすい道を合理的に導き出すことです。経営のMBA的なアプローチについても同様です。


しかし、コロナ禍には「こうすべき」という判断を担保する明確なファクトやエビデンスがありません。コンサルティングやMBA的アプローチが得意としてきた既存の取り組み方では価値が発揮しにくく、情報収集・整理から先に進めなくなってしまうのです。


これは今に始まったことではなく、コロナ禍によって生まれた現象でもありません。VUCAと呼ばれるカオス化した経済・市場環境の中で、既存の新規事業創出アプローチは以前から着実に通用しなくなってきているのです。

図2

図2 よくある新規事業開発のアプローチ

-見えない未来を見ようとしてもアイデアは生まれない

このような状況下では「見えない未来は見ない」と割り切ることが大事です。なぜなら、どれだけ情報を集めても見えないものは見えませんし、どれだけPEST分析を繰り返しても未来が把握できるようにはならないからです。

もちろん、不確かな状況の中でも新たな事業を作り出す経営者はいます。優れた先見の明を持って他者には見えない未来を描く起業家もいます。

しかし、そのようなスーパースターはごく少数です。また、新規事業創出において、スーパースターの資質が絶対必要というわけでもありません。アプローチを変えて新規事業のアイデアを生み出せばいいのです。

それが、バリューカプセル(VC)というアプローチです。

VCは、新規事業のタネとして活用できる自社アセットの単位のことです。
資産、ブランド、リソース、顧客、サプライチェーンなど、自社のさまざまなアセットがVCになりえます。

新規事業創出ではコア・コンピタンスに目を向けることも多いのですが、VCはアセットですから、市場や競合との競争優位性などは考える必要がなく、強みである必要もありません。

むしろ、強みを意識すると既存事業の延長線上で新規事業を考えてしまいます。過去の成功体験にとらわれやすくなりますし、強みと弱みは時代や環境によって変わりますので、客観的な視点でアセットを棚卸しすることが重要です。

特にコロナ禍のような外部の環境変化が大きいときは相反する情報が氾濫し、その中で溺れてしまう懸念があります。

だからこそ、不確実性の中に確実さを追い求めるのではなく、今後の自社の価値と強みは変わりうるという視点を持ったうえで、手元に確実にあるアセットを見ることが重要といえます。

-事業創出は"考えること"と"動くこと"の両輪

VCを把握したら、そのVCを活用できる新たな市場機会を探索し、事業の仮説を立てていきます。この仮説が新規事業のアイデアへと変わっていきます。
その流れを表しているのが図3です。

図3

図3 新規事業開発アプローチ

スタートアップやベンチャー企業のアジャイル型事業の立ち上げ支援、中堅企業や大手企業の意思決定プロセスの支援、そして、当社自身がベンチャービジネスを展開する事業会社として培ってきたノウハウと経験から、このような事業創出モデルを導き出しました。

①と②は前述したVCの整理です。次に、業界や身の回りの変化に目を向けて市場機会を抽出し、VCとの組み合わせを考え、評価します(③、④、⑤)。
VCは、少なくとも10個、できれば20個ほど見つけ出します。


それらを市場機会と照らし合わせながら、このVCとこの市場機会の組み合わせは事業になるかもしれないという仮説を2~3個ほど構築します。

このモデルで重要なのは、その次のステップとして仮説検証を行うことです。検証の結果、別のVCが必要なのであれば①に戻ります。VCを別の市場機会に活かせそうな場合は③に戻ります。


このサイクルを回し、気づきや発見をフィードバックしていくことによって仮説の精度を高めていくわけです。

事業創出のプロセスでしっかり仮説を検証する、というと当たり前に聞こえるかもしれません。しかし、「2つの課題」のところでも説明した通り、アイデアを練ったところで止まってしまう実態は多くの企業で見られます。

考えたことを実行しなければ、考えていないことと同じと吉田松陰が言っていたように、仮説構築という「考えるアクション」と仮説検証という「実行するアクション」を両輪で回すことが大事なのです。仮説の検証になかなか進めないという実態は、検証のための行動が難しいことの表れともいえるでしょう。

VCの整理と仮説を立てるところまで自社でできたら、その先にあるアクションの部分を無理に社内で完結することはありません。外部パートナーと協力をすることで事業創出モデルを滞りなく回していくことができます。

検証の実務を外部の実行部隊に任せることで、検証の手間が軽減でき、経営で最も重要な意思決定に注力できるようにもなります。

-VC抽出スタディのススメ

もう少し具体的に考えてみましょう。事業創出のスタートは、自社が持つVCを見つけるところからです。そのための方法として、当社がよく行っているVC抽出スタディというアプローチを紹介します。

まずは社内でスタディチームを作り、VCという視点で他業界、他企業を分析します。スタディ対象とする業界や企業は、業態変革・新規事業・新商品の開発がうまくできているところを選ぶのがいいでしょう。


対象を決めたら、その業界や企業の従来のビジネスと新規ビジネスを並べ、どんなVCを持っていたのか、アセットをどう活用したのかを考え、示唆を深掘りします。5人チームで1人1案ずつ考えれば、5つの示唆が出てくるのです。

一例として、大手の映画制作・配給会社を見てみます。
整理する点は、事業変革や新規事業の創出に至った【背景と概要】と、【従来のビジネス】と【新規ビジネス】についてです。以上を整理すると、以下のようになります。

図4


【背景と概要】
映画業界は戦前から大衆娯楽として多くの人に親しまれていたが、カラーテレビの普及とともに1958年から来館者数が激減。年間2億人弱と5分の1以下に急落。多くの劇場が採算割れを起こす中、全国の一等地に展開していたこの会社は、不動産を活用した事業を展開。現在は不動産事業が利益の4〜6割を稼ぐ第二の柱になっている。

【従来のビジネス】

映画の制作から全国の映画館での放映を一貫して実施。演劇の公演なども手掛けるエンターテインメント会社だった。しかし、家庭にテレビが普及して来館者数が激減。映画館の数も大幅に減らすことになった。

【新規ビジネス】
戦前から全国の一等地に展開していた不動産というアセットに着目。東宝の日比谷シャンテなど大規模な再開発を行い、東宝は利益の4割、松竹は6割と、不動産事業が屋台骨に成長し、企業の収益を支えている。

整理してみてわかるように、事業の変容に至るポイントとして不動産というVCがあります。映画館として使っていた土地を不動産として再活用する、つまり、アセットを別の目的で活用するという示唆が得られるわけです。

示唆を得たら、自社の例に当てはめてみます。例えば、製造業なら工場というアセットが別の目的で使えるかもしれません。配達・配送業なら、配送ルートを別の目的で使える可能性があります。そのような可能性を模索しながら、新規事業のアイデアを練っていくのです。

あくまでもスタディですから、示唆が正解かどうかは重要ではありません。
こんなVCを、こんな市場機会と組み合わせたのではないか、という発想や思考を広げることが大事なのです。

そのため、スタディ対象についても、あえて自社とは違う業界の企業を選ぶのがよいでしょう。自分たちがよく知る業界は、業界内の構図や変革の背景などについても知っている可能性が高く、発想力や想像力が制限されてしまうことがあるからです。

-企業規模を問わずベンチャービジネスであることは一緒

今回紹介したVCは、当社が社内外で実際に取り組んできたアプローチです。スタートアップ、中小・中堅企業、大手企業など規模を問わず、事業創出のアプローチとして着実に成果を出してきたモデルです。


このモデルを実行していく上では、スピード、質、量にこだわった分析や、きちんと仮説検証アクションを行うといった点において当社のような外部パートナーを活用した方がよい点もあります。ただ、考え方そのものは決して難しくありません。

VCの整理などは今日から始めることができます。その点から見て、当社のVCのアプローチは、社内でスタートでき、やりきれるメソッドであると確信しています。事業開発にお悩みの方は、ぜひVCアプローチにチャレンジしてみてください。

-VCお役立ち資料 無料ダウンロード(追記)

多くの反響をいただきました今回の新規事業開発に関する記事について、「社内で考え方を共有したいんだけど、まとまったものはないの?」といったご要望に応えて作成した資料を公開したいと思います。

実際に、記事を見て久しぶりに声をかけてくれたあるベンチャー企業の事業開発を担っている元同僚の話を少しさせてください。

その企業(A社)は創業8期目のBtoB企業で、単一事業でここまで成長することができたが、このままでは頭打ちになることも見え始めていて、次の事業の柱を検討しなければいけないフェーズにきているというものでした。

そして、そんな課題認識から昨年新規事業のタスクフォースを組成し事業開発に取り組んできたが、各メンバーが本業との兼ね合いもありなかなか進まずに、今に至ってしまっているという状態です。

自社で経営陣も認める優秀かつリーダーシップのあるメンバーを集めているのに、話を聞くとアイデアも2周3周と煮詰まってしまっており、既存の事業の延長線のような事業アイデアしか出てこない。

また元々スピードが自慢の会社が、新規事業検討においては実際の仮説検証などもまだ全然着手できていない。

これは、もはや大企業の事業開発の悩みと一緒、ですよね。ベンチャー企業であっても、自社のベンチャー事業を自社内のチームで新たに生み出そうとすると、同じ罠にハマってしまう。

大手企業がよく、ベンチャー/スタートアップと連携して新規事業を創出、みたいな構想を描きますが、まず幻想です。

その構想こそが机上の空論であり、ベンチャーだから新規事業がポンポン生み出せるわけでもありません。新規事業をつくる部署をつくったところで、新規事業が生まれないのも同様です。

それでも、新規事業を狙って生み出すことは可能です。そのために何を考えるべきか、どこまでを自分たちで担い、何を外部化することで、スピードを上げることができるか。

本資料が、その検討の一助になることができれば幸いです。

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資料ダウンロードは ▶こちら から

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