CRORadio_新規事業の罠シリーズ#2
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CRORadio_新規事業の罠シリーズ#2

CRO Hack

CRORadioは、CROHack初の音声メインコンテンツです。
アドバイザリーの黒澤さん(@KurosawaTomoki)にモデレーターになっていただき、編集長の松尾(@daisukemo)との対談形式でお送りします。

YouTubeリンク先のラジオコンテンツでは、1テーマ約10分程度に2枚の静止画のみ出しています。画面を見ずに音声を聞き流すだけで学びを得られるコンテンツです。

この記事は、音声コンテンツをわかりやすく文字に起こした記事です。音声より文字で情報をキャッチしたい方におススメです。この記事では、最後に「収録後記」として収録の際の小噺や、時間の都合上編集でカットしてしまったお話なども紹介します。

ダイジェスト解説

ラジオ音声を聞きながらお楽しみください。
YouTubeまたはSpotifyでお聞きいただけます。

黒澤
前回は、「現状維持バイアスを誰もが持っていることを認識すること」が大事というお話をしましたね。

今回は、実際の「新規事業の罠」を具体的にどう回避するか?のお話に入っていきましょう!

松尾
前回もお話をしましたが、新規事業の罠は大きく分けて、戦略・組織・実行の3つ種類があります。

その中でも、今回は「戦略」についてお話していきます。戦略を考える際に陥る罠を「金のガチョウ探しの罠」と呼んでいます。

黒澤
金のガチョウ?!あの童話かなんかの…金のガチョウですか?

松尾
そうです、童話の金のガチョウです。
森で小人を助けてあげたことから、金のガチョウを手に入れた主人公。とてもガチョウは美しく、人々も興味深々。街の女の子がその美しい羽を取ろうとすると、ガチョウから手が離れなくなってしまって…といった美しいガチョウの羽を女の子が手に入れようと下心を出したことで発端となる騒ぎを描いたお話です。

皆さんもビジネス上で無意識に「美しいガチョウ」を探していませんか?というのが戦略面での罠なんです。

黒澤
理想像を追いかけてしまう、ということですかね?

松尾
そうそう、例えば、最近はSaaSやサブスク型に移行する企業が多いですが、サブスクにすれば儲かるとか、流行ってるからNFTやAIを使った方がいいんじゃないか?と考えたり。

いまそういうビジネスが来ている、そこに投資が集まっているからその事業を立ち上げたいというような。とっかかりに金のガチョウ探していないですか?っていう。

黒澤
まぁ、確かに、まず戦略を考えるとき、外部環境分析をして「こういう機会があるぞ!そこに費用をかけるぞ!」…ってなりますね。外部環境に影響されやすくて、そこに投資しがちですよね。

松尾
そうなんですよね。
事業開発はクオリティ型(Q型)と、オポチュニティ型(O型)とで分かれています。マーケティングで言うとプロダクトアウトマーケットインの発想と同様です。

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Q型は、「自社の強みはなにか?」から考えて事業を考える事を指しますが、最近は否定されている文化もありますよね。自分たちの事業を見すぎると既存事業から脱却ができないということもありますし。

これからは、自分たちを見るだけではなく、O型で、課題や市場機会を探してそこにチャレンジしていくことが重要だと。これは一見すると正しいですよね。

でも、実は明らかに落とし穴に落ちるポイントがあるんですよ。では、黒澤さん、マーケティングにおいて何がもっとも大事でしょうか?

黒澤
そうですね…まずは、自分たちの独自性を定義して、市場機会にマッチングさせていくというところでしょうか?

松尾
そうですよね!O型の事業開発は、自社の独自性や差別化部分がわからないまま、市場機会に飛びついて投資してしまうんですよ。

市場めっちゃ伸びてます、ユーザーニーズもあります、SDGsなどの社会イシューも解決できます!…と全部きれいごと。これを経営層に提案すると「で、なんでウチがその事業やるの?」って聞かれる。

黒澤
確かに…自社で行う意義は見出しにくいですね。

松尾
さらには、「実行力はどう確保するの?」と聞かれる。「実行力は、自社のこのリソースを…」って結局既存から抜け出せてないじゃん、と判断されてここまで来たのにまた初期構想に戻ってしまう。

黒澤
そうやって止まっていく、と(笑)

松尾
ほんとにこの罠に陥る人は多いです。この機会をなんとか使うんだ!って金のガチョウ探しになっている。

例えば、事業再構築補助金の申請の一覧があるんですけど。全国の中小企業さんが、なにをもって事業を作るかというのを申請したものが一覧になって公開されているものなんですが(以下の記事で紹介しています)

見ていただくとわかりますが、みんなDXやAIなんです。いま伸びている市場はみんな挑戦している=自分たちが考えている市場機会は、何千社の人が同タイミングで考えている。自ら未来のレッドオーシャンを作りにいっているということです。そう考えたとき、果たしてO型が正しいのか?が罠ということなんです。

黒澤
この金のガチョウ探しの罠、解決策とかあるんですか?

松尾
Q型ももちろん大事ですが、少し考え方を変えるといいと思います。特にいま市場機会はわかりやすい環境にあります。ただその前に、既存事業や自社、組織という財産が存在している意義を考えることです。事業や資産などをまずはしっかりと棚卸をすべきなんです。

このアプローチを、バリューカプセル(V型)と私たちは呼んでいます。バリューカプセルについては過去の記事に詳細に書いてありますので是非読んでみてください。

バリューカプセルとは、新規事業のタネとして活用できる自社アセットと定義しています。ここで重要なのはアセットを「持っている」という事実を洗い出すという作業を行うことです。

例えば、「営業部隊を持っている」、組織の強い弱いは関係なく、「持っている」という事実を、サプライチェーンのなかでひとつひとつ分解していくことが重要です。

黒澤
なるほど…強み・弱みを洗い出すというのは行ってしまいがちですが、それがバリューカプセルを整理することにならないのはなぜですか?

松尾
強みや弱みを考えることに意味がないというつもりはありませんが、その強み弱みは何に対してなのか?を考えてみてください。ーー既存事業です。

その時点で既存事業から抜け出せてないことになります。新しいことに挑戦するのに、現時点で強み弱みが分かるわけがないと思いませんか?なのに既存事業の物差しで決めてしまうことが多い。前回の現状維持バイアスがかかっている状態とも言えます。

黒澤
なるほど!たしかに。

松尾
そうなんです。バリューカプセルの中でも、無形のものをコア・コンピタンス、有形をコア・アセットと呼んでいます。自社ビルも「持っている」のでコア・アセットに入ります。

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このバリューカプセルを棚卸ししたものを手元に準備して、ここから初めて市場機会と照らし合わせていく、これがV型アプローチです。

黒澤
なるほど。これまでの話を整理して金のガチョウの罠に陥らないためには

①金のガチョウはないことを認識する
②まず自社のバリューカプセルを理解、定義する
③市場機会に結び付けていく

この3ステップですね。

松尾
そうですね!バリューカプセルを探すときの注意点は、内部のことをわかったつもりになっていないか?を問いながら、定義すること。バリューカプセルしっかりと見極めることで、新しい掛け算、事業のアイデアが生まれる確率が上がると思います。

黒澤
自由度が高すぎて、逆に既存のフレームに嵌めてしまいがちなのが新規事業なので、この罠と、具体的な3つの対策プロセスを理解しているいるだけで、アプローチの仕方変わりますね!V型アプローチを組み込んですぐ取り組んでいってほしいですね!

松尾
さて、今回は戦略において陥る罠のお話をしてきましたが、次回のテーマは組織課題です。わたしたちも事業・組織づくりを担っているのですが、必ず陥る罠、「“風のヒト”vs“土のヒト”の罠」のお話をしていきます。次回もぜひよろしくお願いいたします!

編集後記

金のガチョウ探しの罠は、実はわたし自身が前職の広告代理店時代によくハマっていたものでした。どうしても、「ここにチャンスあります!今、これがきているからここでやりましょう!」という提案をしてしまっていた…という反省です。

みんなが金脈と思うところは、たしかにそこで成功している企業もいるのですが、やはり成功率は低くなる。それが広告やプロモーションでのアクションならまだやりなおしもききますが、事業そのものを考えればリスクがやはり大きくなりますね。

金のガチョウ探しをしてしまっていないか、不安になったら、まず自分が信頼できる人にそのアイデアを伝えて壁打ちをする、というのもひとつのポイントです。

みんなにも読んでほしいですか?

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