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ディズニーvsネットフリックス エンタメ業界の覇者は!?-コンテンツ起点とユーザー起点での戦い方の違い

こんにちは、CROHackの大﨑です。

残念ながらgotoが中止となり、年末年始も巣籠り確定だなと考えている皆さん、いかがお過ごしでしょうか?私はディズニープラスを契約し、スターウォーズの「マンダロリアン」にすっかりハマってしまいました。

そんな動画配信サービスですが、直近だと日本人の5人に1人が有料版を利用中というまさに佳境。その中でも特に注目したいのは冒頭のマンダロリアンで絶好調の「ディズニープラス」と動画配信サービス界のガリバー「ネットフリックス」との戦いが、まさに銀河エンタメ界を巡る壮大で白熱した様相を呈しているのでレポートさせてください。

単なるコンテンツ勝負の世界ではなく、両者の出自の違いからうまれるビジネスモデルの違いは、新たなプラットフォーム事業を構想されている方や事業作りを勉強されている方にとってはぜひ理解しておいて頂きたい事例ですので、ぜひぜひ最後までお付き合い頂けますと幸いです!
(*マンダロリアンのお陰ですっかりスターウォーズファンとなり、本文の端々にその情熱があふれ出てしまっておりますが、決してディズニープラスのステマではないのでご安心ください。笑)

では早速、先ずはそもそも両者のサービスを簡単に企業のバックグラウンドと共にご紹介です!

-ディズニープラスとは?

ご存知エンタメ界のガリバー「ディズニー」の動画配信サービス。なんとあのマーベルシネマティックユニバース(アイアンマンとかが大勢出てくる一連の映画!)もスターウォーズシリーズも見られて月額700円
(これ、ちょっと安いですよね?実はこの価格設定が本記事の重要なキーになりますので後ほど!)

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元々ディズニーはミッキーを中心にテーマパークなどのIPビジネスをグローバルに展開。直近ではマーベルなどの大人向けIPを買収し、更には21世紀FOXも買収してコンテンツ制作から配信網までをも保有するメディア・エンタメ界のガリバーとしてその地位を確立してきました。そのディズニーが19年11月に満を持して登場させたのがこのディズニープラス。ディズニーはエンタメ界のバリューチェーンを上流から下流へとその領域を確固たるものにした形です。

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-ネットフリックスとは?

一方のネットフリックスは、元々はビデオレンタル屋さん。正確にはDVDを郵送でお届けするサービスを手掛けており、それをネットで配信するようになり、更には自社でオリジナル作品まで作るという形で今の状態へと進化してきました。現在コロナ禍の影響もあり、順調に契約数は増加中。グローバルで驚異の約2億人、国内では500万人を越え、月額800~1,800円

ディズニーがコンテンツを起点にエンタメ界を上流から抑えにいったのに対して、ネットフリックスはその真逆。顧客起点でバリューチェーンを下流から駆け上がる時代の寵児となったと言えます。

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まさにベーダー卿率いる圧倒的な軍事力を誇る帝国軍(ディズニー)に対し、彗星のように現れレジスタンスを率いて立ち上がる若きスカイウォーカーというスターウォーズさながらの“エンタメウォーズ”がまさに起こっているという状況です。

-時価総額ではネットフリックスが逆転!?

そんな両社の鍔迫り合いを一気に加速させたのがコロナ、ディズニーはテーマパークが一時閉園で20年1-3月期は約1,500億円の損害が出てしまうほどに。

一方のネットフリックスは20年4-6月期で1,000万人以上も契約者が増加。時価総額も20年4月にはネットフリックスが史上最高値を記録し1,873億ドルとディズニーをも上回る勢いとなりました。またネットフリックスはSaaS型の安定収益を武器にコンテンツ制作及び調達に膨大な投資を行い、その勢いは留まる事を知らず、このままディズニーさえも凌ぐコンテンツメーカーに成り上がるのではとさえ思えてしまうほどです。
(ちなみに我らがONE PIECE、更には幽遊白書までもがネットフリックスで実写ドラマ化ということで期待ですよね!)

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(出所)『経営戦略4.0図鑑』(SBクリエイティブ)

-マネタイズポイントの違いが勝負の分かれ目

ところが、実はこの銀河動画配信サービスを巡る戦い、苦境に立たされているのはなんとネットフリックスだとも言われております。視点として重要なのは両社がどこにマネタイズポイントを持っているのか?という事。ネットフリックスはピュアに動画配信サービスで利益を得る会社。その為、単純に月額視聴料から集客コストとコンテンツ調達原価を引いた額が収益となります。

ここで問題なのがご存知のように動画配信サービスが巷に溢れかえっている事。すると集客コストは跳ね上がり、恐ろしいことにコンテンツの奪い合いも激化。(ディズニーはネットフリックスなどからディズニープラスで独占配信するため、ライセンスを多額の費用で買い戻している)ネットフリックスの収支は15年以降毎年赤字。19年に至っては約3,000億円の赤字で借り入れするほどになっているのです。

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(出所)『経営戦略4.0図鑑』(SBクリエイティブ)

だからこそネットフリックスは他社よりも早く世界展開を急いでいるし、各国にカスタマイズしたコンテンツを量産したり、制作会社の買収を急いでいるのです。

-ウォルトディズニーはネットフリックスの登場もお見通し!?

一方、ディズニーはご存知テーマパークや旅行(海外ではクルーズ事業が凄い!)そして映画事業で圧倒的な収益を上げている。だからディズニーはディズニープラスで儲けなくてもOK。月額も700円と割安(一方、ネットフリックスは米国では過去2度程値上げし今は800円~1,800円)。

ディズニープラスはいわば壮大なティザー広告。マンダロリアンが映画化されれば確実に映画館に足を運ぶだろうし、スターウォーズの新アトラクションが出来れば行ってしまうのがファンの性だろう。当然これは緻密に計算された言わばビジネスモデルであり、ウォルトディズニーはこの世界観をちゃんと設計していた。だからこそ、動画配信サービスでは赤字覚悟の総力戦で真正面からぶつかり、肉を切らせて骨を断つという芸当をやってのけてしまっているのです。

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ウォルトディズニーが描いたシナジー戦略マップ

-プライムビデオでゴールデングローブ賞を取ると靴が売れる

実はこのからくりは他社も大いに利用している。Amazonのジェフ・ベゾスはプライムビデオがECへ繋げる戦略だと公言しており、「ゴールデングローブ賞を取れると靴が売れる」とコメントしている。実際、プライムビデオを見たいからプライム会員になり、プライム会員になればAmazonを使うようになる、という算段なのです。

-ネットフリックス再躍進の火蓋はいかに!?

ではこのままネットフリックスはデススターの前に成すすべもなく滅びゆく反乱軍となってしまうのだろうか?彼らが再躍進するきっかけは、ディズニー同様に動画配信サービス以外のマネタイズポイントを作ること
ネットフリックスもいずれは自社IPでのマネタイズ(グッズ販売やそれこそテーマパーク開園など)は恐らく実施するだろうと考えられるが、やはり顧客とのつながりという圧倒的な優位性を使った別のマネタイズポイントが重要だろう。それこそ広告業への進出(動画配信の中で広告を入れる代りに月額料金を安くするなど)は手っ取り早くマネタイズ出来るだろうし、あるいはコンテンツ消費データを活用した別サービスの立上げもあるかもしれない。何にせよどうこの膨大なコンテンツ消費データをマネタイズするかを喧々諤々と日々ディスカッションしている事は間違いない。

2021年もマンダロリアンのベイビーヨーダが行きつく先と、ネットフリックスの第二の矢は要注目間違いなしなのは断言できる。乞うご期待だ。

そして、ぜひ皆さんの会社でも、競合他社との真っ向勝負の前に、別のマネタイズポイントを持つことで新たな戦い方へとフェーズを変える第二の柱をこの年末にもご検討いただければと思います。

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