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【まとめ】2020年注目の国内SaaS企業とは

-加熱する日本国内でのSaaS事情

こんにちは、CRO Hack編集長の松尾(@daisukemo)です。

近年の日本市場において、SaaSビジネスを主にしたスタートアップが急速に増えています。人事・マーケティング、営業支援その他さまざまな領域において競争が激しくなっており、さながら戦国時代のようなレッドオーシャンの様相を呈してきました。

総務省の「平成29年版情報通信白書」によると、SaaS市場は2021年には5,752億円にまで成長することが予測されているというのは有名な話ですが、肌感覚としてはそれ以上の市場の熱の高まりを感じています。

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また2020年7月時点、法人向けSaaS検索サイトのボクシルSaaSに登録されているSaaS企業は3,000社を超えており、その対応領域も前述の通りに非常に多種多彩です。「働き方改革」の推進に向けた業務効率化や売上・収益向上のための手段として、企業活動のさまざまな領域で今やSaaSサービスは必要不可欠なものとなっていると言えるでしょう。

そこで今回は、改めてSaaSについての定義(PaaSやIaaSとの違いなど)についておさらいした上で、直近の資金調達状況などから注目したい国内SaaS企業についてご紹介し、SaaSビジネスを成功するためのポイントについて探っていきたいと思います。

-SaaSとは?その定義とメリット・デメリット

この記事を読まれている多くの方にとっては今更な内容になりそうですが、PaaSやIaaSなど類似の言葉と混同されがちなので、先に改めておさらいしたいと思います。

SaaSとは「Software as a Service」の略で、「サース」または「サーズ」と読まれます。どちらかと言えば「サース」の方で呼ばれることが多いのではないでしょうか。(日経の用語解説でも「サース」が使われています)

事業主側が用意したクラウドサーバーにあるソフトウェア(アプリケーション)を、インターネットを介して提供するサービスがSaaSと呼ばれるものです。

他方、「PaaS(Platform as a Service)」はアプリケーションの実行に必要なネットワークやサーバーシステムなどのプラットフォームをインターネットを介して提供するサービスで、「IaaS(Infrastructure as a Service)」は情報システムの稼働に必要なネットワークやサーバーシステムなどのインフラをインターネットを介して提供するサービスとなります。

つまりSaaSとPaaSとIaaSの違は、サービスを提供するのか・プラットフォームを提供するのか・インフラを提供するのかという違いであり、似たような言葉でありながらその内容は異なります。

PaaSやIaaSよりもSaaSに近い概念として使われるのは、ASP(Application Service Provider)です。インターネットを介してアプリケーションを提供するサービスを運営する事業者のことを指し、厳密には「事業者」と「サービス」という違いはあるのですが、日本ではSaaSとASPはほぼ同じような意味で使われています。

SaaSのメリットは、既に出来上がっているソフトウェアを「所有」するのではなく必要に応じて「利用」する形であることで、使う側にとってはサービス開発やメンテナンスコストの削減という利点があります。

またその多くがサブスクリプション形式(一定期間の利用料として対価を支払う形式)であることで、サービスを提供する側の事業者にとっても、「ストック型」のビジネスであることから売上の予測が立てやすくキャッシュフロー主導で事業を拡大していけるというメリットがあり、両者にとってメリットの大きい形…というのが、SaaS市場が拡大している理由として大きいと言えるでしょう。

一方、気軽に導入できる分、値段相応の価値が感じられない場合における解約・乗り換えリスクが高くなるとも言えるため、解約率が高まるにつれてビジネスモデルとして成り立たなくなっていくリスク(デメリット)もあるということは認識しておくべきでしょう。だからこそ、LTV(顧客生涯価値)という指標がSaaSビジネスにおいては重要とされています。

-現在注目を浴びる国内のSaaSスタートアップ

前置きが少し長くなってしまいましたが、2019年はEPARKやPaidy、スマートニュース、フロムスクラッチがそれぞれ累計の資金調達金額が100億円を超えるなど、SaaSスタートアップの大型の資金調達が目立ちました。

STARTUP DBでは定期的に国内スタートアップの資金調達ランキングを公開しており、2020年1月~6月の調達額ランキングを見ると、2020年に入ってコロナの影響がありながらも尚勢いのあるスタートアップは積極的に資金調達を行っていることが伺えます。

ここからは、ランキングからも幾つか抜粋する形で、2019年後半~2020年前半で資金調達を行っている注目の国内SaaSスタートアップをご紹介していきます。※2020年7月時点での情報となります。

(1)ベルフェイス
(2)フロムスクラッチ
(3)カケハシ

(1)ベルフェイス
設立:2015年4月
主な事業内容:商談などのビジネスコミュニケーションや営業マネジメントを支援する営業特化型Web会議システム「bellFace」を提供
資金調達額:6,421百万円
(参考:STARTUP DB

今年の2月、52億円の資金調達のニュースで話題になりました。Web会議システムの選択肢として、今回のコロナ禍でお世話になったという方も少なくないのではないでしょうか。

インサイドセールスの重要性は既にCROHackでもさまざまな記事で触れていますが、インサイドセールス市場が伸びるにつれて、Web会議システムへのニーズも高まりベルフェイスも成長を遂げています。

プロダクトマーケットフィット(PMF)に注力しただけでなく、カスタマーサクセスにも注力したことで解約率を下げることに繋がり、事業の成長に結びついた形です。

ベルフェイスと言えばヒラメ筋のCMが有名ですが、このCMはタクシー広告としても使われていました。効果測定は単なる新規獲得を目的としたマーケティング視点での検証だけでなく、カスタマーサクセスへの効果も加味したユニットエコノミクス視点でも検証されたということが同社の林さんのnoteで言及されており、もしタクシー広告を検討されている方がいれば是非一度読まれることをおすすめします。

(2)フロムスクラッチ
設立:2010年4月
主な事業内容:データマーケティングプラットフォーム「b→dash」を提供
資金調達額:13,025百万円
(参考:STARTUP DB

2019年、アメリカの大手投資会社のKKRや大手投資銀行のゴールドマン・サックスなどから約100億円の資金調達を受けたことで話題になりました。KKRが日本のスタートアップに投資したのはフロムスクラッチが初めてで、投資家筋からの注目の高さも伺えます。

ビジネスデータの取得や活用、その後の分析というのは企業の成長において必要不可欠です。そのデータを一元管理して活用できるプラットフォームは他にも外資系を始めとしたさまざまなツールがありますが、b→dashの強みは国産ツールの強みを生かした「使いやすさの追求」と、導入コンサルタントによる自走までのサポートの充実にあるとされています。

機能はすごいことが分かって導入したものの、上手く使いこなせないから解約というパターンはtoBのSaaSビジネスにおいて往々に存在します。今でこそカスタマーサクセスの考えが徐々に広まってきていますが、早くから導入支援コンサルタントというサポーターを用意してクライアントと伴走する仕組みを作っていたことも、成長の要因の1つとして言えるのではないでしょうか。

(3)カケハシ
設立:2016年3月
主な事業内容:調剤薬局向け電子薬歴システム 「Musubi」を提供
資金調達額:3,559百万円
(参考:STARTUP DB

業界特化型のSaaSスタートアップとして取り上げさせていただきました。2016年に設立してまだ5年も経っていない中、急成長を遂げわずか3年で累計約35億の資金調達に成功し注目を集めています。

以下のインタビューで、CEOの中尾さんは急成長する新規事業をつくる方法として

・世の中をこうしたいというビジョンを持つ
・各分野のスペシャリストを集める
・ビジョンを達成できる複数のビジネスモデルを検討する
・顧客への徹底したヒアリングから本当の悩み事を探る

の4つを挙げられています。

特に一番最後の「徹底したヒアリング」はPMFの観点でも本当に重要だと共感します。

顧客が抱えるインサイト(本質的な課題/悩み)というのは表面的な調査だけではなかなか浮かび上がってきません。顧客はその課題をいじわるで教えてくれないのではなく、大抵はその悩みをうまく言語化できていない(もしくは認識できていない)状態のため、とりあえずの回答や表面的な調査結果を「本質的な課題」と誤認識してしまいがちです。

PMFを達成し、その後複数回繰り返していくためには、顧客(候補)とのコミュニケーションから継続的にフィードバックを回しプロダクトをアップデートし続けるほかないのです。

-まとめ-加熱するSaaS市場で生き残るために

ここまで3社ほどご紹介いたしましたが、事例を改めて色々と眺めていた中で感じたのが、「カスタマーサクセスが本当に重要!」であるということでした。(上では触れていませんでしたが、カケハシさんもカスタマーサクセス部隊があることが求人から分かります)

直近で『THE MODEL』著者の元マルケト日本法人代表である福田さんへインタビューさせていただいた記事の中でも、マルケト日本法人はスタート当時営業よりもカスタマーサクセス人員を先に採用したという言及がありました。

カスタマーサクセスに注力するメリットは、解約や乗り換えを抑えることも当然ありますが、顧客の成功にコミットし伴走するスタッフを置くことで、コミュニケーションの量や質が上がることにも注目すべきです。

結果、そのスタッフがいるのといないのとではフィードバックの量や質に違いが出やすいというのも大きな利点ではないかと思います。

そう考えると、顧客のインサイトを得るためにもカスタマーサクセスに注力すべきという話に帰結しますね。この記事で少しでもカスタマーサクセスの重要さが伝われば幸いです。

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