組織改革はエンゲージメントの維持から-成功に導くためのフレームワーク
こんにちは、CROHackです。
2020年から政府のテレワーク推奨などの方針もあり、想定とは大きく違う形で働き方改革が進んだという企業も多いでしょう。
無論、beforeコロナとwithコロナでは組織のあり方や進むべき方向性は大なり小なり変化していきます。出社からリモートワークに切り替えたタイミングに合わせ、大規模な組織改善に取り組んでいく企業も少なくありませんが、なかには改革がうまく行っていないように感じる企業もあります。
とくに、withコロナで多くの人が行く末に不安を抱えたり、メンタルが不安定になっている中、組織改革で重要なのはエンゲージメントの向上ではなく”維持すること”から始めることです。
今回のnoteでは、組織改善を成功させるために必要なポイントや組織改革で陥りやすい課題などをご紹介します。
また、新型コロナウイルスの感染拡大によって顕在化する企業・組織課題については、以下のnoteで解説していますので、ご興味のある方はそちらも合わせてご覧ください。
-なぜ組織改革が必要なのか
まずは、なぜ組織改革が必要なのか、その意味とタイミングについてご紹介していきます。
組織改革が必要となるタイミングは、大きく分けると3つあります。
・企業を取り巻く環境の変化に適応するタイミング
・変化を見越して予測的に変革するタイミング
・業績悪化で経営不振を打開するタイミング
今回、新型コロナウイルスという未知の感染症によって引き起こされた環境変化ですが、この他にもインターネットやクラウドサービスの普及なども環境変化と呼べるでしょう。
このように自社を中心として見た時に、周りの環境がどんな状況になっているのか、また変化に合わせて自社も形を変えていくというのが、環境変化に合わせたタイミングでの組織改革と言えます。
また、こうした環境の変化をいち早く察知することができれば、環境が大きく変化する前もひとつの組織改革のタイミングとなります。
新型コロナウイルスの感染拡大やインターネットなどの普及をいち早く感じ取り、大きく舵を切った企業は環境変化後のトップグループを走ることになるでしょう。
もちろん、他社よりも先に舵を切るため、”環境がそこまで大きく変化しなかった”という結果が出てしまうこともあるため、ここの経営判断は非常に重要なポイントとなってきます。
加えて、業績悪化による経営不振は、企業としてなるべく避けなければなりません。ですが、経営不振に陥ってしまった場合にそれを打開するための組織改革もあります。
経営不振に陥る要因として、環境の変化に取り残されてしまったケースや企業の内的要因による顧客離れなど、さまざまなことが考えられますが、業績を回復させ、企業を存続させるためには痛みを伴いながらでも組織改革をおこなわなければいけません。
<組織改善のメリット>
組織改善を行うことで組織をスリムアップし、評価の最適化を図り、業務フロー改善でより業務効率化するなどのメリットが得られます。
人事制度を抜本から改善することで、納得性や公平性を担保することができ、社員のモチベーションも大きく向上することでしょう。
最終的には、組織改善によって企業寿命を伸ばし、より多くの利益を得ることが最大の目的でありメリットとなります。この点は忘れないようにご注意ください。
-まずは社内エンゲージメントを維持することから
記事の冒頭でも触れましたが、組織改善をおこなう上でまず意識すべきポイントは社内(従業員)エンゲージメントです。
特に、営業部隊がいる企業やマンパワーを必要とする企業では、従業員のエンゲージメントが生産性、強いては売上や利益に直結してきます。
“経営陣は従業員にお伺いを立ててはだめだ”という考え方もありますが、それはあくまで表面上の見せ方の問題であり、組織改革によって社内エンゲージメントを維持できなければ、従業員は付いていかず組織改革以前の問題が発生してしまう可能性もあるのです。
社内エンゲージメントの維持、つまり従業員が仕事に対してやりがいと同時に「これではいけない」という危機感を持っている状態が、組織としての生産性向上に繋がります。
さらに、その状態を保つことによって離職による人材流出などを防ぎ、結果的に企業として業績アップ、利益体質を作り上げることが可能になるのです。
なんのために組織改革をするのか目的をはっきりさせた上で、どのように社内エンゲージメントを維持していくのかという観点を持って取り組む必要があります。
-組織改革で陥りやすい課題
うまくいけば業務効率アップや業績向上を狙えますが、当然うまくいかずに失敗してしまうケースも多数あります。
むしろ、1度の組織改革で100点満点の成功が出せるケースはごく稀で、多くの失敗を伴いながら自社にとって最適な形を模索していくのが組織改革といっても過言ではないでしょう。
しかし、想定できる失敗や課題はなるべく避けたいものです。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉もあるように、自社や自身の経験から組織について考えるのではなく、事例や先人が見てきた失敗から最適な組織を考察する必要があります。
<経営陣と従業員との熱量の差>
「組織改革をするぞ!」と経営陣が意気込んでも、その熱量が従業員に伝わっておらず、現場が組織改革に前向きでなければ、その多くが失敗に終わります。
熱量というのは、ただ直向きに組織改革に向き合っていくことではなく、「なぜ組織改革をしなければいけないのか」「このままだとどうなるのか」「改革の先にはどうなるのか」といった組織改革の目的やその先にある結果を従業員にきちんと明示することが重要です。
経営陣の持っている熱量を正しく従業員に伝えることで、社を挙げた組織改革となり、思惑以上のいい組織が出来上がることもあります。
そのためには、経営陣のメリットだけではなく、従業員にもメリットのある組織改革である必要があります。
<トップダウンによる受け身体質>
経営陣と従業員に熱量の差がある場合にも起こりがちですが、もともとトップダウンの組織には従業員の受け身体質が染み付いていることが少なくありません。
この場合、受け身体質を突然大幅に改善することは難しく、ボトムアップの意識を長期的に現場に浸透させていく必要があります。
そのためには、組織改革を着手する前に従業員の抱えている課題や問題意識を吸い上げ、組織改革の最中にも意見を聞ける土台作りが必要となります。
<損失への過剰な反応>
組織改革には、仕組みを変えたことによる営業成績の低迷、新しい組織への不満による離職など、時として大きな痛みを伴う場合があります。
大規模な組織改革をおこなうことで、従業員個人のパフォーマンスが低迷したとしても、責任問題にしない環境を作ること、そして会社としても痛みを覚悟することが重要です。
人は、利益よりも損失に対して敏感に反応する傾向があります。(プロスペクト理論)組織改革においても「これで大丈夫なの?」という従業員の声が上がるケースは少なくありませんが、少しの損失で違う方向へ舵を切ってはいつまで経っても組織の最適化はできません。そのことを、経営陣も従業員も理解しておきましょう。
<短期的な目線を持ってしまう>
組織改革は一朝一夕でできるものではありません。また、多くの人が集まる会社という組織において、経営陣が思い描いていた通りに進まないことも珍しくありません。
思ったように進捗しなかった際に、短期的な目線で想定していると結果が出る前に誤った方向へ舵を切ってしまう恐れがあります。
客観的にどの程度の期間で組織改革が完了するのかを想定することも大切ですが、新しい組織に馴染んでいくためのスピードは組織によって異なります。
想定より時間がかかったとしても、長期的な目線ではメリットがあると信じ、耐えることも組織改革には必要です。
<ハードとソフトのアンバランス>
組織を考える際に「ハード要素」と「ソフト要素」という2つの要素に分けることができます。
詳しくはこの後、マッキンゼーの提唱する7つの経営要素「7S」というフレームワークをご紹介するのでここでは省きますが、ハードとソフトがアンバランスだとうまくいきません。
ハード要素とソフト要素をバランスよく保つことが、組織改革をうまく進めるポイントです。
<組織改革自体が目的になってしまう>
そして最後に、組織改革自体が目的となってしまい、失敗してしまうケースです。
根本的に組織改革が必要となる背景には、何か解決したい課題があるはずです。
あくまで組織改革はその課題を解決するための手法であるにもかかわらず、組織改革という大きな取り組みを進める中で、いつしか組織改革自体が目的になってしまい、本来の目的を見失っては本末転倒です。結果的に課題を解決できなければ組織改革をわざわざおこなった意味がありません。
経営陣・従業員ともに、組織改革の先にある課題解決という目的を見失ってしまってはいけません。
-組織改革を成功に導くためのフレームワーク
先ほど少し触れた世界的コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱するフレームワークの「7S」についてご紹介します。
この7Sとは、組織マネジメントをする上で重要となる以下の7つのSから始まる要素のことです。
(引用:ボクシル)
▼ハードの3S
・Strategy(戦略)
・Structure(組織)
・System(システム)
▼ソフトの4S
・Skill(スキル)
・Staff(人材)
・Style(社風・風土)
・Shared Value(価値観)
先ほどもご紹介したように、この7つの要素をバランスよく整理して伸ばしていくことで、より強固な組織を作り上げることができます。
どこか一つでも欠けると、そこから崩れていってしまう恐れがあるため、バランスを保ちながら組織改革を進めてください。
-まとめ
このnoteでご紹介した組織改革をおこなう際のポイントをまとめると以下のようになります。
・組織改革のタイミングには、外部環境要因・経営不振・未来への投資の3つがある
・組織改革をおこなうことで、生産性向上や利益向上が狙える
・組織改革は課題解決と社内エンゲージメントの維持を意識しておこなう
・経営陣のみではなく、従業員にも組織改革の意識をしっかりと持ってもらう
・長期的な目線を持って、7Sをバランスよく伸ばしていく
新型コロナウイルスをきっかけに、ネガティブな組織改革をおこなわざるをえない企業も多々あるかとは思いますが、どうにかその組織改革をポジティブな結果に結びつけることができれば、その先の未来は明るいはずです。
経営陣と従業員が一体となり組織改革に向き合えれば、長期的な目線で見たときに今の苦しい時期が必ず糧となります。
組織改革をおこなう際は、組織の問題点を明確化し、解決に向けた施策の計画を練る必要があります。加えて、改革を成功へ導くためには社員全員の目線を同じ方向に向かせることが重要です。これらの基本的なポイントをおさえた上で、自組織に合った変革を一進一退しながら取り組んでいきましょう。