見出し画像

アフターデジタルから学ぶ国内企業の挑戦

こんにちは。CROHackです。

本日は、ベストセラー『アフターデジタル』『アフターデジタル2』から、昨今バズワードになっているDX(デジタルトランスフォーメーション)について、日本企業が学ぶべきことを書いていきたいと思います。

なぜアフターデジタル、DXを取り上げるかというと①中国と日本でDXの捉え方が大きく違うのではないか、②中国のDXに学ぶところが多くあるのではないかと、日々のDXに関するニュースに接し感じたからです。

特にDXの捉え方では、顧客に向いているか、社内に向いているか、で相当大きな違いがあり、日本では企業ファーストになっているのではと見受けられます。

本記事を、すでに社内でDX事業に携わっている方や、サービスを開発、運営されている方に読んでいただき、少しでも参考にしてくださいますと幸いです。

-顧客体験価値を徹底的に追求する中国の事例

アフターデジタルを読まれている方は既に多いかと思いますので、本の内容は省略をさせていただきます。

ここで紹介される中国では、スマホでの決済を起点に顧客の消費行動データを収集し、顧客への価値提供に還元される、ユーザーファーストな世界です。

皆さんよくご存知なのがアリババが運営するアリペイ、テンセントが運営するWeChat Pay(ウィーチャットペイ)でしょう。
決済を抑え、しかも自社サービスの決済周りに日常生活で利用するサービス(フードデリバリー、配車、EC、チャットなど)を用意することで、ユーザーの購買行動を常に取得することが可能になりました。

画像1

出典:NIKKEI ASIA「Super apps: WeChat, Go-Jek and rivals battle to do it all in Asia」

ここからが彼らのさらにすごいところですが、その膨大なデータを顧客に還元することを徹底しています。そうでなければ、顧客がそのサービスの価値を感じないまま、他のサービスに移ってしまうからです。

つまり、取得したデータを顧客の体験価値向上のために活かし、それにより顧客がさらにそのサービスを使うという好循環サイクルを生み出すことを目的にしています。

-ユーザーから見た日本の決済事情

一方で、日本だとどうでしょうか。

日本の決済サービスだと、PayPayやSuica(交通系ICカード)がすぐに頭に思い浮かぶと思いますが、まさにPayPayはスーパーアプリ構想を掲げており、経済圏を確立し顧客の日常行動を囲い込む作戦を取っています。中国と同じような、スーパーアプリ構想を打ち出せているのはPayPayくらいではないでしょうか。

○○Payが乱立していますが、顧客の行動(アフターデジタル2では「バリュージャーニー」と呼んでいます)をカバーするところまで出来ておりません。Suicaにいたっては、決済自体大変便利で、利用者も相当数いますがそれを顧客IDと紐付けデータを蓄積し還元するというところまでがまだ不十分といえます。

JR東日本ニュース

出典:JR東日本ニュース

-日本企業がこれから戦う方法

中国と日本の決済サービスについての違いを冒頭に記載しましたが、ここで一番言いたいことは「取得したデータを顧客の体験価値向上に活用できる企業だけが生き残る」です。

中国では、乱立する各サービスの中で生き残るために独自でデータを取得し、サービス改善に努める企業や、スーパーアプリ経済圏に組み込まれることでその恩恵を受けながら顧客の価値を向上させています。それも、ある一点だけの顧客行動(例えばコンビニの支払いだけ)ではなく、決済プラットフォーマーを軸にしてバリュージャーニーを全てカバー出来ているからこそ可能になっています。中国ではDXをそのように認識しているようです。

一方で日本の場合、デジタルトランスフォーメーションは企業のデジタル化ばかりに視点が行っているように見受けられます。

DXに関する取り組みの達成度についても調べた。成功企業と失敗企業で取り組みに大きな差が見られたのが、「全社員へのデジタル教育」「デジタル知見を有した経営陣による意思決定」「デジタルとビジネス・業務知見を有した推進組織の設置」の3つだ。
本質も、ゴールもはっきりしない、DXとは一体何なのだろうか?
DXの本質は「デジタル技術と合理的マネジメントの融合」である。もう少し具体的に言うと、「企業がもつアナログな強みを活かしつつ、デジタル技術をテコにして、新しいビジネスモデルを考え、それを遂行するのに最適な仕事のやり方を探すこと」がDXの本質になる。

これはあくまでも会社の効率化が主眼になったデジタル化であり、顧客の体験価値を上げる方向に目が向いていません。このままでは日本と中国の差がどんどん離れていくばかりだと懸念しています。
このような内向きなDXだけではなく、デジタル化して得られたデータを顧客にどんどん還元していくDXが必要だということを最後に提案できればと思います。