リードクオリフィケーション-リードスコアリングに変わるリード絞り込み方法
こんにちは、CROHackです。
多くのリードを獲得した際に、マーケティング部門としてはなるべく多くのリードを営業部門に引き渡したくなるものでしょう。これまでのマーケティングの常識はプロセスの中身は変わっても基本はファネル型でした。
引用:TOKYO MARTECH BLOG
このファネル自体を入口から大きくすることがこれまでのマーケティングの当たり前でした。KPIをこの数に設定しているマーケティングのチームも多いでしょう。
しかし、その実態はファネルの上位層(潜在層や認知層)ばかりが増えても、リードの質が低いとなかなか商談につながらないため、営業メンバーとしては「もうちょっと絞ってよ」と思うものが多く、そのうちマーケティングと営業の間に溝が生まれるのです。
重要なのは、獲得した多くのリードをそのまま渡すことではなく、リードを精度高く絞り込み、質の高いリードを営業部門へ渡すことです。精度の高いリードを絞り込む方法として、多くの企業で使われている「スコアリング」に代わる、より有益な手法が企業で求められています。
今回のnoteでは、リードを絞り込むリードクオリフィケーションの手法について解説します。
-アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングのリードの違い
マーケティングは、顧客獲得のために営業スタッフが顧客にプッシュアプローチをしていくアウトバウンドと、顧客から自社を見つけてもらいやすくし、問い合わせを獲得した上で、営業活動を進めていくインバウンドの2種類に分けられることはすでにご存じのことでしょう。
アウトバウンドは、初めから自社のビジネスに最適であると予測されるターゲットの一覧を作成することから始めます。そして、ターゲットにテレアポなどで1社1社アプローチし、悩みを持つ見込客を絞り込んでいくという流れで進めていくのが一般的かと思います。
元々ターゲットになりうる企業にしかアプローチしていないわけですから、もしアポが取れた場合、その相手はターゲットである確率が高いといえます。
一方、インバウンドは、悩みを持ちその解決策を探しているインターネットユーザがターゲットとなり、そのユーザが自社サイトにアクセスし、記事やダウンロード資料を読むことでリードを集めます。しかしこの段階では、自社に最適なターゲットであるかどうかは分かりません。まだふるいにかけられていない状態です。
つまり、インバウンドで獲得したリードをそのまま営業スタッフへ渡してしまうと、ターゲット外の見込客まで渡してしまうことになってしまうということです。
このように、アウトバウンドとインバウンドとでは、リードが絞り込まれているか、いないかの違いがあります。
-リードクオリフィケーションとスコアリング
このことから、インバウンド営業を実施する際には、リードを絞り込む工程が重要になってきます。このリードを絞り込む工程が「リードクオリフィケーション」と呼ばれます。
リードクオリフィケーションとして「リードスコアリング」を適用している企業が多くあります。しかし、スコアリングは完全ではなく、逆に誤ったリードを営業に渡すリスクをはらんでいることをご存知でしょうか。
リードスコアリングとは、メールを開封したら2ポイント、資料がダウンロードされたら5ポイント、価格表のWebページを見たら10ポイントなどと設定し、スコアを加算していく方法です。そして「リードスコアが50を超えた時点で営業に引き渡す」などと設定します。
引用:5 Examples of Lead Scoring Models
しかし考えてみると、スコアが高いリードが必ずしもターゲットであるとは言えないことが分かります。例を挙げると、ベンチャー企業のインターン生が学習のために資料を10個ほどダウンロードすれば、その段階で一気に50ポイント加算されてしまいます。このリードが営業に引き渡されても有益とは言えません。
一方で、ターゲットとなるリードが問い合わせだけをして以後は何もアクションを起こさなかったとしたら、スコアとしては低スコアです。良質なリードとして営業に引き渡されることはないでしょう。
このように、スコアリングは有益でないリードに無駄な時間を費やし、重要かもしれなかったリード・商談機会を損ねるリスクがあるのです。
-リードスコアリングに変わるバイヤーマトリックス
リードクオリフィケーションにはスコアリングに代わる、より有益な方法が求められます。精度の高いリード見極めのためにはバイヤーマトリックスという手法が使えます。
■バイヤーマトリックス
バイヤーマトリックスとは「カスタマージャーニー」を横軸、「ペルソナ」を縦軸として作り上げるマトリックス図のことです。そのリードが今どのマスにいるかを想定します。カスタマージャーニーとは顧客が「課題を認識し、解決策の調査を行い、解決策となる商品・サービスを選定する」までのプロセスを図に表したものです。
この場合にペルソナとすべきは、「事業規模」「業種」「職種」「役職」などで定義されるターゲット像です。
バイヤーマトリックスの例
上の図は、バイヤーマトリックスの例です。カスタマージャーニーは「課題の把握フェーズ」「解決策の調査フェーズ」「商品選定フェーズ」の3つ、企業ペルソナは「大企業」、「中堅企業」、「小企業」としています。(実際はより細かく落とし込んで作成します)
このバイヤーマトリックスを使用し、各リードのステータスに対してどのような施策を打つか、どれくらいの数のリードを目標値にするかを設定します。
そして次に、各タイプのリードをいつ営業に渡すべきかを考えます。例えば、大企業の場合はサイトに訪れるなどの「課題の把握フェーズ」に入った段階で早々に営業に引き渡すべきですし、中堅企業であれば資料をダウンロードするなどの「解決策の調査フェーズ」に入った段階で、小企業であればサービス試用申請をするなどの「商品選定フェーズ」に入った段階で営業に引き渡すのが有効と考えられます。
このようにバイヤーマトリックスを用いてリードを営業に渡すタイミングを決めると、リードクオリフィケーションの精度を大幅に向上することができます。
しかしながら、バイヤーマトリックスは、一度できあがったら完成というわけではありません。継続的にPDCAを回していき、改善し続けることで初めて成果につながっていきます。
インバウンド営業で獲得したリードをそのまま、もしくは単純なスコアリングだけで営業に引き渡すことは、非効率であり重要なリードを取り逃がしてしまう恐れもあります。
今後このPDCAはAIが担うことが当たり前になる未来が来るかもしれません。しかし、その時代が来る前に自社でこのマトリックスの骨子や、AIがが学習をする際の軸を作っておく必要があります。
重要なのはリードを絞り込むリードクオリフィケーションの精度を上げることにあります。バイヤーマトリックスはその有益な方法の1つと言えるでしょう。ぜひ自社のマトリックスの策定・見直しを行ってみてください。