SNSで1億の利益⁉ウィルゲート吉岡さんに聞く「ソーシャルセリング」という戦略
こんにちは、CROHackの執筆を担当している清水です。
コロナ禍において、多くの企業では売り上げを伸ばすのに何か良い方法はないかと模索しているかと思います。そんな中で現在注目されているのがソーシャルセリングです。
1人のSNS経由で1億を超える利益を獲得!?
今回は皆様にソーシャルセリングのポイントをお届けするべく、ソーシャルセリングの第一人者のウィルゲートCOO吉岡さんとCROHackエバンジェリストの権田による共同ウェビナーのレポートを、記事としてお届けすることとなりました。
吉岡さん1人のSNS経由で1億を超える利益を獲得されたソーシャルセリングのポイントが詰まった濃密な記事です!
ぜひお楽しみ下さい!
今回のウェビナーはまず権田ソーシャルセリングについての全体観を共有するところから始まりました。
-コロナ禍において重要性を増すソーシャルセリング
権田 コロナ禍において、各社が取り組んでいる営業施策は以下の4つかと思われます。
業績を堅調に推移させている企業は4つのどの施策にも注力しながら経営を進めており、コロナ禍でもしっかりと業績を上げていくにはこの4つの施策をバランスよく実行していくのが重要だというのは、皆さんもご存じの通りです。
そんな中で重要となってくるのが今回取り上げるソーシャルセリングです。
今回取り上げるソーシャルセリングは、先ほどにご紹介した「コロナ禍における4つの営業施策」すべてに寄与するセンターピンとなります。
ここから具体的なソーシャルセリングを行う上でのポイントをご紹介していきます。
-ソーシャルセリングの第一人者、吉岡さん
権田 本日はソーシャルセリングをいかにして成功させるのかを学ぶために、ソーシャルセリングの第一人者である吉岡さんをお招きしています。
吉岡さんは個人のFacebookで8000人の友達、Twitterでは15,000人のフォロワーがいらっしゃり、様々なコミュニティの運営もしていらっしゃいます。
その人脈でSNS経由から5000円のセミナー動画を641人に販売、動画の視聴者からの新規受注の粗利で5000万円、FacebookにM&A案件を投稿して1年で成約実績10件など、まさにソーシャルセリングの体現者です。
本日はいかにしてこのような成果を出したのかのポイントを語っていただければと思います。吉岡さんよろしくお願いいたします。
吉岡 よろしくお願いします!
-ソーシャルセリングの効果
権田 ソーシャルセリングを行うことによる効果は様々あると思うのですが、吉岡さんはどのような点で最も効果を感じていらっしゃるのですか?
吉岡 そうですね、おっしゃる通り様々な効果がありますが、新規顧客の獲得の部分で最も効果を感じていますね。
驚いたのが、ここ最近の私経由の新規顧客を分類したところ2年ぶりに連絡を取ったようなあまり関係性の強くないお客様からの紹介が4割を占めているんです。
これはソーシャルセリングで関係性を作ったことが大きいと思います。
権田 関係性の薄いご友人からも紹介がもらえるというのは、関係性を強めたお客様から紹介を頂くという従来の考え方とは真逆でまさにここが吉岡さんのソーシャルセリングのポイントですよね。
会っていない間も吉岡さんが発信を続けていることによって、常につながっている感覚(Always be connecting)を作りだせているからこそ、関係性の強くない人からも紹介をもらえる。
関係性の強い顧客だけでなく、関係性の弱い顧客からも紹介をもらえるというのが吉岡さんが大きな成果を上げることを可能にしているポイントですよね。
-ソーシャルセリング活用のポイント:ファンづくり
権田 ここからは実際に吉岡さんはどのようにソーシャルセリングを行っているのかを詳しく伺いたいと思います。
まず、ソーシャルセリングは個人が社会に対して発信をして、関係性の強い顧客、すなわちファンを作っていくのが非常に重要になってくると思いますが、吉岡さんはどのようなことを意識してファンづくりを行っていらっしゃるのですか?
①ポイントを押さえた発信
吉岡 そうですね、まずはしっかりとポイントを押さえながら発信をして行くことが重要だと考えています。
発信内容には大きく4種類あります。
この4つを使い分けています。
特に重視しているのが、「自分の考え方や価値観についての発信」です。
人はやっぱり考え方とか価値観に対して共感するものなのですよね。
例えば小島(ウィルゲートCEO、吉岡さんとともにウィルゲートを立ち上げ)の誕生日に自分はいつも小島にこういう思いを持っている、ということを伝えたんだ、という投稿をしたりします。
こういった価値観って一般的に多くの人に発信するものじゃないと思うんですけど、価値観や思いを発信することでそれを見た人からの共感を生んで、親近感を覚えてもらうことができるんですよね。
権田 こういった理念や価値観の発信は活動報告なんかと比べて難しい部分もあるかと思うのですが、なにか工夫されていることはあるんですか?
吉岡 ウィルゲートの創業ストーリーを書いた書籍をダイヤモンド社から自費出版して、数千冊を無料で配りました。
読んでもらうことで、自分の時間を使うことなくより多くの人に自分の理念について深く知ってもらえるんです。
実際にこの本を読んでくれた方が一回もあったことのない自分のファンになってくれて、取引先になっていただけたこともありました。
権田 書籍を読んでもらうことによって会ったことがなくても吉岡さんのことを深く知っているような感覚を生み出すことができるんですね。
権田 他に発信の中で意識していることはあるんですか?
②発信を受けてとってもらうための工夫
吉岡 相手に読んでもらえるような工夫をすることは意識しています。
例えば人の役に立つ話の発信はその一例で、読み手のメリットになるような話しをすることで、興味を持って発信を受け取ってもらえるんですよね。
自分が発信でき、かつ人のためになるテーマを決めて、その情報を発信していくことがポイント。例えば吉岡の場合SEOってテーマを決めて発信していくことでSEOに関心のある人にとって有益な情報を発信する者だと感じてもらえて、発信自体に興味を持ってもらえるんです。
またこうすることで「SEOのことなら吉岡だ。」というイメージをお客様に持っていただけて、SEOで悩んでいるお知り合いの紹介に繋がっているという側面も大きいかもしれません。
権田 関係性のできている顧客にとっては吉岡さんがSEOというテーマでのトップオブマインド、最初に思い浮かぶ人物になっているんですよね。
いままでは広告といえば電通、のようにトップオブマインドには企業が来るはずだったのが、吉岡さんの場合コンテンツの発信によってターゲットとの関係性を強めて、個人としてトップオブマインドになっているんですね。
吉岡 そうですね。後は相手が共感しやすいようなプライベートの情報を入れていたり、相手が返答したくなるような発信を心がけています。
例えば新年のあいさつを送るとき、新年の1営業日目はバタバタしていて忙しいから2営業日目に送りますし、内容も形式ばった謹賀新年みたいなあいさつではなく、自分が年末年始に家族とどういうことをしたかなどの話を入れています。
権田 こういった工夫によって顧客に発信をキャッチしてもらえる機会を増やし、自分が仕事やプライベートで何をしているかを知ってもらうことで、Always be Connectingの状態を顧客との間で作ることができているのですね。
-ソーシャルセリングのポイントその2:ファンから取引先へ
権田 ここまで顧客とのつながりを作り、ファンにするノウハウをたっぷりとお聞かせいただけたのですが、吉岡さんはこのファンの方をいかにして取引につなげているのですか?
吉岡 それぞれに応じた情報を発信することで顧客のナーチャリングを進めて、相手から相談が来るような状態を作ることが重要だと考えています。
商談自体はナーチャリングを進めていれば自然に発生するので、そのタイミングを待つことを大事にしています。
権田 なるほど、そのために具体的にはどのような取り組みをされているんですか?
①顧客管理
吉岡 まず重要になってくるのは顧客管理ですね。
名刺の管理とデータの活用は徹底しています。
一人一人この方は挨拶だけ、この方はセミナーのご案内を随時する、といった具合に独自のルールをつけて、15000枚の名刺を手作業で振り分けました。
権田 15000枚を手作業で…途方もない作業ですね(笑)
吉岡 名刺の整理をして気付いたら朝の4時になっていました(笑)
ただこの作業はどれだけ時間がかかっても絶対に必要だと思っています。
業態や社員規模、役職などによってしっかりとグループ分けをしてそれぞれが興味を持ちそうなセミナーなどを案内することで取引のきっかけとなるようなポイントを作ることができるんです。
権田 しっかりとターゲティングをしたうえで情報を発信していくのはマーケティングの基本ですよね。
②関係性に応じた時間の使い方
権田 そのほかに意識されていることはあるんですか?
吉岡 これは自分でも最近気づいたんですけど、関係性の深い人ほど多くの時間を割いていますね。
これ、自分が1週間にどのSNSにどれくらい時間を割いているかを示したものなんですけど、
権田 Messengerに使っている時間が一番長いのが印象的ですね。確かにTwitterでの繋がりよりもMessengerでの繋がりの方が深い感じがします。
吉岡 そうなんです。
やっぱりつながりが深い人に対しては個別のやり取りでしっかりと時間を使って、繋がりの浅い人に対しては特定多数に対しての発信で熱感を高めているイメージですね。
権田 カスタマーサクセスにおけるハイタッチロータッチテックタッチを個人でやっているようなイメージですね、これがトップソーシャルセラーの時間の使い方!
③相手が自分と絡みたいと思ったタイミングで提案を行う
吉岡 こういった形で関係性を作っていくと、相手から自分に対してメッセージが送られて来るようになるんですね。
そのタイミングで相手のHPを見たりして協力できそうなことがあったらこちらから提案をしたり、飲み会に誘ってみたりしています。
このタイミングを間違えると相手から返事が来なくなったり関係性が途切れてしまうことになるんですよね。
権田 まず土台にしっかりとした関係性構築があり、関係性ができたタイミングを見極めて提案を行っていくことが重要なんですね。
これは従来の営業とは大きく異なるポイントですね
今まではどちらかと言うと顧客の満足度を上げて、その顧客に積極的にアプローチをかけて口コミを広げていく形。
対して吉岡さんモデルは既存客か否かや、吉岡さんのことを知っているかいないかなどの垣根を越え、まだお客様になってない段階からすでに口コミが生まれていく流れを作っているのが特徴的なんですよね
Twitter、FacebookなんかのSNSに多くのフォロワーがいて、それ以外でもコミュニティの中心として多くの人とつながっているという状況があって、吉岡さんの場合は自分から積極的に営業しにはいかない。
TwitterやFacebookなどのSNSと、運営されているコミュニティに常に発信を続けて集客とナーチャリングを同時に進め、自分に近い関係性の顧客だけではなく、関係性の薄い遠い顧客から受注を生み出しているのが特徴なんですよね。
-事業戦略としてのソーシャルセリング
権田 個人でこれだけ成果を上げていることからも、事業戦略にソーシャルセリングを取り組まない手はないですよね。
吉岡 その通りですね、ブランド人材の個人資産を活用して企業全体のプレゼンスをあげていくことがコロナ時代の勝ち方だと感じています。
権田 ウィルゲートでは具体的にどのようなことに取り組んでいるのですか?
吉岡 2年前からマーケティング組織を本格的に立ち上げ、脱吉岡依存を図りました。設立1年で10名以上の組織に成長、私経由の受注が7割だった所が3割まで下がりました。
また、私のノウハウを会社全員に伝えて、SNSの発信力が高い人材を育成することを目指しています。
それぞれのメンバーにTwitterアカウントを開設させて、社内勉強会でSNSの運用方法を教えたり、オウンドメディアを運営やウェビナー開催など、仕組みとしてリード獲得できるチャネルを増やしたりしました。
権田 この取り組みの中で注目すべきは、こういった事業活動としてのソーシャルセリングを行う基盤になっているのが、吉岡さんのソーシャルセリングのナレッジや、吉岡さんの知名度という個人資産であるという点ですね。
吉岡 そうですね、イメージとしてはアイドルとかの“箱推し”に近いです。
吉岡に興味を持ってくれた人がウィルゲートのことを知ってくれて、ほかのメンバーのことにも興味を持ってくれて、それぞれのファンにもなってくれて、最終的に個人の集合としてウィルゲートのファンになってくれる、というイメージですね。
メンバーにとっても自分にブランドがつくことは価値として大きいし、会社にとっても全体のプレゼンス向上に寄与するというWin-Winの関係が築けていると思います。
権田 そういった形で、企業がブランド人材の個人資産をうまく活用、統合していくことで企業そのもののプレゼンスをあげていくことが事業戦略としてソーシャルセリングを行っていくうえでの肝なのですね。
-まとめ
権田 最後に、吉岡さんがソーシャルセリングにおいて最も大事だと思う部分を教えてください。
吉岡 一番重要なのは目的を数字成果ではなく、ファンを作ることに定めることですね。
営業の成果のためにやっていくことではあるのですが、その気持ちが前面に出てしまうとファンとの関係性は作れないんですよね。
権田 タイミングを待って提案をしていくというお話の中にもあったように、営業サイドから積極的なアプローチをかけていく従来の狩猟型のセールスではなく、顧客との関係性を育て切ったところで提案をしていくいわば採集型のセールスが吉岡さんのスタイルなんですね。
自分からもまとめさせていただくと今回のお話の中での重要ポイントは、
個人資産の重要性が増して、個人が法人よりも先に立つようになったという変化と、その変化に対応して企業がいかに個人のブランド資産を活用、統合していくのかという部分にあったかと思います。
この変化は不可逆だと思います、これからはいかに個人資産を蓄積、統合していくかが企業の成功のカギとなることは間違いないでしょう。
吉岡さん、本日は貴重なお話をどうもありがとうございました!