働きがいのある会社が実践する<新卒が早期活躍する>育成と研修プログラム
こんにちは。CRO Hack編集メンバーの坊(@crohack_bou)です。
実は、コンサルタントとして、クライアントの支援に携わらせて頂いている一方で、社内の新卒1年目の育成にも担当者として関わっておりました。
そこで、人財育成の研修等もクライアント企業様に実施させて頂く、弊社自身の社内育成についての「リアル」をお届けできればと思い、筆を走らせてみました。
また、弊社では一般的に使われる「人材」という漢字を「人財」と表現しております。本記事も「人財」で統一させて頂きます。「人財」と表現している意志も本記事でお伝えできればと思います。
-リブの人財育成の実績と人財育成の定義
ここ数年でベンチャー/スタートアップ企業の盛り上がりとともに、新卒採用の市場においてもベンチャー/スタートアップ企業が注目を浴びることが増加しつつある中で、キャリア採用と比較すると、「新卒社員が活躍するには時間がかかる」というのが正直なご意見かと思います。
とはいえ、ベンチャー/スタートアップ企業の成長スピードを担保していくためには各個人の成長スピードが要になります。では、どのようにすれば、「新卒社員の早期活躍」を促進することができるのでしょうか。
実は、弊社自体も創業10年未満のベンチャーコンサルティング企業でありますが、創業時から新卒採用をし、自前でコンサルタントの育成に励んで参りました。
自社をショーケースとした人財育成に力を入れており、実際に入社から約3年で、クライアント企業様を背負うコンサルタント(プロジェクトリーダークラス)への成長を実現しております。
また、手前味噌で恐縮ですが、非常に光栄なことに“Openwork総合3位(人材長期育成:1位)”、”ベストモチベーションカンパニー2年連続選出“、”働きがいのある会社ランキング6年連続選出”と社外からの評価も頂いております。
実際に、“新卒採用をいつから始めようか”“、”どう育成したらいいか”についてのご相談も多く頂いておりますので、そんな弊社の人財育成が「どのように行われているのか」について、活躍する人財の基本要件5つと照らし合わせながら、リブメソッドを紹介していこうと思います。
私たちは、「活躍する人材の基本要件」として以下の5つを定めております。
① 仕事の仕方において凡事徹底できている
② “自己変革”に対する意欲がある
③ 常にバッターボックスに立てている
④ 実行力がある
⑤ 自分自身で“描く”ことができる
主に今回は、5つそれぞれの解説を踏まえた上で、弊社が実際に行っている新卒育成の研修プログラムについてご紹介していきます。
-① 仕事の仕方において凡事徹底できている
まずは基本中の基本でありながらも、当たり前に実行するのが難しい“凡事徹底”です。
それぞれの企業で業務を推進する際の当たり前水準は異なるかもしれませんが、ここでの凡事徹底は、「これだけは絶対にやろうね」という“日報の提出”や“業務における報連相”を指します。
この最低ラインの凡事徹底ができていないと、共に仕事をする仲間としての信頼にも響くため、大きな仕事や役割、責任を任せたくても、任せられない状況になるかと思います。成長余地が非常に大きい新卒社員にとって、この状況は致命的です。
そのため、まず初期段階においては、凡事ができているかを細かく、入念にマネジメントすることが重要になります。
その際に育成担当者/マネジメント者として気を付けなければならないのは、“自分が率先垂範できているか”です。当たり前ですが、育成担当者/マネジメント者ができていないことは、いくら正論でも響きませんし、「指示されている凡事は実は実現難易度が高いのではないか」とも思わせてしまう可能性もあります。
-② “自己変革”に対する意欲がある
2つ目としては、 “学びの意欲”です。これは、多くはないとは思いますが、「本人次第」だと片付けられがちな側面もあるのではないでしょうか。確かに、本人の意欲によって一定程度左右される部分はありますが、“いかに意欲を引き出せるか”も腕の見せ所ですね。
当該要素が醸成されない場合のリスクは言うまでもないかと思いますが、自身のできる範囲にとどまり、それ以上のことはしない/できない状況になることです。翌年、翌々年に入る新卒社員の後輩の方が“できる”状態になった時、「自分には向いていない」といった形で離職していくことも少なくないのではないでしょうか。
このような状況をゼロに近づけるためにも、育成担当者/マネジメント者が考えるべきは、「彼/彼女の“やる気”スイッチはどこにあるのか」です。人それぞれ、やる気スイッチは異なりますが、ある一定の鉄則はあると考えています。
それは①仕事の価値づけ/意味付けをすること➁スモールウィン(小さな成功体験)を積み重ねること の2点です。
①仕事の価値づけ/意味付けについては、端的に言えば、「目的」の共有です。“この業務をすることで、自身にとって○○の成長に繋がる上に、△△のプロジェクトにおいては、□□の観点で重要な業務である”と明確に伝達することです。
そうすることで、単なるタスク処理をしているのではなく、自身の仕事がもたらす影響を捉えながら仕事に向かうため、モチベーションが上がりやすくなります。
➁スモールウィン(小さな成功体験)を積み重ねることについては、人間の承認欲求/自己実現欲求に訴えかけることです。新卒社員にとっては、関わる業務のほとんどが初めての経験であり、明確に“○○が良かった!”と言葉にすることで、できるようになったことを自身で認め、次のチャレンジに向かう意欲を醸成することができると言えます。
また、フィードバックの際により効果的なのがGood&Moreの観点です。Goodで成功体験を褒めて次のチャレンジに向かう意欲を醸成した上で、Moreの観点でのフィードバックをすることによって、スモールウィンのサイクルを効果的にループさせることができます。
-③ 常にバッターボックスに立てている
先程のスモールウィンのループにも通じる部分ですが、常にチャレンジする“場”を設けられていることは短期間で活躍する人財を輩出するためには非常に重要なポイントです。
自身の成長課題も特定でき、次のチャレンジテーマも決まっているが、トライする“場”がないことは、タイムロスそのものです。
そこで、必要になってくるのが、育成者/マネジメント者との定期レビューの場です。多くの方が定期レビューの場を設けていらっしゃると思いますが、この場では、業務工数の確認や近況の相談等も必要であると同時に、トレーニーの成長を下支えするためにトライする場としての位置づけも必要です。
具体的には、“リフレクションの浅さ”が成長課題となっているトレーニーに対して、トレーナーがリフレクションの深堀りをサポートすることなどが挙げられます。
このように、トライする“場”を用意し、それに伴った準備の依頼(宿題)とフィードバックを繰り返していくことで、自身の成長課題に対して向き合い、乗り越えるためのバッターボックスに立ち続けることがタイムロスをなくすためにも重要です。(ここでも忘れてはいけないこととしては、Good&Moreの視点でのフィードバックです。)
-④ 実行力がある
4つ目のポイントとしては、“どれだけやり切れるか”です。PDCAの中で言えばDoに当たる部分ですが、PlanやCheckよりも先にDoを挙げたのには理由があります。
それは、“Doがやり切れませんでした”という振り返り(Check)は決して質の高いPDCAになり得ないからです。
自身が計画したPlanの実行において、“自身の実行量がたりなかった”、”自身の実行スピードが間に合わなかった”という振り返りは、業務工数や業務の優先順位の振り返りにはなりますが、「では、次頑張りましょう」にしかならないと思います。
あるべき振り返りを、“計画したPlanにおける甘さや視点の漏れを振り返ることで、より実現可能性の高いPlanを立てられるようになること”だとした場合に、業務工数を調整し、優先順位を上げたとしてもPlanの実行によって目的/目標を達成できるとは言い難く、あるべき振り返りの姿とは到底言えません。
では、実際に実行力を高めるためには何をするべきなのでしょうか。前述のあるべき振り返りの姿を伝えている前提で、やり切れていないことに対しては、フィードバックをしない等の毅然とした態度で接することが効果的であると言えます。
➁自己変革の意欲と③バッターボックスに立つことが醸成されていることが前提となりますが、被育成者にとってフィードバックしてもらえないことは、自分自身の成長に対して自らブレーキをかけている状態であり、フィードバックを貰う予定だった時間が被育成者と育成担当者/マネジメント者の双方にとって、非生産的な時間となってしまうことも自然と認識することができると言えます。
-⑤ 自分自身で“描く”ことができる
最後に挙げるのは“考える力”です。“正解”がない不確実なことに対して、自ら考え、先を描くことで、現時点での確からしい解を導くことです。少し小難しい表現で書いていますが、簡潔に申し上げると、“自分の考え”を持つことです。
自分の考えを持つことの重要性は言わずもがなだと思いますが、誰かから言われたことだけをその通りに推進することは、“作業者”とも捉えられます。では、“作業者”を極めることは、ベンチャー/スタートアップ企業にとって活躍する人財になり得るでしょうか。ほとんどの方がNoと答えると思います。
業務遂行において、もちろん作業をする人無くしては進みませんが、それだけではよりよい成果を出し続けることは難しく、“どのようにすればより良い成果を出せるか”を考え、その道筋を描くことが必須です。役職や立場によって成果の定義は異なりますが、営業部長であれば、営業部全体の売上ですし、営業マンであれば、個人の売上です。
では、この“考える力”を養うためにはどのようにすればいいのでしょうか。
それは、自身の考え(仮説)がないものに対しては、答え(≒育成担当者/マネジメント者の考え)を提示しないことです。
“まずは自分の考えを持ってきなさい。話はそれからだ。”ということです。(但し、明らかに経験や知見がないと仮説が立たないことに対してはこれに囚われない。)このスタンスで接することで、自然と自分で考えることが身に着いていくのです。
-弊社の育成事例(研修プログラム)のご紹介
ここまでは概念的な基本ポイントのお話をさせて頂きましたが、本章では、弊社の新卒社員の入社後育成についてご紹介させて頂きます。
新卒社員に関しては、入社後約3ヶ月半にわたり、初期研修を実施しております。この期間のプログラムとしては、①基礎研修➁ケース研修③営業研修④実践研修の大きく4つのプログラムがあります。
① 基礎研修(0.5ヶ月)
まずはこの期間で、コンサルタントとして仕事を進める上での“仕事の仕方”をインストールします。また、インストール終了後は、常に“仕事の仕方”の観点でのフィードバックを行うことで、凡事徹底と“仕事の仕方”の定着を図っています。
② ケース研修(0.5ヶ月)
ケース問題を通じてコンサルティングにおいて基礎となる分析や示唆出しを学ぶとともに、各ケース問題のレビューを“仕事の仕方”に沿う形でしか進められないようにすることで、ケース研修終了後には“仕事の仕方”に則って仕事を推進できる状態まで育成します。
③ 営業研修(1.5ヶ月)
営業研修では、特定の商材について自らテレアポから商談までを実施して、受注まで繋げることを行います。ここでは、営業活動の実際を知り、クライアント企業様に対して、感情移入できるような経験を積むとともに、営業成果を出すという自分との闘いをやりきることで、“自分で成果を出す”ことを経験するとともにやりきる力を育成します。
また、自分との闘いの中で自己と向き合うため、当該研修で、自己課題を解像度高く特定していきます。もちろん、コンサルティングをしたくて入社したのに営業をする意味はどこにあるのかという反発は、毎年一定数はありますが、目的とゴールを伝達し、意義をもって向き合ってもらうようにしています。
④ 実践研修(1ヶ月)
最後の研修として、これまでの学びの集大成を発揮するための実践研修を行います。内容としては、1つのプロジェクトを想定の上、与件のみを伝達し、納品まで新卒社員のみで完遂するというものです。
当該研修を通じて、過去の学びをどれだけ昇華できているかを確認するとともに、研修期間内で行う週次のレビューを通じて、PDCAを回すことで、配属直後から活躍できる人財へとラストワンマイルの成長を促進します。
このように育成担当者によるレビューでサポートしつつ、短期間高速PDCAを自ら回すことで、座学⇒実践⇒定着を実現しています。また、育成担当者には新卒社員(入社3-5年目のメンバー)が着任しており、新卒社員が成長過程で躓くポイントを理解しているからこそ、短期間高速PDCAのサポートが実現していると言えます。
-新卒社員育成におけるKey Success Factor
以上、新卒社員の早期活躍に向けた人財育成におけるポイントを5つにまとめて書かせて頂きましたがいかがでしたでしょうか。
① 仕事の仕方において凡事徹底できている
→育成担当者/マネジメント者が率先垂範し、凡事徹底すること
→その上で、初期段階では細かく入念にマネジメントを働かせること
② “自己変革”に対する意欲がある
→クイックウィンを作り、Good&Moreの視点でフィードバックすること
③ 常にバッターボックスに立てている
→タイムロスを最小限にするための“場”と“機会”を設定すること
④ 実行力がある
→やり切れていないことに対して毅然とした態度で接すること
⑤ 自分自身で“描く”ことができる
→まずは自分の考え(仮説)の提示を促すこと
上記の5つのポイントに加えて、最後に育成担当者/マネジメント者が行うべきことについて補足すべきことを1点だけお伝えしたいと思います。それは、“被育成者の成長のストーリーを描くこと”が重要だということです。
それぞれに成長課題があり、それぞれ躓くポイントが異なります。そのため、マネジメント方針を統一することも大事ですが、それぞれにアジャストした形でのサポートも同様に重要です。
先回りした人財育成を行うためにも、“いつ、どのような状態になっているか(ゴール)”とそれに向けた“成長の軌跡“を是非、描いていただければと思います。
今回の記事が、少しでもご参考になれば幸いです。最後までお読み頂きありがとうございました。
■この記事を書いたひと
坊将徳(ぼうまさのり)
新卒3年目で戦略から実行まで一貫できる期待の若手。新婚。