勝ち組ベンチャーに共通する前向き思考 -リブから見たICCサミット KYOTO 2020-
こんにちは、CROHackの大島(@crohack_oshima)です。
9月初旬に開催されたIndustry Co-Creationサミット KYOTO 2020(以下ICC)に参加をさせて頂きました。
今回のICCは、完全オンライン開催という選択をしたInfinity Ventures Summit(IVS) と対照的にリアルイベントとして開催されました。
徹底したコロナ対策をとった上で670名ものベンチャー関係者が集まり、大盛況のうちに閉幕。改めて、リアルでイベントをすることの価値を感じた3日間でした。
さて、今回の記事ではICCに参加をした上で感じたベンチャー界隈のトレンド考察を皆さんに共有させていただこうと思います。
今回、イベントに参加されなかった皆さんにもICCで取り上げられた内容などを知って頂く機会になれば幸いです。
- もう “コロナ対策”はベンチャー経営者のトップイシューではない
今回イベントに参加をして印象的であったのは、コロナについて取り上げたテーマが一つも無かったということです。
巷のウェビナーでは、「コロナ禍におけるデジタルシフト」や「コロナにおいてオンラインセールスをどう成立させるか」などのテーマが今もよく取り上げられていますが、ベンチャー経営者向けイベントのICCではこれらが一つもテーマとして取り上げられていませんでした。
ベンチャー経営者の中では、コロナが既にデフォルトになっており、「コロナだからどう」といった話は一つもなく、取り上げられている内容は、事業・組織・ファイナンスなどコロナ前から重視されてきた本質的な内容が中心となっていました。
緊急事態宣言が発令された4月頃はコロナが経営上のリスクにまつわる優先イシューであり、ベンチャー経営者の中でも大きく議論されていましたが、半年を経て各社が対応を済ませ、順応したことで優先度の高いアジェンダではなくなったと考えられるでしょう。
コロナへの対応によって業績に差が出た4月から変わり、コロナへの対応が一通り済んだ上で、今あらためて本質的な企業の価値が問われるようになってきています。
- 勝ち組ベンチャーはコロナを前向きに捉える
各セッションの登壇者の話を通して、コロナという有事を自社の経営上のチャンスであると捉えている経営者の方が非常に多かった印象を持っています。
コロナ禍という短期間で無数の意思決定が必要となる状況において、リソースを多くもたないベンチャー企業は、リソースを多く持ち社内調整に時間がかかる大企業と比べ、柔軟かつ迅速に対応しやすい強みがあります。
ここが勝負どころだと捉え、一気に勝負をかけていった企業もいたのではないでしょうか。
一方、コロナにより一定の打撃を受けている企業においても、これを自社の変革の機会と捉え前向きに捉えている方が殆どでした。ベンチャー経営者の方々に共通する前向き思考は是非取り入れていきたいですね。
前向き思考については、コロナ禍の事業戦略を立てる上では、無数の事業オプションを持った上で事業展開をしていくことで、向かい風を追い風に変えていく動きが重要ということを過去の記事で取り上げました。
ICCに登壇されている経営者の方々は、まさに、こういった事業オプションを多数持ち、コロナを追い風に捉えた経営者が多かったように思います。
複数の事業オプションを持ち続けることを出来ているかは、改めて自社で考えていきたいポイントですね。
- 会社として・経営者としての存在意義が問われている
もうひとつ印象的だったことは、今回のICCではリーダーシップ・自己理解といったテーマが人気を博していたということです。
コロナによって、自社の存在意義を見つめ直すキッカケになった会社はやはり多かったのでしょう。
コロナにおける外部環境の変化により、自分たちは何をする会社なのか、自分たちはどうありたいのかについて、改めて突きつけられるようになりました。
とあるドラックストアでは、コロナ期間中に毎日マスクを買いに来る客が朝、長蛇の列を成しトラブルが絶えない状況に陥ったといいます。
その際の対応策など、誰も答えを持っていません。そういった際の行動を決める上で大事になるのが「自社は何を提供する会社なのか」という問いです。
そのドラックストアでは、「朝にマスクの販売を辞め、不定期で棚に並べる」という決断をされました。
これも自社が何を提供する会社かと向き合った故に出された決断であると思います。
また同様に、経営者自身も自身がどうありたいのかと向き合うことが大事になってきています。
なぜ、その事業をやるのか、自身はどういった存在でいたいのかと向き合うことでより良い会社を作っていくことが出来るでしょう。
- DXの加速と社会課題解決の実現
少しマインドに寄った話となりましたので、事業という話に戻そうと思います。
今回、ICCのカタパルトに出場していた企業やセッションに登壇していた企業では、産業をDXさせていく会社が多くいたなと感じています。
“DX”自体はバズワードとなっていますが、産業のデジタルトランスフォーメーションはもうかなり前から言われ続けていた内容です。
しかし、中々形となっていなかった中で、ようやくガートナーのハイプ・サイクルで言うところの、幻滅期を超えて実用化のフェーズに移ってきたのではないでしょうか。
出典:ガートナー
介護施設向け排泄センサーを提供する株式会社aba、スマート保育園の実現を目指すユニファ株式会社などは、レガシーな産業をDXしている一例であると言えます。
身近な例で言うと、ここ1~2年でタクシー手配のデジタル化は一気に進みました。これらも長年変わっていなかった事業が変わった一例であると言えるでしょう。
DXに取り組もうとする会社がビジョンを語り実現はまだ先ですと言っていた時代から、しっかりと収益化をさせてビジネスとして成立させる時代に変わっているということが、一つ時代が前に移った証であると思います。
- まとめ
【ICCから見えた勝ち組ベンチャーの共通項3つ】
1. コロナなどの有事(ピンチ)を前向きに捉えている
2. 複数の事業オプションを持ち続けている
3. 自社の存在意義を軸に経営判断を行っている
参加企業やコンテンツ内容という視点からICCについての気づき、学びをまとめてまいりました。
コロナを受けて、勝ち残っている経営者に共通していることは、コロナなどの有事を前向きに捉えるということ、自社の存在意義と向き合い自社が「何をする会社なのか」を定義して軸を持ち経営をしているということです。
これを機に改めて自社のミッション、ビジョンを見つめ直すと共に、有事を前向きに捉えられるように事業オプションを準備するということからはじめてもらえればと思います。
本記事が皆さんの日々の仕事において、少しでもお役に立てていれば嬉しいです。ご精読ありがとうございました。