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勝ち組BtoB SaaS企業を徹底解剖!事業グロースの勝利の方程式とは【資料無料DL】

こんにちは、CROHackの大島(@crohack_oshima)です。

先日参加したICCサミット Kyoto 2020の2日目セッション9Eにて、弊社リブ・コンサルティングは、「勝ち組BtoB SaaS企業を徹底解剖!勝利の方程式を実践型ワークショップで白熱討論」というテーマでセッションを開催致しました。

モデレーターを弊社権田が務め、登壇者には、Chatwork創業者の山本さん、Sansan取締役の富岡さん、ユーザベース取締役の佐久間さんをお迎えして、SaaS事業の勝ち方について白熱討論を致しました。

今回はその内容を、登壇者の皆さまの了解を得てこの機会に、再録記事として公開させて頂きます。

最後に、セッションで使用した資料も掲載しておりますので、是非最後までお読み下さい。

▼登壇者プロフィール

山本 敏行
昭和54年3月21日、大阪府寝屋川市生まれ。
中央大学商学部在学中の2000年、留学先のロサンゼルスでEC studio(2012年にChatWork株式会社に社名変更)を創業。
「自分がいなくてもうまくいく仕組み」、「日本でいちばん社員満 足度が高い会社の非常識な働き方」を出版し、いずれの著書もアマゾン売上 総合ランキング1位を獲得。
2012年に米国法人をシリコンバレーに設立し、自身も移住して5年間経営した後に帰国。
2018年Chatwork株式会社のCEOを 共同創業者の弟に譲り、翌2019年東証マザーズへ550億円超の時価総額で 上場。同年新サービスの「My CSO」をスタートさせ、ビジネスYouTubeチャンネ ル「戦略チャンネル」でこれまでの経験、ノウハウを配信している。
富岡 圭
慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、日本オラクル株式会社へ入社。
九州地方の担当を経て、上海やバンコクを拠点にグレーターチャイナ(中国、香港、台湾)、東南アジア、インドのマーケット開拓を担当。
2007年、Sansan株式会社を共同創業。創業時からクラウド名刺管理サービス「Sansan」の事業部長を務め、現在はグローバル展開も統括する。
佐久間 衡
株式会社ユーザベース B2B SaaS事業(SPEEDA、FORCAS、INITIAL)担当取 締役。2013年1月よりユーザベース参画。
参画前は、UBS証券投資銀行本部 にて、M&Aや資金調達などの財務戦略アドバイザリー業務に6年間従事。

-事業グロースをどのように実現していくか

権田 本セッションでは勝ち組SaaS企業を徹底解剖ということで、Sansan取締役の富岡さん、SPEEDAを運営するユーザベース取締役の佐久間さん、Chatwork創業者の山本さんをお迎えして、各社がどのように事業をスケールさせてここまでの企業を作り上げたのかということを伺っていければと思います。

事業成長を3つの段階の、PMFを目指す0→1のPMF期、アーリーアダプターの開拓をしてキャズム超えを狙う1→10のGo to market期、アーリーマジョリティ以降を開拓し更なる成長を目指す10→100のスケール期という風に分けてそれぞれを深堀りしていければと思っています。

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図:事業グロースのステップのイメージ

まず、0→1のPMF期について伺いたいのですが、それぞれ皆さんにとってのはじめての顧客(ファーストユーザー)は誰だったのでしょうか?

佐久間 我々は、もともと投資銀行やコンサルティングファームのようなプロフェッショナル職のリサーチ業務の負担を解消させるために生まれたサービスなので、そういったプロフェッショナルファームがファーストユーザーでした。

富岡 私達は、知り合いの会社ですね(笑) やはりいきなり大手企業は入れてくれないので、知り合いのベンチャー企業やVCさんに導入を頂いたことがスタートとなります。

山本 私達は、サービスリリースがLINEよりも早い2011年だったので、まず市場を作りにいく必要がありました。そんな中、もともと業務効率化支援をメイン事業として行っていたので、その事業の顧客であり特に業務効率化への感度が高い方たちに導入をして頂きましたね。

-業務置換か機能追加かによって初期の戦い方は大きく変わる

権田 ファーストユーザーを獲得していくにあたり、サービスが既存の業務を代替する業務置換のサービスなのか、今までなかった価値を上乗せする機能追加のサービスかによって、戦い方が変わったりすると思うのですが、皆さんのサービスはどちらに当てはまりますでしょうか?

山本 Chatworkは10億人のメールユーザーを置き換えにいくぞといって始まったサービスなので、その区分でいうと業務置換かなと思います。当初は、大手企業がまだ目をつけていない市場だったので参入を決めて、ユーザー獲得もじっくりと進めていきました。

しかし、途中から大手企業がこぞって参入してきて一気に市場のシェアの奪い合いが始まりまして、そこからは資金調達をしてユーザー獲得競争を戦っていった形ですね。

権田 Sansanも名刺管理の代替なので業務置換になりますか?

富岡 そうですね、ただ実は社として名刺管理をしている企業は殆どなく、名刺は個人管理に留まっていたんですね。企業向けのクラウド名刺管理サービスという新たな市場を作っていったので、機能追加という側面が強いかもしれないです。実際、営業活動イコール啓蒙活動となっていましたね。

佐久間 SPEEDAは、もともと高度な分析を必要としない一部のプロフェッショナルファームに対して、既存商品の代替となる廉価版のサービスを提供していったので、完全に業務置換のサービスでした。

ただ、プロフェッショナルファームの市場の上限が見えていたので、常に市場の飽和に対して怯えており、市場が飽和する前に次の市場を、と考え、海外展開を早期から狙っていくと共に、従来そういった業務があまり発生しなかった事業会社に対してニーズ喚起を行っていきました。

権田 業務置換という位置付けだと、既存のビジネスからどうシェアを奪っていくのかがポイントとなり、機能追加の位置付けだとどのようにそのサービスのコンセプトを啓蒙していくかが重要になってくるんですね。ここは、SaaSを展開される皆さんも自社はどちらの位置付けなのかは一度考えて頂くと良いかと思います。

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画像:創業時の生々しい体験談をお話下さる登壇者の皆さま

-既存リソースを活用しつつ、誰の何のペインを解決するかにとことん向き合う

権田 次に、事業立ち上げの際に皆さんがどのように難易度の高いPMFを実現させていったかを伺いたいと思います。

SaaSを立ち上げる際、既存の事業の拡張戦略として知見のある業界で事業をすると初期のPMFは早く実現されることが多いのですが、実際は全く新しい新規領域でSaaSを立ち上げる会社が多いと感じています。

みなさんは、初期のPMF実現に向けて既存のリソースなども意識して検証活動を進められたのでしょうか?また、顧客のペインをどう捉えて解決していったのでしょうか?

山本 Chatworkでは、元々業務効率化をサポートする事業をしていたので、効率化をさせたいニーズがある会社が既存顧客に1,000社ほど存在しました。サービスを提供してすぐに顧客に届けることが出来たことと、すぐ顧客からフィードバックの声を頂ける状態であったことは大きかったと思います。

富岡 わたしたちSansanは、はじめての事業だったので既存顧客はいなかったのですが、自分たちが使いたいサービスを作るということを意識して進めていました。もちろん、お客様からのフィードバックの声も反映させますが、自分たち自身が一番のユーザーで、そのペインを解消することを優先してサービス改善はしていましたね。そこを本当に泥臭くひとつずつやっていきました。

佐久間 SPEEDAも、創業メンバーがコンサルや投資銀行出身だったので、自分たちがファーストユーザーという感覚がかなりあったみたいです。(編集部注:佐久間さんは創業期にはまだジョインされていなかった。)
更にその業界では人脈もあったので、開拓はすぐ実施することが出来ました。なので、基本は自分たちが使いたいサービスを作っていったのですが、初期にはフィードバックを短期間でくれるオーナー企業の方などに使ってもらうことを意識しておりました。

他に意識していることは、いかにユーザーの熱狂状態を作り出すかということです。ひとつ実践していることとしては、はじめから高い価格で売るということです。

月額20~30万くらいの金額で販売をすると顧客もそれに見合う対価を本気で求めるようになり、提供側もその金額に見合う価値を死ぬ気で提供しにいくので、サービスの改善がより早く回るようになるんですよね。
結果として、2~3万でサービス提供をするよりも圧倒的に早く検証を回すことが出来ると思っています。

権田 もともと事業をやっている資産のある会社は、その市場の大きさや成長性などは別途考える必要がありますが、基本的には既存事業の拡張戦略の位置付けでSaaSを立ち上げることが事業の早期立ち上げという観点では望ましいと感じますね。

ただ同時に、いかにして「誰のどんなペインを解決するのか」という問いを解像度高くして検証をしていき、PMFを実現するかは泥臭く胆力を持って進めていくことが必要だとよく分かりました。

-ターゲットや提供価値を何度もアップデートすることで、複数回のPMFを実現していく

権田 次に、1→10のGo to market期について伺っていきたいと思います。ファーストユーザーに対してPMFしたあと、セカンドユーザー、サードユーザーと狙っていくにあたり、改めて何回かPMFを繰り返しやっていくことが必要かと考えています。みなさんは、事業成長に際してターゲットや提供価値などは変わっていかれたんでしょうか?

富岡 Sansanはあまりターゲットという観点では変わりませんでした。名刺を活用するターゲットを絞り込むことが出来ていなかったので、業界・業種に関係なく、幅広く推進活動を行いました。

しかし、提供価値の伝え方は変えており、キャズムを超えていくにはこのサービスが売上に貢献するということを認識してもらう必要があると考えていました。なので、Sansanを導入したことでこれだけ売上が上がったという事例を作りにいったり、そのロジックを強化したりすることに取り組んでいました。

佐久間 SPEEDAは、ニッチなサービスでしたので、小さな市場の独占を繰り返すことで成長をさせていきました。

権田 この時期のスタートアップでは、企業規模、業界、エリアという3つの軸でどこに伸ばしていくのかを考えてグロースさせていくことが多いのですが、その枠組みでみると皆さんいかがでしょうか?

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図:ベンチャー企業が戦略検討の上で考えるべき事業の変数

山本 自分たちChatworkは学生企業だったこともあり、大手企業がどんなニーズがあるのかが、なかなかわかりませんでした。大手企業の導入イメージがわかなかったため、地方への展開の方を優先して進めました。

その中で、メールユーザーの中でも士業での利用が多いなどが明らかになってくると、一気にその業界を攻めることで拡大をしていきました。

富岡 Sansanはエンタープライズ(Enterprise=大手企業)を狙っていきたかったのですが、やはりどうしても開拓難易度が高いということと開拓に時間がかかるということで、最初のこのフェーズではまだSMB(Small and Medium Business=中堅・中小企業)を優先して開拓しました。

地方展開や業界での集中戦略も実施しましたが、なかなか実績に結びつかず、結果としては企業規模をSMBに絞って開拓をしていくことになっていましたね。

佐久間 少し宣伝になってしまうのですが(笑)、SPEEDAの場合はなかなか、規模・エリア・業界というざっくりしたセグメントでは、開拓の解像度が上がらなかったので、ユースケースで切って会社を見ていきました

頻繁にM&Aをしているとか、事業ポートフォリオが多角化しているなどの会社だと間違いなくフィットすることが見えてきたので、そういった会社はどこかという点で会社を見ていきました。

その時に、データマネジメントの観点などで苦しんだこともあり、FORCASというサービスを作りました。

権田 FORCASを使うと細かいセグメンテーションをした上で開拓をしていけるということですね(笑)
やはりこのフェーズでは、どこが次の自社のターゲットなのかを見極めるべく様々な軸で企業を区分してそれぞれのニーズ検証をして、チャンスがあったところに張ることを繰り返すことが大事であると言えると思います。

グロース後期になってくると、どこでアクセルを踏めばいいかも徐々に分かってきて、皆さん”THE MODEL”を意識して分業化の組織づくりをされていることが多いと思うのですが、そのあたりどのように実施されているか、留意点含めてお伺い出来ますでしょうか?

佐久間 SPEEDAの場合は、マーケ、IS、FS、CSと1人ずつ配置する形での”THE MODEL制”を敷いており、ビジネスユニットを作って運用しています。量をこなしていくフェーズにおいては分業制が非常に効率が良いので採用をしている状況ですね。

特にポイントとしてうちが意識しているのは、一人にナレッジを蓄積させるということです。最初からオペレーションの標準化は難しいので、まずは一人に情報を集約させて、その上で形式知化させていくというプロセスを取っております。

富岡 Sansanも”THE MODEL”は導入をしていますね。ただ、大手開拓とSMB開拓はまた手法が変わると思っており、”THE MODEL”はSMB向けの際に主に活用をしている状況です。

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画像:当時を振り返っているChatwork創業者山本さん

-KPIを組織の成熟度によって成長させていく

権田 確かに福田さんもSMBと大手開拓はまた違うということを仰っていますよね。ここでもうひとつ伺いたいことが、どのようなKPIを設定されているのかということです。KPIはフェーズによって変わると思うのですが、1→10、10→100とどういったものを追っていらっしゃいますか?

山本 うちはサインアップからのリテンションレートや、バイラルで広がる際の招待数などは常に見るようにしていました。

富岡 グロースに直結する受注額、受注社数は当然見ています。あとは解約率を気にしていますね。当初は解約数や解約金額を見ていることと、解約に繋がるサービスの利用率や名刺の読み込み率はサービス当初から追っていました。

佐久間 チームの成熟度によってKPIを変えることが重要かなと思いますね。例えば、パイプライン創出数を見ても、マーケチームが成熟していれば設定すべきですが、そうでなければうまくいかないことが多い指標ですね。

あとはISにおいても、最初はコール数などの具体的な行動KPIを設定して、徐々に結果を出すことが出来ていけば、KPIを成長させて中間KPI、結果KPIに変えていく形かなと思います。

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画像:当日はワークショップ形式で行われました

-ユーザーを広げる中でいかにしてMust Haveのサービスであり続けるか

権田 最後に10→100のARR100億を目指す上でお話を伺えればと思います。フェーズが後になればなるほど、解約率は高くなるというデータがあり、ユーザーを広げるとサービスがNice to Haveになりやすいと思いますが、みなさんはそこに対してどんな工夫をしてMust Have化していらっしゃいますか?

ネットワークの外部性やロックインを活用していくことがポイントと語られることが多いので、その点も交えて伺えればと思います。

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図:ロックイン、ネットワークの外部性について

富岡 名刺管理のサービスはMust HaveではなくてNice to Haveだというのが前提。泥臭く組織で使ってもらえるように働きかけるなど、カスタマーサクセスを地道にやっていきました。今年6月に提供を開始し、実績を積み上げているSansanのオンライン名刺は、ネットワークの外部性が効くサービスであるため力を入れています。

権田 SPEEDAはネットワークの外部性やロックインなどがあまり効かないサービスなので、スケールさせることには怖さもあるかと思うのですがいかがでしょうか?

佐久間 まさにそのとおりですね。なので常に怖さとは戦ってきました。今回、9/1にリリースしたフラッシュオピニオンという機能があり、SPEEDAにアクセスすると外部の専門家にすぐ話が聞ける状態を作ろうと思っています。

この世界観が実現出来ると、SPEEDAを解約するとこの情報にアクセス出来なくなるという点でロックインの効果は得られるのではないかと考えています。

山本 他社のサービスが同じサービス内で完結させるようにしていた中で、Chatworkでは外部のツールとも連携して使えるようにしていったことでネットワークの外部性を狙っていきました。コミュニケーションツールなので、一度使い始めると辞められないという特性もあり、ネットワークの外部性は大きく働いたかなと思います。

-作りたい世界を描き、その世界の実現に向けてコミットする

権田 最後にこれからSaaS事業を伸ばしていく会社さんに向けて、過去の成功体験、失敗体験を踏まえてSaaSを伸ばしていくにはこれが大事だというようなアドバイスを頂けますでしょうか?

佐久間 SaaSはひとくくりに語られることが多いですが、各社によってぜんぜん違うことが実情だと思います。なので、一般論を参考にするのではなく、自分たちの目指す姿や顧客が近い会社を参考にしていくことが大事だと思います。

富岡 最初のフェーズでは、やはり気合いが大事だということは常に感じています。自分たちはこういった課題を解決するんだということを信じて、そこにコミットをしていくことがとても重要だと思います。

山本 自分自身が自社のサービスの一番のファンであることが大事だと思います。自分が一番のファンで、このサービスを使わない人はおかしいというくらい自分たちのサービスを信じてやり切ることが重要ですね。

権田 どんな世界を作りたいかを描いて、そこにコミットしていくことが大事だなと改めて感じました。SaaS事業は収益化まで7年かかると言われている中で、その長い期間を作りたい世界の実現に向けてやりきっていくことが3社に共通する成功要因だったのかなと思います。

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図:今回ご登壇頂いた皆さま

-まとめ

・立ち上げ期は、自社サービスが業務置換なのか機能追加なのかを見極める
・既存事業がある場合は、拡張戦略としてのSaaS立ち上げがベター
・誰の何の課題を解決するのかを明確にして、複数回のPMFを目指す
・組織フェーズごとに最適なKPI指標を設定する
・Must Haveのサービスであり続けるための工夫を続ける
・作りたい世界を描き、泥臭くコミットしきる

CROHackでは、上記のグロースに必要なポイントについてより理解が深まるように資料にまとめました。事業グロースをしていく為に重要なポイントが図解されておりますので、是非ご参考にしてみて下さい。

資料概要

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