新規事業を成功に導く営業チームのモチベーションの作りかた
近年、日本でもスタートアップやベンチャーが盛り上がりを見せている中、1つの商品の寿命は日に日に短くなっています。歴史ある企業や大企業であっても、第二、第三の柱を作るべく、新規事業の立ち上げを行うことは、もはや避けては通れません。
今回は、BtoB企業やLTVの高いBtoC企業の事業部長・営業部長の皆様に向け、この新規事業立ち上げ期の壁の一つ、「売る」という部分についてお伝えします。
新規事業の立ち上げを行う際は、プロダクトがある程度固まった後、“事業検証も兼ねて売り方を模索する時期”を経てから、“最適な営業方法を見つけて一気に拡販する時期”を迎えると思います。
この“売り方模索期”と“拡販期”は、莫大なコストを費やして開発してきた新商品をマネタイズするためにそれぞれ非常に重要な局面ですが、営業メンバーにとっては、前者では「歩留まりが低く、様々な断られ方をする」、後者では「ただただノルマに追われる」という厳しい時期でもあります。
実際に、営業メンバーの気持ちが沈み、生産性が落ちてくるという現象を多くの企業が体験しています。表面化しないうちは気づかないことも多いのですが、深刻になると営業活動量の確保ができなくなり、営業活動自体にも活気がなくなっていきます。
このように、営業メンバーのモチベーションを高め、「共にアポを獲得しながら最適な営業方法を発見していこう」という雰囲気を作っていけるかどうかが、この新規事業の成否を左右するといっても過言ではありません。
CRO Hackを運営しているリブ・コンサルティングは、マーケ・セールスと組織開発に強みを持つコンサルティング会社です。
今回は、年間300プロジェクトを超える営業力強化(グロース)コンサルティングの経験を踏まえ、モチベーションの高い営業チームの作り方をご紹介します。
-”モチベの高い営業チームを作る6つの視点”とは
「モチベーションマネジメント」と聞いてまず浮かぶものの一つが、競争意識を持たせることではないかと思います。ただ、競争意識の醸成は試みているものの、それによるハレーションを防ぐための信頼関係構築や目的意識の共有までを併せてしっかり設計できている企業は多くありません。
また逆に、社員を大切にする理念により、競争意識の醸成に苦労されている企業もいるのではないでしょうか。
モチベーションマネジメントの難しさは、「アメとムチ」をはじめとする様々な観点をどう整理し、どうバランスをとっていけばいいのかがわかりにくいところにあると思います。
PDCAで歩留まりを改善していく作業などとは異なり、人の心という目に見えないものの動きを設計していくという難易度の高さに加え、成果も見えにくいためにその重要性も見えにくいという問題もあり、当然といえば当然です。
しかしその結果、誰かが怠け始めたり、自信をなくしたりして初めて対策を講じるという、もぐら叩き的な施策になってしまうことも多いというのが実情かと思います。
そこで今回は、このモチベーションマネジメントの観点をどう分解し、どのような順番で何を行うことによって、チーム全体のモチベーションを上げていくのかをご紹介していきます。
まず先ほど触れたアメとムチですが、「努力・成果に対してフェアに接する」という意味で、これらは表裏一体のものです。そしてこれを行うためには、前提として、評価・報酬を与える側であるマネージャーの皆様と、与えられる側の営業メンバーとの間で関係構築を行っておく必要があります。「頼れる人」、すなわち「営業のプロ」かつ「仲間」だと認識してもらうということです。
また、成果・報酬で目標への意識づけを行うだけでなく、つまずきうるポイントで適宜サポートを行うなど具体的な補助も行うことで、言い訳して目標から後退していくのを防ぎ、より達成に向けた行動に集中できるようになります。
以上は皆様と営業メンバーの間のお話ですが、欲を言えば、営業メンバーどうしの関係の中で競争意識を持ち、しのぎを削ってもらえるのが理想です。
まとめると、以下の6つの観点が重要になります。
ここからは、6つの観点について、その重要性とテクニックを説明しています。
① 「プロ」として尊敬される
まずは有益な情報共有を行うことで、メンバーにとって「会話すべき人」になるのが大前提となります。成果が出ていない人の初アポ、難易度の高い商談のクロージングに繋がるような、営業の高度なアドバイスを行うことができれば、メンバーからの相談が発生しやすくなるようになり、こちらの話も響きやすくなります。
② 「仲間」として認識される
「会話すべき人」になれても、「硬くて話しづらい人」になってしまっては、双方向のコミュニケーションが難しくなってしまいます。そこで、「私はあなたたちと伴走し、ともに成果を追う仲間だ」と伝える必要が出てきます。昼食時に笑いを取るなど適度に緩い時間を作る、アドバイスを行う際はまず良かった点を褒めるなど、些細ながら重要なテクニックです。
③ 「やらなければならない」と意識づける
メンバーと関係を構築したら、目標に目を向けてもらいましょう。「やらなければいけない」という気持ちが、営業メンバーの原動力になります。最初に熱意をもって伝える他に、普段の言動から意識的に目標にコミットする姿勢を見せ続ける、個人目標ではなくチーム目標を置くなどが、代表的な具体例です。
④ 「やりたい」という意欲をかき立てる
「やらなければいけない」だけでは、精神が削られてしまいます。最悪の場合に離脱者が生まれると、チームの雰囲気が暗くなり、代わりの人の育成コストもかかるなど、デメリットは大きいです。これを防ぐためにも、営業の中で喜びを感じられるような設計を行う必要があります。「貴社の誰もまだ見出せていない型を構築する」という価値づけ、アポ/受注獲得時の大きいな賞賛・インセンティブの付与などの施策を行いましょう。
⑤ 言い訳のネタをなくす
「やらなければいけない」、そして「やりたい」と思えたとしても、うまくいかないことが続くと言い訳を探してしまうもの。そんなとき、言い訳があちこちに転がっているようでは、業務に集中することができません。言い訳の種をいち早く発見し、すぐに解除するためには、まず言い訳になりうる種を早期発見するために「定期的な相談の場」を設けることが重要です。
出てきた要望などにはすぐに対応すること、そして難易度が高いものについては予め成功事例を共有するか、なければパイロットチームで成功事例を作ってから横展開をしていきましょう。
⑥ 競争意識を持たせる
言い訳する要素もなく、やらなければいけない、かつやりたいものに邁進していく。これだけでも十分かもしれませんが、さらにやる気に火をつけるのが競争意識です。個人戦であれば個々人が危機感をもって動くだけですが、チーム戦にすればチーム内の強い協力関係が生まれるなど、使い方次第で成果を大きく左右する施策でもあります。ランキングの発表などにより、適宜醸成していきましょう。
-テクニック全集大公開!
さらに詳細な、”モチベの高い営業チームの作り方”についてのナレッジを、テクニック全集という形でまとめました。試行錯誤されている営業マネージャーの皆さまに対し、少しでもお役に立てれば幸いです。下記よりご自由にダウンロードして、ご利用ください。
また、続きに使い方を記載しているので、ぜひご参考にしていただければと思います。
-テクニック全集の使い方
このようなテクニックは、現在のマネジメント方法で問題なく、十分に目標数値に達している場合は不要です。しかし、歩留りの伸び悩みや、そもそもの架電量の未達がある場合には、大前提となるモチベーションの部分に問題があることが多々あるので、一度見直してみることをおすすめします。
特に、この6ステップのどこで止まってしまっているのかを確認し、①から順に解決していただければと思います。
書いてあること全てを行う必要はありません。課題となっている観点、実行しやすいテクニックについて、お役立ていただければ幸いです。
-おわりに
私たちは、営業チームのモチベーションを向上させることで、新規事業の成功に大きく近づくことができると考えています。この立ち上げ期において非常に重要なタイミングで、皆様には、目標に向かって進み続ける組織づくりを実現していただきたいと思います。
事業検証・営業方法模索の段階のスタートアップ、新規事業を立ち上げている営業マネージャーの皆様の、少しでも参考になれば幸いです。