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SaaS事業における目標達成に向けたKPIとは?-絶対に見るべき6つの成長指標

こんにちは、CROHackです。

SaaS事業は顧客数(ユーザー数)が利益へと直結するため、あらゆる角度から事業を数値化することが可能です。

そのため、KPI(重要業績評価指標)として、MMR(月間経常収益)やチャーンレート(解約率)、LTV(顧客生涯価値)など様々な指標を用いることで、事業を成長させるためのアプローチ方法を探ることができます。

今回のnoteでは、SaaS事業における目標達成に欠かすことのできないKPIをはじめ、絶対にチェックしておきたい6つの成長指標をご紹介します。

-SaaS事業になぜKPIが必要なのか

まずは、SaaS事業におけるKPIの重要性についてご説明します。
KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設けることの重要性は、具体的に以下の3つとなります。

・ 目標(KGI)の達成に向けた重要な経営指標となる
・ 収益のシミュレーションが立てやすい
・ 事業のグロースに直結する

<目標(KGI)の達成に向けた重要な経営指標となる>
KGI(Key Goal Indicator、目標)の達成には、KPIを設定して必要なステップを適切にクリアしていくことが欠かせません。
売り上げや顧客数などの数値目標をKGIに設定しても、その数値を達成するために必要な施策や顧客へのアプローチ方法は数多くあるため、担当者ごとの考え方を統一するのは難しいでしょう。
大きな目標となるKGIを立てた上で、そのKGIをブレイクダウンしてKPIまで落とし込むことによって、いま必要な施策や顧客へのアプローチの最適解が見えてきます。

<収益のシミュレーションが立てやすい>
冒頭でも触れたように、SaaS事業は数値化しやすいのが大きな特徴です。
KPIをはじめとした指標を用いて、定量的に事業を観測していくことによって収益のシミュレーションが立てやすくなります。

<事業のグロースに直結する>
事業のグロースは、グロースハックと呼ばれるような急成長を狙う方法もありますが、多くの事業において急成長は難しく、堅実に数値を積み上げていくことになります。KPIを設定し、前年との成長率を鑑みながら目標を設定していくことで、着実に事業をグロースさせることができるのです。

一方、KPIを設定したけれどクリアできなかった、クリアできたものの翌年にそれ以上のKPIを設定できないといったケースは、事業の成長期が終了した可能性があると考えることができます。
そのままの数値を維持して収益が立つのであれば継続、見込んだ収益目標に達していないのであれば撤退も視野に入れるといった、事業継続の意思決定にも活用できるため、KPIの設定は必要不可欠です。

-SaaS事業で絶対に見るべき6つの成長指標

ここからは、SaaS事業において絶対に見るべき6つの成長指標と、その計算式をご紹介していきます。

なお、ただKPIを設けて目標を細かくするのが目的ではなく、「これらの指標を用いて、どのようにビジネスを成長させるか」を考えることが重要です。特に、「現実的に実行することは可能か」「KPIを達成するためにリソースを投入すべきセグメントは何か」に焦点を当てて考えるようにしましょう。

SaaS事業においては、設けるべきKPIが事業のフェーズによって異なります。全期間で共通して追うべき指標もありますが、利益よりも認知を広めて顧客を囲い込む投資期間と、利益の回収を行う利益創出期では見るべき数値も変わってくるため、自社の事業フェーズに合わせて正しいKPIを設定して追うようにしましょう。

事業フェーズごとの代表的なKPIは以下の通りです。

【全期間共通】
・ MRR(月間経常収益)、ARR(年間経常利益)
・ チャーンレート(解約率)
・ NRR(売上継続率)
【利益創出前】
・ LTV(顧客生涯価値)
・ CAC(顧客獲得単価)
【利益創出後】
・ NPS(顧客満足度)

<MRR(月間経常収益)、ARR(年間経常利益)>
まずは、SaaS事業において収益の基本となる「MRR(Monthly Recurring Revenue)、月間経常収益」です。
MRRとは、SaaSサービスの提供によって得た1ヶ月の収益のことを指します。
なお、MRRの計算には初期費用やオプション費用は含めず、SaaSの月額料金による収益のみを表す指標です。

■MRRの計算式
MRR=「提供している月額料金」×「顧客数」

また、MRRを活用して、年間の見込み収益を計算する指標のことを「ARR(Annual recurring revenue、年間経常利益)」といいます。

■ARRの計算式
ARR=「月初の合計収益(MRR)」×12

<チャーンレート(解約率)>
SaaS事業のKPIにおいて、重要な指標の一つとされているのが「チャーンレート」です。

チャーンレートとは「解約率」のことで、顧客数がそのまま収益となるSaaS事業においては、常にチャーンレートを意識して、社をあげてチャーンレートを下げるための取り組みを行なっていかなければいけません。チャーンレートには「カスタマーチャーンレート」と「レベニューチャーンレート」の2種類があります。

カスタマーチャーンレートは、単純に前月比でどれだけの顧客が解約したのかを表す“顧客数をベースにした指標”で、レベニューチャーンレートは解約されていなかった場合にどれだけの利益を得られていたのかを表す“売り上げ(収益)をベースとした指標”です。

■チャーンレートの計算式
カスタマーチャーンレート=「解約した月間の顧客数」/「月初の総顧客数」

レベニューチャーンレート=(「解約により減った月間の収益(Churn MRR)」+「ダウングレードによって減った月間の収益(Downgrade MRR)」)/「月初の合計収益(MRR)」

チャーンレートを追う目的としては、解約率の把握はもちろんですが、チャーンレートの推移を見て「なぜこの月は解約率が高かったのか」「なぜこの月は解約率が低かったのか」を考えることが重要です。
それらの理由を明確にすることで、行なった施策や顧客へのアプローチの評価ができ、次はどのような手法で解約率を下げていくのかという戦略を立てられます。

チャーンレートを下げるための具体的な施策として、カスタマーサクセスの見直しや解約されづらい大手企業の開拓などが挙げられます。

チャーンレートについて詳しく知りたい方は「チャーンレートを徹底解説!-計算方法や下げるための施策とは?」の記事で解説しておりますので、併せてご覧ください。

<NRR(売上継続率)>
続いて、既存顧客がサービスに支払う金額が増えたのか、もしくは減ったのかを表す「NRR(Net Retention Rate、売り上げ継続率)」です。

特にBtoBのSaaS事業においては、サービスを契約頂いている既存顧客を自社のファン化し、アップセルを狙っていくことが非常に重要です。
NRRが高くなることで、このあと紹介するLTVも高くなっていきます。

■NRRの計算式
NRR=(「月間の合計MRR」+「アップセルによる収益(Expansion MRR)」−「解約により減った収益(Churn MRR)」−「ダウングレードによって減った収益(Downgrade MRR)」)/「月初の合計MRR」

<LTV(顧客生涯価値)>
ここまで、SaaS事業は顧客数が利益に直結するとご紹介しましたが、もう一つ忘れてはいけない観点として、1人(1社)の既存顧客からより多くの利益を生み出すことが挙げられます。

そこで活用する指標が、「LTV(Life Time Value)、顧客生涯価値」です。
LTVは、新規の顧客を獲得してから解約されるまでの収益を表す指標で、これまでに紹介してきたチャーンレートとNRRがポイントとなります。

■LTVの計算式
LTV = 「顧客ごとの平均月間経常収益(ARPA)」/「レベニューチャーンレート」

LTVは、解約されるまでの期間が長くなればなるほど、1顧客あたりのMRRが高くなればなるほど、伸びていきます。
契約獲得による利益は高く、より長くサービスを利用してもらうことで収益を見込んでいるSaaS事業においては、チャーンレートと同様に非常に重要な指標となります。

LTVの概念について詳しく知りたい方は、「LTV(ライフタイムバリュー)の概念-計算方法と最大化に必要なポイントとは」の記事でも解説しておりますので、併せてご覧ください。

<CAC(顧客獲得単価)>
これまで紹介してきた利益に関する指標とは異なり、事業における投資を数値化したのが「CAC(Customer Acquisition Cost)、顧客獲得単価」です。
CACとは、1人(1社)の顧客を獲得するのに必要としたコストのことで、広告費用やマーケティング活動にかかった費用、従業員の給与などあらゆるコストを顧客数で割って算出する指標です。

■CACの計算式
CAC = 「給与などを含む全ての販売・マーケティング活動にかかった金額」/「月初に獲得した顧客数」

<NPS(顧客満足度)>
最後に、サービスにおける顧客の満足度を表す「NPS(Net Promotor Score)、顧客満足度」です。

NPSを測れば自社サービスに対する顧客の評価が明確になり、不満点やフィードバックを解消することでより良いサービスへと改善が可能です。
NPSは、顧客から0〜10の11段階で評価をつけてもらい、点数にあわせて以下の3段階に分類し、計算を行います。

■NPSの評価
0〜6点:サービスに不満のある「批判者」
7〜8点:不満もなければ、満足もしていない「中立者」
9〜10点:サービスに満足している「推薦者」
■NPSの計算式
NPS=「推薦者の割合(%)」ー 「批判者の割合(%)」

-まとめ

顧客が増えれば利益も増えるという単純な特徴を持ったSaaS事業ではありますが、サービスのスケールや不調期への対応といった意味でも、適切なKPIを設けて各指標を高い数値で推移させるための施策を行なっていくことが重要です。

特に、チャーンレートやNRR、LTVはSaaS事業の健全な運営には欠かすことができないため、関係者全員が常に意識しておくようにしましょう。


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