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SaaS事業のビジネスモデルと事業計画を成功させるための指標

こんにちは、CROHackです。

CROHackでは、これまで何度もSaaS事業についての記事を作っていますが、その理由はやはりSaaS事業の注目度・需要の高さにあります。
SaaS(Software as a Service の略)という言葉は、2006年頃から浸透していき、この15年間で未だ成長し続けております。

今回のnoteでは、SaaSビジネスが成長し続けている要因について触れるとともに、あらためてSaaS事業のビジネスモデルと事業計画を正確に導くための重要指標について解説します。

-SaaSビジネスが注目されている理由

そもそも、なぜSaaSビジネスが高い注目度を集め、今尚多くの新規事業が立ち上がっているのかという点について説明します。

SaaSがここまで注目されている理由は、やはり「クラウドで完結できる」というポイントが大きいでしょう。
ベンダー(事業者)からすれば、サービスは要件定義と開発さえクリアできれば提供開始できますし、ユーザー(利用者)にとっても環境整備が不要で導入までのハードルが低くなるため、スムーズに導入が可能です。

また、働き方改革による組織改革などもSaaSの需要の高さを後押ししています。組織改革により新たに残業や有給消化に対して制限がかかったことで、企業としては生産性向上のための投資を余儀なくされました。
そこで、導入ハードルの低いSaaSで解決できる課題があれば、前向きに導入を検討するというわけです。

ただし、SaaS事業を始めれば間違いなく成功できるというわけではなく、すでにレッドオーシャン化している領域も多く、スタートアップのSaaSを成功させるためには営業やカスタマーサポートが重要となります。

「国内・海外におけるSaaS事業の動向や法人営業が重要となる理由」については、以下のnoteで詳しくご紹介しておりますので、合わせてご覧ください。SaaS市場を攻略するためのポイントをまとめた資料(pdf)も無料でダウンロードできます。

-SaaSのビジネスモデルとメリット

SaaSビジネスの一番のメリットは「導入決定のしやすさ」にあります。
サブスクリプション方式は、何らかの機能を使いたい時、高額なパッケージソフトを購入する必要がなく、使いたい分だけ契約することが可能になりました。

SaaSは、一度売ったら終わりの売り切り型営業ではなく、顧客に寄り添っていく課題解決型の営業が必要となります。これがインターネットを介して提供されるサービスにおいても従来の事業と大きく異なる点で、SaaS事業を成功させるためのポイントとなります。

ベンダー(事業者)側はコミュニケーションコストがかかるものの継続的に売り上げが発生する、ユーザー(利用者)側は初期投資を少なくできて自由に解約ができる。この双方にとってより良い関係性、Win-WinであることがSaaSのビジネスモデルと言えます。

その他にもSaaSのメリットはたくさんあり、以下ではユーザーとベンダーに分けてSaaSのメリットを整理してみました。

■ユーザー(利用者)のメリット
・期間や機能を絞り込んで利用できる
・更新時期などの管理が不要
・試用期間がある
・比較検討がしやすい

パッケージの売り切り型ソフトなどは、試用期間やお試しが一部で設けられてはいるものの、初期費用の高さやインストール等の初期設定が導入のハードルとなってしまいます。

しかしSaaSであれば、初期費用なしで月額制、長く使うのであれば契約単位を伸ばすことで割引、限られた期間のみで利用するのであればその期間でのみ費用が発生するなど、従来ではできなかった柔軟な利用方法が可能です。

■ベンダー(事業者)のメリット
・フリーミアム (無料戦略)が採用できる
・ソフトウェアの改ざんやコピーがされづらい
・マーケットプレイスなどでユーザーを囲い込みしやすい
・細かいアップデートや調整がすぐに反映可能

ベンダー側のメリットとしては、フリーミアムと呼ばれる無料から有料に移行してもらう戦略や、マーケットプレイスと呼ばれるファイルを共有するなどでのコミュニティを作れるなど、ユーザーの囲い込みがしやすい点が挙げられます。
ユーザーに便利だと知ってもらったうえで機能を最大限活用してもらう。そうすることで、そのサービスなしではありえないという状況を作り出すことが可能です。

また、クラウド(インターネット)上で稼働するのがSaaSですので、ソフト大ウェアの改ざんやコピーなどがされづらい点もメリットとして挙げられます。
同業他社や競合などにシステムや使用データなどを抜かれてしまうリスクが低いのは、事業者としては大きなメリットといえます。

-SaaSビジネスの事業計画

SaaSビジネスの事業計画および事業の成長は、さまざまな評価指標を利用することによって、大部分を可視化することが可能です。
ここでは、SaaSビジネスの事業計画において重要な評価指標をご紹介します。

<LTV(顧客生涯価値)>
LTVとはLife Time Valueの略で、顧客1人(1社)あたりにつき生涯でどれだけの利益をもたらすのかを表す指標です。具体的には、契約開始から解約までの利益がLTVとなります。

■LTVの計算方法
LTV = 年間取引額 × 収益(粗利)率 × 継続年数

<関連記事>
LTV(ライフタイムバリュー)の概念-計算方法と最大化に必要なポイントとは

<MRR(月間経常収益)>
MRRとはMonthly Recurring Revenueの略で、契約ベースの月毎の収益を表す指標です。新規顧客の月間経常収益を表す「New MRR」、前月比で取引額が減少した顧客の月間経常収益を表す「Downgrade MRR」、前月比で取引額が増加した顧客の月間経常収益を表す「Expansion MRR」、その月にサービスを解約した顧客月間経常収益を表す「Churn MRR」の4種類がある

■MRRの計算方法
MRR = 月額料金 × 顧客数

<チャーンレート(解約率)>
チャーンレート(Churn rate)とは解約率のことで、顧客数をベースにしたカスタマーチャーンレートと、収益をベースにしたレベニューチャーンレートの2種類があります。
SaaS事業は、サービスを解約されてしまう収益がなくなってしまうビジネスモデルのため、チャーンレートは非常に重要な指標となります。

■カスタマーチャーンレートの計算方法
カスタマーチャーンレート =(一定期間内に解約した顧客数÷その期間前の顧客数)× 100
■レベニューチャーンレートの計算方法
レベニューチャーンレート =(単価×一定期間内に解約した顧客数÷一定期間内の総売上)× 100

チャーンレートについて更に知りたいという方は以下のnoteで詳しくご紹介しておりますので、合わせてご覧ください。

<CAC(顧客獲得コスト)>
CACとはCustomer Acquisition Costの略で、顧客1人(1社)を獲得するのにどれだけのコストがかかっているのかを表す指標です。検索エンジンの自然流入など広告費をかけずに獲得した「Organic CAC」、広告費をかけて獲得した「Paid CAC」、Organic CACとPaid CACを合わせた全体のCACを指す「Blended CAC」の3種類があります。

■Organic CACの計算方法
Organic CAC = 自然獲得に要したコスト ÷ 自然獲得できた新規顧客数
■Paid CACの計算方法
Paid CAC = 広告等に投資したコスト ÷ 広告等を経由して獲得した新規顧客数
■Blended CACの計算方法
Blended CAC = 事業にかかるすべてのコスト ÷ 新規顧客獲得数

CACについて更に知りたいという方は以下のnoteで詳しくご紹介しておりますので、合わせてご覧ください。

-SaaSビジネスを成功する鍵とは

サービスの商品としての価値が前提にはなりますが、SaaSビジネスを成功させる鍵は営業とカスタマーサクセスになります。
SaaS営業については以下の記事で詳しく解説していますので、ここでは省略します。

カスタマーサクセスとは、顧客の利益を最大化し成功に導くための支援のことです。
SaaSビジネスは、契約をとってからが本番と言われることがあるほど、契約をどれだけ長く伸ばすかという点でLTVが大きく変わってきます。また、チャーンレートとCACの低下が収益に結びつきやすいため、カスタマーサクセスはレバレッジが効きやすいというのがSaaSビジネスの特徴です。

カスタマサーサポートを成功させるための重要なポイントは以下の3点です。

・オンボーディング
・ヘルススコア
・アップセル・クロスセル

まずは、オンボーディングにより顧客にサービスを慣れて使いこなしてもらい、ヘルススコアを監視することでサービスの利用状況を把握し、適宜アプローチをする。そして、更なるLTV向上のために顧客の課題を解決する提案でアップセル及びクロスセルを行う。

これがSaaSビジネスを成功させるためのカスタマーサクセスのポイントになります。

-まとめ

今回のnoteの要点をまとめると以下です。

・SaaSビジネスは今も成長しているが、レッドオーシャン化している領域もある
・スタートアップSaaSが成功するには営業とカスタマーサクセスが重要
・SaaSビジネスの事業計画と成長は評価指標を使って数値化・可視化する
・カスタマーサポートでレバレッジを効かせて利益を伸ばしていく

これからSaaSビジネスを立ち上げる際には、事業計画における評価指標を使いながら具体的にシミュレートし、カスタマーサクセスを達成するための体制作りを意識して進めてみてください。


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