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CRO Ship-事業拡大の勢いをつけながら共に歩む仲間意識をつくる(株式会社ラフール)

-CRO Shipとは?

こんにちは、CROHackの ほかりあやな(@crohack_ayana)です。今回新シリーズとして、「CRO Ship」というマガジンをはじめます。

Shipという言葉には、船という意味のほかに「~の術」「~の状態(在り方)」という意味があります。CROHackでは、これまで行ってきたCROに必要なノウハウの記事に加えて、CROのあり方や、CROの役割を担っている方たちの術を事例のインタビューレポートという形で具体的にご紹介していきます。

※記事のベースはCRO Hackを運営しているリブ・コンサルティングのクライアントボイスから抜粋しています。

-株式会社ラフールの紹介

■Company Profile
2011年創業。メンタルヘルス×テックを軸としたBtoB事業を展開。プレゼンティズムを見える化する、ただ一つのサーベイ『ラフールサーベイ』は、組織と個人の生産性を多角的に分析・見える化させ、プレゼンティズムやエンゲージメント、衛生環境、ハラスメントリスクや労務リスク等を診断するとともに、診断データの AI解析と、解析を踏まえた研修やカウンセリングなどの対策をワンストップで提供する。ストレスチェック義務化にも対応。

■お話を伺った方

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代表取締役社長 結城啓太 氏(写真 右)
代表取締役副社長 小梨明人 氏(写真 左)

-30年後の人類貢献を目指すために迎えた第2創業期

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ラフールの事業内容について教えてください

結城 ラフールは、メンタルヘルスとテックの掛け合わせを通じて企業の健康経営を実現する会社です。

企業でのストレスチェック制度の実施が義務付けられて以来、メンタルヘルスの重要性や、生産性への影響などについての理解は広まっています。ただ、多くの企業でストレスチェックが形骸化し、何が生産性の低下につながっているかを把握できずにいます。

このような状況を踏まえ、当社は大学や医師などの専門家による知見を取り入れた、プレゼンティズムを見える化する、ただ1つののサーベイ「ラフールサーベイ」によって、企業の組織課題を多角的に(お取引してきた3,000社・18万人のメンタルヘルスデータをもとに、 健康診断や、ウェアラブルデバイスによるデータ)分析し、”どこで何が問題になっているのか”を見える化させることで生産性を診断します。

そして、改善のための要因特定研修やカウンセリングなどの対策を提供し、企業の生産性向上を実現、働き方改革や健康経営を促進しています。

メンタルヘルスの分野はどのように変わっていくのでしょうか?

結城 30年後の地球では、人類が100億人に達し、同数のAIロボットが活躍するといわれています。その頃には医療が発達してフィジカル面でのストレスは減っているはずですが、多くの仕事がAIに代替されることなどが原因となり、メンタル面のストレスは増えるだろうと予想できます。

そのときに人類を救える解決策を提供できるように、現在「ラフールサーベイ」を通じてビッグデータ集めているところです。また、突拍子のない話に聞こえるかもしれませんが、AIは人間の100倍のIQを持ちますので、AIがメンタル疾患を起こす可能性があります。

IQの差が大きくなるほど人間とロボットの共存も難しくなります。その課題を解決し、鉄腕アトムやドラえもんと共存するような世界にしていくために、AIのメンタルケアやAIに道徳をインストールするといったロボット向けのメンタルヘルスの研究も重要になっていくだろうと考えています。

ラフールは、CVC(corporate venture capital)のスキームを通じて複数の事業会社から投資を受けています。その背景について教えてください。

小梨 当社は2年前に社名を変え、事業の方向性を変えました。当時の事業はうまくいっていたのですが、30年後の人類貢献を本気で目指すのであれば、目先の売上や利益を追うのではなく、新たな資金調達をしてでも、ビッグデータの研究、解析、利活用を行っていく必要があると考えたからです。

また、われわれが手がけるメンタルヘルスは幅広い分野で他企業とシナジーを創出できます。そのため、エグジットに重点を置くVCからの資金調達よりも、ビジョンを共有し、シナジー創出に関心を持ってくれる企業からCVCで資金調達しようと考えました。

リブ・コンサルティングからも出資を受け、同志的結合の関係が築けた背景にも、貴社の「”100年後の世界を良くする会社”を増やす」ミッションと、われわれが目指す30年後の人類貢献がマッチした部分が大きいと理解しています。

-原体験と社会の変化による事業の転換点

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2年前、ラフールにとって第2の創業といえる大きな転換点を迎えたと思います。その後の変化について教えてください。

小梨 メンタルヘルス×テックを軸として組織の土台を固め始めたのが2年前です。社内の変化としては、この方向転換に伴ってそれまで勤めていたスタッフの辞職が続きましたが、一方で、テック系の人財採用を進めました。結果、プロダクトを磨いていく体制ができ、サーベイが完成します。

営業活動においても、それまではメンタルヘルス研修の提案がメインでしたが、「ラフールサーベイ」の完成後は、経営課題の見える化や、ストレスチェックツールを使った分析などが増えました。ITカンファレンスなどに参加した実感として、「ラフールといえばメンタル×テック」と認識される機会が増えたと感じます。

社会的にもこの数年間でメンタルヘルスの捉え方が変わりましたよね?

結城 変わったと感じます。8年前に創業した当時は、研修などを提案しても「メンタルヘルスってなんですか?」といわれることがほとんどでした。2015年にストレスチェック制度が義務化された時も、とりあえず義務化に対応するという意識が強く、多くの企業が、必要最低限の機能を安く導入したいと考えていました。

われわれはメンタルヘルスが生産性や経営にもたらす影響を周知したいと思っています。経営層にも、自分や社員たちのメンタルヘルスに目を向けてほしいと思っています。しかし、そのような提案をしても提案先には響かず、「結城くんは性善説」「そんなところにお金かけられる会社はない」と言われていた時期があったのです。

根気よく提案を継続できたのはどうしてですか。

結城 ブラック企業、過労死、パワハラといったニュースがよく取り上げられるようになり、社会全体がこの分野に関心を持つようになりました。その結果、導入を検討してくれる企業が増えたことが支えになりました。

また、私自身も25歳の時にメンタル疾患を起こした経験があります。それまでは、まさか自分が患うと思っていなかったのですが、誰でもなる可能性があるとわかったのです。そのことを多くの経営者に伝え、知ってもらおうと取り組んでいたことも心の支えになったのだと思います。

-コンサルタントとCRO

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2018年から事業拡大に向けて当社がコンサルティングの支援させてもらっています。一緒に伴走している価値は何でしょうか?

小梨 ベンチャー企業は、何もないところからサービスを作り出し、同時進行で売っていくことが求められます。作りながら走るため、スピードが早く、先回りして手を打っていくことも増えます。それは会社を成長させていく上で重要なことなのですが、経営層が考えていることと、社員に任せている実務の間に溝を生む原因にもなります。

例えば、「30年後の人類貢献」というミッションが、社員にとって突拍子もない発想に映る場合があるのです。この乖離を埋めるためには、経営層の発想を社員にわかりやすく翻訳する必要があります。また、どんなプロダクトを、どのタイミングで、どういうふうに作るかといった設計図に落とし込む必要もあります。その部分を担うのがCROであり、今回はコンサルティングという形でリブにサポートをしてもらいました。

結城 それに”リブはラフールのことが好き”ということを実感しています。経営者の持つビジョンを確実に実現するために、経営者だけではなく、現場とも伴走し、圧倒的な当事者意識で動いてくれるリブにCROの役割をコンサルにサポートしてもらえたことはいい機会でした。

常駐で支援してもらっていることもあり、たまにリブのメンバーを「うちの人だっけ?」と錯覚することもあるくらいです。率直な感覚としては、コンサルというより仲間という感覚です。

このような同志的結合によって一緒に土台を固めていけば、経営者1人で旗振りするよりもスケールしやすくなりますし、社員を守ることにもつながります。サービスやプロダクトづくりと、組織づくりの両面で、コンサル支援はベンチャー企業に大きな効果をもたらしてくれると思います。

■この記事のまとめ

■記事のまとめ
1.「第2の創業」ともいえる事業の方向転換を推進するために「ラフールサーベイ」を軸とする事業モデルを定着させるとともに、事業展開や意思決定のスピードが向上。

2.事業展開が早く、経営層が考えるビジョンが常にアップデートされ、現場の実行が追いついていないこともあった。コンサルタントが間に入り、ビジョンを具体的な戦略・戦術に落とし、実行までサポートすることで事業スピードを上げることが出来た。


■この記事を書いたひと

保苅絢菜(ほかりあやな)
新卒からBtoB一本。負けず嫌いなLiB唯一のインハウスマーケター






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