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『モンスター組織』書籍全文公開-序章,CASE01-

【序章】

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2019年3月5日、リンクアンドモチベーション社が主催する「ベストモチベーションカンパニーアワード(組織改善ツール「モチベーションクラウド」による組織スコア上位企業の表彰)」の表彰式において、弊社代表の関が登壇している頃、私たちはほっと胸を撫で下ろしていた。

今年のGPTW社「働きがいのある会社ランキング」でもベストカンパニーに選出さ れ、openworkのスコアでも業界トップ水準を維持している。

年初の全社会議では、デ ィレクターとマネージャー合わせた昇格者が、「9人」という今までの水準では考えられない ほどの人数が発表され、大いに盛り上がった。

新卒採用は今まで5名前後にとどまっていたが、20年卒の新卒採用は例年水準の3倍となる15人の入社が予定されている。まだ道半ばとはいえ、この2年間の組織変革の道のりにたしかな手ごたえを感じていた。

今からちょうど2年前、リブ・コンサルティングは組織崩壊前夜にあった。当時の人事部長の口から退職の一言が出てきたとき、代表の関と私は天を仰いだ。

「まさか半年で辞めるとは……」その人事部長は、様々な企業で人事部長を歴任してきた人事のスペシャリストで、半年前に三顧の礼で迎え入れた矢先のことだった。

創業から5年、中堅・中小・ベンチャー企業向けのコンサルティングが時代のニーズとマッチし、会社は急成長の一途を辿り、社員数は一気に100名まで膨れ上がった。

このころから少しずつ変調を感じながらも、普段からクライアントに話している「100名の壁」という現実を受け入れることはできなかった。

創業当時から、組織成長への備えは行っていたはずだった。創業時から明確なミッションやビジョンを掲げ、1期目から新卒採用を行い、2期目からはミッション・ビジョン・バリューのプロジェクトを推進していた。

100名の壁はたしかにそこにあったのだが、社員が辞めても、「彼は元々うちの会社とはフィットしていなかったから」と認めることをせず、採用に苦戦しても「コンサル業界はどこも人手不足だから」と、どこか上の空だった。

しかし、嫌でも自覚をせざるを得なくなる出来事が次々と舞い込んでくる。幹部の離職、新卒社員の伸び悩み、OJT教育の形骸化。ベンチャー企業の中では圧倒的に組織領域に力を入れてきた会社と自負していたにもかかわらず、離職率は28パーセントと異常値をたたき出した。

創業当初から大切にしてきた新卒採用の是非が真剣に議論されるようになり、創業から新卒採用の責任者を担ってきた中核メンバーからも退職の相談をされる。

2016年10月の役員会で、翌年のマネージャー候補を当時の役員陣でホワイトボードに書き出そうとしたが、一人、二人と書いたところでペンが止まり、沈黙が流れた。

「何とかしないと会社がまわらない……」徐々に募る焦燥感に出した答えが、「人事のプロフェッショナル」に入社してもらおうということだった。

控え目に言っても「個性的」である自社の人事組織を、外部の力を借りながら一気に変えようとしたのだが、半年で暗礁に乗り上げることになる。

「自分たちの力で何とかするしかない……」担当役員としてバトンを引き受けたのは私だった。火中の栗を拾う形ではあったが、逆にこれ以上悪くなることはないだろうと高をくくっていた。そして、「絶対にいい組織にする」という覚悟を決めた。

会社は非連続成長の最中にあり、事業戦略と組織戦略がハレーションを起こしていた。ひずみが随所に見られ、一つを動かすと、一つが崩れるという、バランスゲームの「ジェンガ」のような状態だった。

本書のタイトル「モンスター組織」は、得体の知れない大きな存在の前に立ち尽くしていた、当時の私の心境を一言で表したものである。

人事部は刷新され、組織に対する危機意識の高いメンバーたちが配属された。新たな事業戦略に合わせて、それまでの人事組織戦略を全て見直していった。

「待っていても組織が崩れるのなら、むしろ意志を持って変化をさせよう」ということで、一気に組織変革に舵を切ることとなる。

組織に甘えや馴れ合いが生まれ、言い訳や愚痴が増えていた組織風土の中で、「勝つためのプロフェッショナル集団」という組織コンセプトを掲げ、挑戦心や主体者意識を促すような仕組みを構築していった。

採用制度、評価制度、教育制度といった目に見える改革を一気に推進していき、新しい組織の骨格ができあがっていった。

ここまで読まれて、本書はリブ・コンサルティングのサクセスストーリーがつらつらと書かれたものと思われたかもしれないが、自慢話がしたいわけでも自社PRをしたいわけでもまったくない。

自社の組織変革の過程で気づいた3つのことが本書執筆の理由である。

一つ目は、「犯人捜しは不毛である」ということ。組織が悪くなってくると、その要因を様々なところに向けたがる。その矢印は往々にして、特定の「人」や「グループ」に対するものである。

例えば、部下たちはマネージャーたちの指導力のなさや人望のなさを嘆き、マネージャーたちは部下たちの意識や能力の低さを問題視する。開発部門は営業部門の「御用聞き営業」に苛立ちを覚え、営業部門は開発部門の「融通のなさ」に呆れ返る。

うまくいかない理由を誰かに押し付けて、まるで鬼の首を取ったようにその対象を批判する。これが助長されていくと、組織はどんどん悪くなる。

私も当初、社内の批評家たちから様々な人間模様を聞かせてもらった。そのドラマは実に精巧で心を動かすものだった。が、それでも私の出した結論は「誰も悪くない」である。組織変革の大前提は、「誰も悪くない」であり、組織課題に戦犯はいないのである。

組織課題の原因は「人」や「集団」ではなく、その組織メカニズムによる認知のひずみである。見方を変えると、被害者だと思っていた人が実は加害者だったり、加害者だと思っていた人が実は被害者だったりする。

実際は社内に敵はいないのだが、意識の中で「組織」とう名のモンスターは勝手に自己増殖されていく。モンスター化した組織を正常化する唯一の方法は、組織のメカニズムを正していくことである。

二つ目は、「制度(ハード)で会社は変わらない」ということ。組織のメカニズムは、組織制度だけでなく組織心理(ソフト)に根差したものであるということ。

制度やツールは具体的で分かりやすい一方、組織心理は組織における安全性や信頼性といった目に見えづらいものである。従って組織変革はとかくハード面が強調されてしまうが、実際はその表面的な制度の下に根を張っている社員の心理状況の方が重要である。

例えば評価制度をよくしようと変えたとしても、組織の信頼関係ができていなければ「これは賃下げではないか」「ローパフォーマーを排除しようとしているのではないか」とむしろ悪循環になる。

自社のストーリーに戻るが、この2年間で人事諸制度を変えていったが、今振り返ってみても制度によって本質的に変わった部分はそれほど多くない。変わっていったのは組織心理(ソフト)である。

はじめに、組織変革を経営の重点方針に掲げ、リソースを割くことをコミットし、表明した。組織が変わっていくことの期待は、徐々に変わっている実感に変わり、やがて自ら変えていく喜びへとつながっていった。

事実、人事部が組織変革チームとして走ったのははじめの半年間だけで、そこからはどんどん組織変革の主体者が増えていった。

人事部に閉ざされていた人事組織戦略がオープンにされることで、不満を飲み込んでいた新卒社員が、日和見主義だったベテランが、チーム最適に走っていたマネージャーが、組織発展に向けた当事者になっていった。

元々、人事部の採用責任者と人事スタッフの2名だけで回していた新卒採用活動は、今や内定者を含め30人くらいが関わる一大イベントになっている。組織は自浄作用を取り戻し、組織のメカニズムは健全に回り出した。

三つ目は、「組織変革に万能薬はない」ということ。世の中には組織にまつわる様々なハウツーが溢れている。シリコンバレーの先進企業が新制度を導入すれば、すぐに「○○社が活用している人事制度」というようなバズワードが飛び交い、一時的な流行が形成される。

しばらくは盲目的に追従していった結果、3年後にはまるで何事もなかったかのようにまったく異なるトレンドに歩調を合わせるようなことが起きている。

フレームワークや成功事例は、もちろん理解を深め、整理をする上で有効である。が、組織の課題は静的なものでなく、動的なダイナミズムの中で生じている。従って、静的なフレームワークや固有の成功事例をそのままあてはめても組織は変えられない。

万能薬がない以上、千差万別に移り変わるコンテクストの中で最も効果的だと思われる処方箋を投与するしかない。実際リブ・コンサルティングの組織変革において、他社の成功事例やフレームワークをそのまま導入することはなかった。

様々な視点から自社の課題発見~解決をしたいと思ったので、外部のコンサルタントにも積極的に参画してもらったが、自社固有のコンテクストにこだわった。

「自分たちは何者で、どこに向かおうとしているのか」「その目的地のために何を大切にすべきで、何を変えるべきなのか」を徹底的に考えていった。

だからこそ、この2年間の組織変革にはオリジナリティがあり、多くの社員にとって自分事化しやすいストーリーになり得たのだと振り返る。

これら三点を踏まえた際に、私たちはいかにしてクライアントや社会にこの学びを還元すべきなのかを考えた。

すなわち、「犯人捜しをせずに」「制度による解決偏重にならずに」「組織変革の万能薬に頼らない」やり方で、組織を良くする方法を広く知らしめる方法論はないだろうかというのが、本書執筆の出発点だった。

これは実に難しい問いであり、書店やAmazonに溢れる組織のハウツー本と逆行するものであった。

私たちは、極めてオーソドックスな結論を出した。すなわち組織変革の成功率は、「症例数に比例する」である。

万能な処方箋があるのなら症例数が少なくとも名医になれるのかもしれない。が、万能薬がないという前提に立つのなら、病状の特定こそが重要である。

組織メカニズムが組織心理に根差し、組織の環境変化や対立構造も巻き込んだ高度なコンテクスト把握が必要なのであれば、なおさら症例数が名医になる上での条件になると考えた。

症例数を増やすためには、実際に組織に関する体験を積むことが一番である。そうはいっても、日本企業の組織変革に直面する機会は職業人生においてもなかなか起きることではない。

本書執筆の帰結点は、「組織変革の疑似体験を増やす」ということである。

本書では、モンスター組織化してしまった8社のリアルケースを通じて、日本企業が陥りがちな組織課題について疑似体験をできるようにまとめている。

前半の4ケースは成長企業、後半4ケースは成熟企業が経験する組織変革の落とし穴について、具体的に紹介している。

よりリアリティを感じてもらえるように、『モンスター組織 停滞・混沌・沈殿…8つの復活ストーリー』と題し、それぞれの企業を支援したコンサルタントたちが、様々な対立構造や組織に次々と降りかかってくる事象をそのまま残し、変革前の組織状況と対策アクション後の組織状況を鮮明に描いた。

実体験さながらにコンテクストを捉えた上で病状を特定し、処方箋を考え、変革のストーリーを追体験してもらうことが、次の組織変革の名医たちを増やすことだと信じ、本書を上梓することにした。

それでは早速、読者の皆様を「モンスター組織」にご案内することにしよう。

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【モンスター組織CASE01 フリーライダー増殖組織】

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▼登場人物
①創業社長:加藤修(31歳)

・大学時代はテニスサークルの幹事長で、1年間アメリカに留学経験あり
・話上手のアイディアマンで、人の気持ちを盛り上げるのが上手い
・サービス開発、ブランディング、資金調達は得意だが、組織づくりはどうも苦手
・マイクロマネジメントはやりたくないので、基本的に現場任せ
・「見えた。あとは任せた」が口癖
・事業拡大のためにとにかく人を増やす必要があると考えている
・離職率や組織風土の問題を指摘されるも、あまり深刻に受け止めていない(いくらでも代わりの人財はいるだろうと考えている)
・リスク志向性が高く、常に投資先行で事業を行っている
・上場して資産を築き、個人投資家になることが当面の目標

②事業部長:澤畑敦志(33歳)
・東大出身で前職は戦略コンサルファームでIT業界の支援をしていた
・成長著しい会社の中核を担えることに魅力を感じ、事業経験を積むために、前職から大幅に年収を落として入社
・現実主義者で着実に計画に落とし込んで実行していくタイプ
・事業の仮説検証をすることが事業部長としての楽しみ
・一方で組織は一人ひとりのやる気と主体性が大事という価値観で、社員との関係性もよく、社内事情に精通している

③20代~40代のフリーライダー社員(複数)
・何となく好条件に惹かれ入社したものの、やる気のないエンジニア社員
(20代男性)
・パフォーマンスが低い割に、福利厚生など諸制度の恩恵だけ上手く利用しようと考えている(それによって周りに疎まれている)事務社員(30代女性)
・経験者採用で入社し、自分だけが専門性があることをよいことに、周りの意見、要望を一切聞かず、マイペースで仕事をし続ける経理社員(40代男性)
・営業成績が低く、厳しく詰め寄ろうとすると、やれパワハラだ、理念と違うと騒ぎ立て、成果が上がらないのは組織のせいだと矢印を向ける営業社員(20代女性)

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―イントロダクション

幼児向けの通信教育事業(エドテック)で年々市場からの認知を高めてきた加藤エデュケーショナル。
社員数は120名を超え売上も億まで到達、創業8年目としては順調過ぎるくらいの成長を遂げていた。

特に教育×テクノロジーの事業分野は昨今の教育ブームを受け注目を集めており、同社も「教育をテクノロジーの力で変える」とのスローガンの下、資金調達も順調、投資家からの期待も一身に集め、上場を目指す。

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを見せつけていた。少なくとも外部からはそう認知されていた。

ところが内情はそれほど穏やかではなかった。注目度が高いだけに参入プレーヤーも多く、危機感を持ち始めていた経営者は投資先行で物事を進めていた。

手狭になったオフィスは渋谷の成長ベンチャーが集まる一等立地へ。

この機会を間違いなく捉えるべく人財採用にも積極的に費用を投じ、結果、固定費が上昇し、損益ラインへ到達するには相当ストレッチした高い売上目標を達成できなければ到底不可能なレベルに陥っていた。

それでも投資家向けに説明している野心的な事業計画を下方修正するわけにはいかない。ここに無理が生じていた。

実際、投資家向けに提示している事業計画からは1年ほど進捗が遅れていた。

足元も盤石ではない。社員は同社の成長可能性とトップの求心力に惹かれて入社するものの、早期に退職してしまう。

直近1年でも40名が入社したが30名が辞めている状況であった。知名度やストックオプション制度に期待を抱いて優秀な社員が集まっていた一方で、入社後に実態との乖離を感じて幻滅して退職をするのが一つのパターンになってしまっていた。

結果として、優秀な人ばかりに仕事の負荷が大きくのしかかり、そうした人が抜けていき、パフォーマンスの低い社員が逆に残ってしまう状況に。

フラットな組織が特徴で風通しはよいが、きちんとマネジメントできるマネージャーがおらず、ぬるい組織風土が蔓延していた。

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―変革前の加藤エデュケーショナル

◆創業社長の苛立ち
創業社長である加藤は苛立ちを感じていた。経済メディアや雑誌からインタピューの依頼も増えてきている。そこで会社の取り組みや将来の可能性について話していると、益々自分としても事業に対する確信が芽生えてくる。

にもかかわらず事業計画の未達成が続いている。皆から絶対にやり切ろうとする熱意を感じることができない。業績の面においても組織の面においてもどこか積み上がっていく実感がない。

「教育×テクノロジーの分野がますます盛り上がっていくのは間違いない。市場参入タイミングも悪くない。投資家の反応も上々。経営者である私の一番大事なことは、この事業の可能性をちゃんとピジョンに落とし込んで伝えていくことのはず。
それは毎日やっているにもかかわらず、幹部社員や現場の末端のスピードは一向に上がってこない。特に各部門に落とし込んでいくべき立場の経営企画、そして、各部門ライン長はもっとしつかりと考えないと……。私が言っていることに懐疑的なのだろうか、何でもかんでも初動が遅いように感じる。もっと檄を飛ばし続けないと……」

先程、澤畑部長から社員の退職の話を聞いた。今月で三人目だ。

将来的に会社を支えてくれる見込みの社員か否かでいえば問題はない。ただ将来の組織図を考えると、採用するもののほぽ同じペースで離退職もあるため、思うように社員が増えていかない。

とにかく今は事業拡大のチャンスなのだから、雇用条件を良くしてでもいいからとにかく人を採用しないといけないし、せっかく採ったのであれば定着してもらわないと困る。

◆少非現実的な社長と「フリーライダー」社員の板ばさみ
「これまた大きなことを言っちゃって……ちょっとぶち上げ過ぎでは?まだパートナー企業との調整も途上だというのに……」

事業部長である澤畑は加藤社長のインタピュー記事を閉じて、ため息交じりの言葉をつぶやいた。
澤畑は、学生時代に家庭教師や塾講師のアルバイトをする中で、日本の教育について問題意識を持つようになった。

新卒で入社したコンサルティングファームで経営の知見を吸収しながらも「いつかは教育業界へ」との夢を捨てきれず日々を過ごしていた。

そこで出会ったのが加藤社長だった。「この人となら、一緒に本当にやりたかったことを追求できるかも……」。

加藤社長の熱いビジョンに共鳴し鳴り物入りで同社メイン事業の責任者として入社したのが半年前。ところが、入社してすぐに目の当たりにしたのは、それ以前に社長から聞いていた実態と大きくかけ離れた現場だった。

もちろん業界の成長可能性は大きい。事業プランも悪くない。

ただあまりにも基盤となる経営リソースが不足している中、いつしか社長が顧客や社員の前で語っている夢が実態の伴っていないホラのように聞こえてしまう自分がいる。

将来計画が楽観的過ぎて、売上目標の設定がやたら高い。事業運営については丸ぶりで、事業部長クラスが兼務で何とかまわしている状況である。

本来は事業構造のブラッシュアップと売上目標の達成に集中したいところだが、実際は日々、社員たちの動機付けや不満解消のためのコミュニケーションで時間が過ぎ去ってしまうのが現実だ。

山本(20代・男性エンジニア)は入社して2年経ち、その入社歴からすると中核となるべき存在だが、未だに仕事は受け身。何となく好条件とトップの魅力に惹かれて入社しているものの本質的には成長意欲がそこまで高くない。

エンジニア職として、どんどん後から入社してくる後輩たちのリーダーとしての活躍を期待していたのだが、新メンバーも業務上の疑問点は直接私(澤畑部長)に言ってくる始末。いつまで経っても私の負担が減らない状況である。

高梨(20代・女性営業)は入社して1年経つが、営業成績が振るわない。にもかかわらず本人も危機意識は高くないようだ。一度厳しく詰め寄ろうとしたこともあったが、会社の商品・サービスに対する課題指摘をするばかりで、自分の能力を磨いて売上貢献しようとする方向性にエネルギーが向かわない。

まるで「成果が上がらないのは組織のせいだ」とでも言っているようだ。なぜ本人はそのことに気づかないのだろうか。まだまだベンチャー期の会社なのだから、商品・サービスに限らず100パーセント完璧な状態であるわけはないのだが。

このような社員たちが大多数なので、本当の意味でやる気があって優秀な社員は、トーンが合わずに早期に辞めてしまっているのが当社の実態だ。
現場マネージャーから社員(特に優秀人財)が定着しないことや、人手不足の悩みをよく聞いている社長からは「雇用条件を良くしてもよいからとにかく人を採用しろ」と言われた。

ただそれが結果としてパフォーマンスの低い、フリーライダーのような社員がはびこる原因になっていることに気づいてもらわねば……。

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―解決すべき課題と対策の方向性

◆対立構造の整理
壮大なビジョンを広げて人を惹きつけるが、足元の土台が伴っていない創業者。入社したもののモチベーションの上がらない社員たち。その中間で苦しむ経営幹部……。総じて急成長ベンチャーには起こりがち、あるいは、ビジョナリーで人を惹きつけるトップが率いる会社にはありがちな状況である。

理想を追い求め夢を魅せることは得意な社長が、社員からは「夢想家」「裸の王様」に見えてしまう。一方で社長は、事業責任者、実務担当者のスピード感や能力に不満を持っている。当の事業責任者、実務担当者からすれば、現実的で実現可能な施策を重視しているに過ぎない。

さらに、ブランド志向の社員ばかりが増え、自分のキャリアアップを優先しがちで、自己成長は求めるが献身意欲はそこまで高くない。いわゆるフリーライダーだ。そのため実務能力の高い社員に仕事が集中し、不満の種となっている。

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◆社長と経営幹部が一体化した経営チームづくり
加藤エデュケーショナルの問題点の第一は、創業社長と経営幹部の課題意識の溝である。加藤エデュケーショナルの場合、創業社長と、経営幹部がお互いに不満を抱いており、危機感や課題の優先順位に大きな溝が生じている。そのため、会社の今後を考えていく上でも、一枚岩となって進むことができていない。

従って、「創業社長と経営幹部の溝をいかにして埋めていくか」が課題となる。結局、社長がどのような青写真を描き、将来の計画を立てようと、それらを経営幹部と共有できていない間は、実現へと向けて動くことはできない。

そもそも加藤エデュケーショナルでは、社長の考えが伝わる、あるいは現場を知る経営幹部の考えが社長に伝わる、というコミュニケーションにも欠けているため、溝が深まりやすい。

この溝を解消する糸口としては、社長と経営幹部全員で、会社の将来のプランおよびその実現方法を落とし込む合宿を行うのも一つだろう。

「ライフウェイクシート」を使ってお互いのバックボーンや価値観を共有し合うことで、信頼関係が醸成される。そうして互いを鼓舞し合う関係になるとともに、課題を遠慮なく指摘し合えるような経営チームになることを目指す。

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また大事なのは、社長と経営幹部の時間軸の目線合わせをすることである。

社長は3年先、5年先を見据えて情報をキャッチし外部内部に発信をしている一方で、事業部長クラスは目先の課題に目を向けている。当然、両者の目線が異なるため、コミュニケーションは食い違ってしまう。

社長はしっかりと時間軸を現場目線に落として組織体制の構築および再編を図ることが求められる。それにより、これまで生じていた社内外のイメージと実態のギャップもまた解消されていくだろう。

◆人事機能の強化
第二の問題は、外から捉えられているイメージと内部の実態とのギャップである。

創業社長が華々しく外部に発信するイメージが、急成長ベンチャーとしての印象を高めている一方で、それに惹かれて入社してくる社員は、イメージと現実の乖離を知り幻滅する。それが高い離職率の一因となっている。

その根本原因にあるのが、採用戦略の欠如である。イメージ先行で採用を行うと、人は集めやすいかもしれないが、入社後に期待値とのギャップを生じさせ、定着しづらくなる。

どういうマインドやスキルを持った人財が、どのくらい必要なのか、またそうした人財をどのように採用し教育していくのか。そうした人事戦略を持ち合わせていないのが現状だ。

よって課題は、本当に必要とする人財を定義し、そうした人財の採用・定着化を図るための人事戦略の明確化である。そのために取り組むべきは、人事部を組織化し、採用方針を含めた人事制度全般の見直しを行うこと。ブランド志向の社員を見極め、事業コミットの高い社員を採用するようにすることだ。

起業フェーズから事業フェーズへの移行期には人事機能の強化を図り、組織づくりを行う必要があるが、加藤エデュケーショナルはそこが欠けている。

そこで、事業目標や事業特性とのつながりを意識して、将来の組織図を描き、ポストに見合う採用計画の立案および実行、育成計画の立案および実行、そもそも必要とする人財要件の明確化に取り組む。

注意すべき点は、ビジョナリーで理想を語るタイプの社長は採用活動における「価値付け」は得意とするが、「見極め」は決して上手ではない。そのため、評価するべき項目(例えば会社のバリューやコンピテンシー)を、どう浸透させるかの腐心も大事だが、それ以上に「それらを保有している人財の採用」を促すような採用基準のつくり込みや見直しが重要となる。

自社が求める人財要件を明確にした上で、採用時にはそれを満たす人財であるか否かを見極めるためのキラークエスチョン/オリジナルクエスチョンを入れるべきである。

それらを「育成」や「評価」の項目にも反映していくことで人財戦略は徐々に明確になり確固たるものになっていくはずだ。

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―変革への取り組みフェーズ1:幹部合宿の実施

◆創業社長と経営幹部の間で蓄積する不満
「一体、どうしてこんなに辞めていってしまうんだ?何とかならなかったのか?」

社長の加藤は、澤畑部長から今月に入って三人目の社員の退職の報告を受けた。だが加藤の悩みを知らないかのように、澤畑は「どうにもなりませんね」とそつけなく答えを返してきた。

澤畑は内心、「社長が採用時に、求職者を口説くためにあまりにも壮大な夢を語ることも退職の一因だ」と考えていた。

末端社員の動機付けに奔走する日々に疲れ果てていたこともあり、そんな疲労や不満が口調に出るのを抑えられなかった。

その報告の口調の刺々しさを、加藤は敏感に感じ取り、つい声を荒らげて言った。

「経営者として、私は自分がやるべきことに注力しているつもりです。私の一番大事なことはこの事業の可能性をちゃんとビジョンに落とし込んで伝えていくことであり、社内的にもそれをやっているし、対外的にも雑誌のインタビューやメディアリレーションを通じて日々取り組んでいます。幹部陣に期待したいのは、それを形にして落とし込んでいくこと。でもそのスピードは一向に上がっていないと思うんですよね」

「……分かりました。もっと頑張ります」

澤畑も、社長が日々密闘していることはよく分かっているだけに、喉元まで出かかっているいくつもの言いたいことを押し殺して答えた。そうして言いたいことを言えずに終わった報告は、微妙な雰囲気を残したままで済まされる結果となった。

◆幹部合宿実施を決断
「どうして伝わらないんだろう……」

社長の加藤は、澤畑部長に対し、今まで以上にダイレクトに不満と期待事項を伝えたつもりだ。だが、澤畑は「頑張ります」と言いつつ、納得がいっていない様子に見えた。

一体なぜ食い違ってしまうのか。決して低くない目標に対して日々幹部陣が頑張ってくれていることは分かる一方で、やはり自分が言った通りスピード感は足りない。どうすればよいものか。

加藤は答えが見つからず、勝手ながらメンターとして尊敬している先輩経営者と会い、相談することにした。すると先輩は「やってみたら?」とさりげなくアドバイスしつつ、自社で実施している試みの話をしてくれた。それは定期的な幹部合宿たった。

「よし、うちでもやってみるか」

加藤は決意し、開いてみることにした。

◆幹部合宿実施に戸惑い
加藤は、合宿の前に、「ライフウェイクシート」を準備するように伝えた。ライフウェイクシートは、社会人生活だけではなく幼少時や学生時代の経験も含めて、「嬉しかったこと」「悲しかったこと」など、人生のモチベーションの上がり下がりを一本の線でつないだものだ。

「社長もどこで思いついたのやら……」

合宿の話を聞いたとき、澤畑は、また社長の壮大なビジョンをただ聞かされるのかと思い、正直面倒くさい気持ちが生じたし、ライフウェイクシートの準備を、と聞いて、時間を取られることに対し、なおさら憂鬱な気分にもなった。

だが、いざ取り組んでみると、意外に作業がスムーズに進むのに気づいた。「就職活動時以来、こんなことは考えてこなかったが、いざ書き始めてみるとなかなか面白い」と思った。

迎えた合宿当日。まず合宿において実施したのは、経営幹部陣のライフウェイクを共有することだった。

「今いろいろと会社内部で生じている問題点について話をする方がよほど生産的だし、必要性が高いのでは?」と澤畑は思った。それは他の幹部も同様のようだったが、半信半疑のまま実施された。

◆ライフウェイクの共有で知った気づき
はじめに、澤畑部長が自身のライフウェイクを共有していくことになった。

「学生時代に家庭教師や塾講師のアルバイトをする中で、日本の教育について問題意識を持つようになったこと」「東大出身で前職は戦略コンサルファームでIT業界の支援をしていたこと」「成長著しい会社の中核を担えることに魅力を感じ入社したこと」「事業経験を積むために、前職から大幅に年収を落として入社していること」などが共有されていく。

社長の加藤は、澤畑の話を聴きながら心がざわめいていた。学生時代の家庭教師・塾講師をする中で、澤畑部長が感じていた教育に対する問題意識は自分と一緒だ。

特に「何だかんだ今の日本の教育においては経済格差があり、裕福な家庭とそうでない家庭との間で提供されている教育機会の格差があって、それを少しでも解消したい!」という熱い気持ちは大いに共感するところがあった。

正直、澤畑のこの話は聴いたことがなかったから、自分の身近で働いていたメンバーが内なる情熱を持っていることに驚いた。と同時に普段、業務上の話をするばかりで「どんな気持ちで働いているのか」については、入社以来聴く機会がなかったことを後悔していた。

「なかなか日々走り続ける中で話をじっくり聴く機会なんて取ってこなかったが、もっと耳を傾けるような時間を取れていたら、先日のような妙な雰囲気になるようなこともなかったのかもな……」

次に、社長の加藤が自身のライフウェイクを共有していく。

「大学時代はテニスサークルの幹事長だったこと」「しかしサークルメンバーと対立して、チームを上手くまとめきれなかった苦い失敗体験があったこと」「1年間アメリカに留学経験があり日本とアメリカの教育の違いについて問題意識を感じ、それが起業のきっかけにもつながったこと」「上場して資産を築き、個人投資家になることが当面の目標であること」

澤畑は社長の話を聴きながら、やはり驚いていた。威勢のいい話は今まで聴いてきたが、大学時代の苦労話は聴いたことがなかった。発想力に優れアイディアマンでもある社長は、サービス開発や資金調達など攻めの部分は非常に得意な一方で、組織づくりなど守りの部分については苦手意識があること。

当時の失敗経験もあり、マイクロマネジメントに対する嫌悪感から基本現場任せになっていることなど、現在の社長がなぜ今のようなスタイルになっているのか、その理由がよく分かった気がした。

「自分は、経営者は何でもできる人でないといけないという思い込みから、できていないところがあると不平不満につなげてしまっていただけなのでは」と、澤畑にも後悔が生まれた。

また、改めて社長がこのビジネスにどういう想いを賭けているのか、「教育をテクノロジーの力で変える」というビジョンの鮮明なイメージが湧いてきた。

「そうだった、入社当時に社長のこの事業に賭ける想いを聞いて共鳴するところがあったんだった……」「会社がある程度の役割を任せてくれているからには、もっと自分の方から会社の目指している方向性やトップの本音について、聞きに行くべきだったのかもしれない……」

◆根源的な想いの共有で生まれた共通理解と気づき
社長や幹部の間で、根源的な想いの部分を深く共有できてからは話は早かった。元々この事業に対する使命感や達成したい実現イメージは豊富に持っている幹部陣だけに、互いのイメージをぶつけ合うことで様々な施策アイディアも飛び交った。議論は尽きなかった。

「想いは手法の上流にあり」、ただし、その想いが幹部陣で共有されたり、十分な時間を取ってじっくりと吟味されてこそ、その想いを実現する施策や手法が出てくるのだった。

互いのビジョンや達成したい事業目標、施策アイディアを共有する中で、いくつか浮き彫りになったことがあった。

その一つは経営者と幹部の見ている時間軸の違いだった。流石に社長は創業以来常にトップを走って先導してきただけあり、中長期的な視野を持って経営を行っている。業界に対する視野も5年・年単位で見据えており、日頃からの言動や社員に対して求めるスピード感もその危機感から発生するものであった。

一方で澤畑部長は、ライフウェイクを共有する中で、社長から投げ掛けられた質問への回答に窮してしまう場面が多々あった。

「教育業界の5年後はどうなっていると思う?」「そのときにどのような強みを兼ね備えた企業が勝つと思う?」

社長は常に3年先、5年先を見据えて情報をキャッチし外部内部に発信をしている。一方で、どうしても現場マネジメントに日々苦心していると事業部長クラスは半年先、1年先の目線に落ちていってしまう。

当然、両者の目線が異なるためコミュニケーションは食い違ってしまうことに、お互いに気づかされた。

もう一つは、幹部陣が一枚岩になる重要性であった。前述の通り事業に掛ける想いや業界に感じている問題意識は、皆のライフウェイクにより共通していることがよく分かった。

ただ、人には得意・不得意がある。それは社長とて例外ではなく、現に「組織づくりに実は苦手意識がある」という本音を吐露してもらったし、逆に澤畑部長は社長のような先見性や卓越したアイディアを持ち合わせているわけではない。

誰しもが自分だけの強みを持っているが、何でもできるスーパースター集団ではない。チームであることの意味は組織として強みを結集させることで弱みの無効化をすること。だからこそ経営チームは一枚岩である必要があり、また、そのためには一人ひとりの幹部が、それぞれの幹部に対する期待事項を明確にしておく必要がある。

今回の合宿を通じて日常に忙殺されるとそれぞれが見失いがちなものでもあることを、互いに理解し合うことができた。

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―変革への取り組みフェーズ2:人事機能の強化

◆深まる議論の中で人事面も積極的に話し合う
大事なことに気ついた幹部陣は、なおもエクストラの議論を続けた。改めて将来目標から逆算した幹部のフォーメーションを明確化することに気ついたのだった。

「私は正直、自分の部門のマネジメントで手一杯の状況が続いています。ただ、現場の最前線で働いているからこそ分かるのですが、当社がもう一段階次の成長ステージに行くためには、人事面の問題を解決しないことには始まらないと思っています。正直、人事領域の人財が手薄です。本来ならば採用のやり方も育成の仕方も見直さなければ、今のように1年間で40人の人財が入社するが、同じ程度の人数が退職をしてしまうような状況は変わらないと思っています」

「社長のトップセールスで、どんどん意欲に溢れる人が面接を受けに来てくれる状況はとてもいいと思っています。ただ、会社の魅力を伝え入社への意欲を駆り立てる一方で、しっかりと入社した後に会社に対して貢献しうるようなスキルとマインドに溢れた人財が増えないといけないと思っています」

「例えば山本(20代・男性エンジニア)は入社して2年経ちますが、未だに仕事は受け身です。当社に魅力を感じてくれているものの、本質的には成長意欲がそこまで高くない。いつまで経っても私の負担は減らない状況です。しかし、彼の成長意欲や主体性などのマインドセットや、2年間で積み上げたスキルセットを評価する物差しがないことによって、変に居心地よくしてしまっているところがあるように思います。誤解を恐れず言うと、彼のような甘えのある社員がもっと居心地の悪い会社にしていかないといけないと思います」

「例えば高梨(20代・女性営業)も入社して1年経ちますが、営業の成績が振るわない状況です。にもかかわらず本人も危機意識は高くないようで。一度厳しく詰め寄ろうとしたこともあったのですが、会社の商品・サーピスに対する課題指摘をするばかりで、自分の能力を磨いて売上貢献しようとする方向性にエネルギーが向かわないのです」

「私たちが、本当にこの会社を自分たちが思い描くビジョンの通りスケールさせようと思うならば、もっと人財要件の定義を明確に行って、採用段階から育成施策まで一貫したものにしていかなければ、会社の未来が危ういのではないかと思うのです」

社長に向けて澤畑をはじめ幹部から、人事面や人財に関する率直な意見がいくつも飛び出した。それを加藤はしっかりと受け止め、耳を傾けた。共通理解が生まれ、溝が埋められていたからこそできたコミュニケーションだった。

◆澤畑をコンバートし人財・人事面を強化
あの合宿以来、幹部のフォーメーションをより現実的なものにするべく社長は幹部陣とも議論を重ねて―つの意思決定を行った。

ラインの―つの部門の責任者であった澤畑部長を人事部の部長として据えて、後任の事業責任者は新たに探すことにしたのである。澤畑部長は、同社が次の成長ステージへいくための人財戦略の策定と人事部の組織化に着手する役割を担う形になった。

いきなり全てが上手くいくわけでは決してないだろう。ただ、事業責任者として日々人の問題に悩まされてきたので、一体何が課題でどの方向性に修正をしていけばいいのか、澤畑はよく分かっているつもりだ。

例えば、「社長は求職者への価値付けは得意だが、選考のスペシャリストではない」ということ。それを踏まえて従来の面接フローにおいて、最終社長面接の前に「見極め」が適切になされるようなフローの変更を行っていくことは必須だ。

また、これを機に活躍している模範社員のコンピテンシーの特性分析も行い、それに基づく採用基準の設定を進めていく。そうすることで人財を受け入れた後の立ち上がりが、各ライン部門でよりスムーズになるだろう。

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―終わりに

加藤エデュケーショナルの変革においては、幹部合宿を実施し、社長と幹部の間にある心理的な溝を埋めるために、共通の理解を育んだことが全てのきっかけであった。

このように、創業者たる絶対的な立場の社長と幹部が、率直に語り合える機会を設けてコミュニケーションを発展させていくことは有効である。ただし、こうしたステップを踏む際には、加藤エデュケーショナルの事例を踏まえ、以下のような点に気をつけることが大切となる。

①急成長企業において理想と現実のギャップは必ず起きることを理解する

加藤エデュケーショナルのように、創業社長が起こしたベンチャーの場合、どうしても会社の将来を見通す時間軸において、社長と幹部のギャップができることを自覚すると、溝を埋めやすくなる。また、知名度先行によりアウターとインナーのブランド格差が広がっていることも知るべきである。それらを知った上で、今はどちらを優先すべきか、どちら側に現実を近づけていくべきか、を選択するのが良い。

②ライフウェイクシートの重要性

一見、自身の過去を振り返るのは面倒であっても、その重要性を認知させるようにし、全員が真剣にしっかりと作成することで、本来の想いを自分自身も把握できるようになり、さらに互いの共通の理解につながる。お互いのバックボーンや価値観、仕事に対する想いを知ることは、信頼関係構築の第一歩となる。

③組織体制の見直しにつなげる

溝を埋めることができたら、次は具体的に組織戦略も明確化するところまで話を進めることだ。加藤エデュケーショナルは「起業家フェーズ」から「事業家フェーズ」へと上手く移行できなかったことが、多くの問題を生んでいた。それぞれの事業フェーズに合った組織体制があり、事業成長とともに組織体制も変化していかなければならない。
企業文化が成熟しないままの事業拡大は、やがて行き詰まるだろう。


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■今後の配信予定日

ゴールデンウイーク期間中に毎日更新いたします!ぜひご覧ください!
CASE02/CASE03 2020年5月3日(日)am7:00
 -02 低体温デジタル組織
 -03 大量採用・大量退職組織
CASE04/CASE05 2020年5月4日(月)am7:00
 -04 ワンマン社長の独り相撲組織
 -05 MBA新社長の戦略独走組織
CASE06/CASE07 2020年5月5日(火)am7:00
 -06 肥大化する事業部制組織
 -07 ロストアイデンティティ組織
CASE08/終章 2020年5月6日(水)am7:00 
 -08 業績第一パワハラ組織
 -終章 おわりに
もっとスキになってもらえるよう頑張ります!
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