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ChatGPT活用大全~生成AIをビジネスの課題解決のための「武器」にするには~

こんにちは!CROHackです!

近年、ニュースで取り上げられることも多くなった生成AI。
最近では、ビジネスへの活用も進みつつあります。
しかし、まだ新しい領域のためユースケースもはっきりしておらず、生成AIやChatGPTについては、話には聞いたことあるし触ったこともあるけど、結局どうビジネスに使えばいいのかわからない…という方も多いのではないでしょうか?

今回は、ビジネスの課題解決という焦点に絞り、
「ChatGPTやそのほかの生成AIはどう使えるのか?」
「具体的に、どんな活用方法・施策になってくるのか?」
について、実際の活用事例とともに解説していきます!

生成AIを用いた事業開発については、こちらの記事で詳しく記載しておりますので、あわせてぜご一読ください!



ChatGPTの生成AI領域について

ChatGPTは、従来のAI活用の比ではないくらい大量の情報を学習した大規模な自然言語を処理するAIです。
その規模の大きさが故に、非常に人間の思考に近い形でやり取りができます。
従来のAIでは、きっちりデータを整理する必要があり、「この形でないと受け付けない」という制約があり運用に大きなハードルがありました。
しかし、ChatGPTは自然言語で問い合わせをしたら自然言語で返してくれるという、従来のAIにはない革新的な特徴を持っています。

ChatGPTのおかげもあり、生成AIの市場規模は将来的に180兆円規模まで膨れ上がると予想されています。
その中でもChatGPTを開発・提供しているOpenAI社が抜きんでており、2023年5月の売り上げは290億ドルにも上ります。
OpenAI社のChatGPTがこの市場をけん引している現状は、今後もしばらく続くことが予想されます。


ChatGPTでできること

具体的にChatGPTでできることは、非常に多岐にわたります。

ChatGPTで処理できる範囲は非常に多岐にわたる

画像はあくまで一例ですが、文章の要約や生成、アイデアの生成などこれまで人が時間をかけてやってきた作業を大幅に削減しうる機能を有していることがわかります。

当然ながら、これらの機能がビジネスで活用されれば、企業や事業の可能性は無限に広がることになります。

ChatGPTがビジネスに与えうる影響の大きさは計り知れない

次項では、株式会社クレスコ・江澤美保氏、株式会社Carnot・松森匠哉氏、国立研究開発法人産業技術総合研究所・木佐森慶一氏の3名にご協力いただき、実際にChatGPTをビジネスで活用している事例を3つご紹介します。


ユースケースの紹介①~ECサイトのレビュー分析~

導入前の課題感

ECサイトの中で、ユーザーレビューはコンテンツとして非常に重要かつ有力なものなので、レビューを書く機能は様々なECサイトに備えられており、
レビューを増やすような工夫もなされています。

しかし、レビューがコンテンツとして力を発揮してはいるものの、それを分析には使えていないという悩みを抱えているECサイトは沢山存在します。
具体的には、データからインサイトを得るにはデータのクレンジングやテキストの前処理、実際の分析などいろいろなステップを踏む必要があります。
しかし、これをできる人はいないし時間もない、いろいろな商品を扱っているのでどんな手法を使えばよいのかもわからない、という悩みです。
ここも、ChatGPTであれば解決できます。

どう解決するのか

このケースでは、ChatGPTを裏側で使ったシステムを利用し、レビューから得たい情報を瞬時に抽出できるようにしています。

レビューを張り付けると欲しい情報が自動で抽出される仕組み

具体的には、分析の目的や今回の分析でレビューから得たい情報を事前に設定したうえで商品のレビューをそのまま張り付けると、その中から該当する情報を自動で抽出してくれるようになっています。
上の画像では、右にナンバリングされた欲しい情報が設定されており、右上のボックスにレビューを張り付けたところ、1.2.4.10.11についての情報が得られた、ということになります。

複数のレビューからの抽出とサマリーの作成

また、先ほどの例は一つのレビューからデータを抽出していますが、複数のまとまったレビューを張り付けても、同時に同じような処理を行うことができます。
さらに、複数のレビューから全体としてどんな評価が寄せられているのか、という評価のサマリーを作成することもできます。

何が変わったのか

今回のケースでは、ChatGPTの活用により、欲しい情報をレビューの中から適切に抜き出し、重複のないようにサマリーにする、という時間のかかる作業が10秒~20秒程度でできるようになりました。
また、これまでは実際の分析はデータサイエンティストに依頼する必要がありましたが、ChatGPTの活用により分析のノウハウ・スキルがある人がいなくともある程度は実行できるようになっています。

商品数が1万点、10万点と増えていっても機械的に処理できるので、今まで活用できていなかった膨大なデータを誰でも分析し商品開発に生かせるようになりました。

ユースケースの紹介②
~ワークフローの自動化~

導入前の課題感

日頃から使っているZOOMやSlack、Gmail等のSaaSは、今や仕事をする上で不可欠なツールになりつつあります。
しかし同時に、その数自体が増えてきており、必要な情報が様々なSaaS上に点在しており管理がしづらいという問題も起き始めています。

株式会社Carnotでは、これら個々のSaaSでの業務をつなぎ合わせるツールとしてのワークフロー自動化ツールを作り、サービスとして提供しています。
仕組みとしては、情報を入力するインプットのモジュールと指示を入力するプロンプトモジュールがあり、それらをつなぎ合わせることで処理を実行させるという仕組みになっています。

どう解決するのか

例えば、会社に来た問い合わせについて、どこの会社の誰からの問い合わせか、を手入力で管理しようとすると時間も手間もかかってしまいます。

来たメールを自動的に分類するようにプロンプトを組んだ例

そこで、こちらのツールの出番です。
このケースでは、名前を抽出するモジュールと会社名を抽出するモジュールを用意し、メールを受け取るインプットのモジュールとつないでおきます。
そうすると、インプットのモジュールにメールが来た際に、自動的に名前と会社名を抽出することができます。
このように、コードを入力することなく直感的な操作でワークフローを自動化することができ、作業が大幅に効率化されます。

今後目指している「チャット形式でのワークフローの自動生成」

また、代表取締役の松森氏は、今後実現したいこととして「言葉からワークフローを自動生成できるようにしたい」と述べています。
例えば、メールが届いたらそのメールの要約をSlackに投げるよう言葉で指示するなど、チャット形式でワークフローを自動生成するツールを想定し、開発を進めているといいます。

何が変わったのか

これまでは、AIによる自動化をビジネスのプロセスに落とし込もうとすると、途中で複雑な関数や文字を抽出する機構が必要になっていました。
ここが、ChatGPTなどの自然言語AIによってある程度解消されています。

また、「〇〇してください」というゴールを与えた時に、そのゴールに対して自動で適切な関数を組み合わせるということもできるようになっているといいます。
これからは、人間が細かい指示を与えなくてもツールを作ってくれるレベルまで到達することが予想されます。

ユースケースの紹介③
~経営の自動分析~

導入前の課題感

中小企業の経営者の中には、実は「本当に経営が得意」という方はあまり多くありません。
産業技術総合研究所・木佐森慶一氏も、研究職から経営者に挑戦し苦戦した中小企業の経営者のうちの一人だといいます。
そこで、「プロの知識がなくても経営ができるようにしたい」と考え、木佐森氏がChatGPTを活用して開発したツールがこちらです。

どう解決するのか

今回のケースでは、書店の経営を想定しています。

分析方法の出力から自動で実行する

ここでは、書店の経営に関する在庫や売上といったデータはすべて提示していますが、分析方法については指示していないのが大きな特徴です。
最上段で「分析方法を出力してください」と指示している通り、様々なデータを拾ってきて、自動で分析方法を導き出し、実行しています。

「AI同士の会話」の活用により、自動的に精緻な深掘りが行われる

また、こちらのケースで特徴的なのは、仮想空間内にエージェントが2人いるような状況を作り、AI同士で議論させ、深ぼらせている点です。
「こういう数字を出しましょう」「それをこう並べてみましょう」と、AI同士で議論しながら一段階ずつ分析方法を深ぼっていき、そこに対して必要なデータをデータベースから取ってくる、という形で処理を実行しています。

何が変わったのか

データがあり、分析をしたいとなっても、何を分析したらよいかわからないという場合が多く存在します。
そんな中で、既存のデータから分析の目的を与えずとも勝手に分析を始めてくれるのが今回の一番のポイントです。
分析方法すらわからない状態に対して、アイデア出しから行い、しかも複数のアイデアを出してイテレーティブに(繰り返し)分析方法を自動的に深掘り、実行までしてくれています。

「会社の経営」という複雑な問題に対しても0から分析方法を考えさせることができるという事実は、生成AIの驚異的な進化の象徴と言えます。


ChatGPTの最新機能「Code Interpreter」とは?

Code Interpreterとは、データと指示を与えた際に、プログラミングによる処理が必要と判断した場合、裏側で指示をPythonに変換して実行してくれるChatGPTの新機能です。
分析のゴールについては詳細な指示を出す必要がありますが、分析の手法については自動で解析し、コードを書き、実行してくれます。

自然言語での指示に対し、自動的にコードが生成される

分析に用いたプログラムコードと処理内容の解説までしてくれ、いうなればプログラミングがわからない人でもプログラミングで分析ができるようになるのです。

また本機能で特徴的なのは、CSVデータやPDFといったファイルの形式で直接投げ、そのまま分析や要約といった処理を行わせることができる点です。
例えば、論文データをPDFのままインプットし、イントロダクションの要約や実験の章だけを抽出して要約させる、といった処理も可能です。
この機能を使いこなすことができれば、これまで時間がかかっていた多くの作業の時間を間違いなく大幅に削減できます。

Code Interpreterについては、こちらの記事で詳細に解説されています!


自然言語以外(ChatGPT以外)の生成AIは使えるのか?

ChatGPT以外の生成AIの例としては、画像生成AIや音声生成AI、動画編集に特化したAIなどが挙げられます。
中でも、画像生成AIはMidjourney(ミッドジャーニー)などが最近話題になっていたため、興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。

画像生成AIは、いわゆるピクセルにドットが載っているような画像を作成することについては得意領域です。
そのため、広告の背景画像等、クリエイティブの方向では使える部分もあると言えます。

Midjourneyについてはこちらの記事で詳細に解説されています!

ただし、「画像のここだけ長さを変えたい」といった細かい要求については一筋縄ではいかず、まだまだ工夫が必要です。
また、企業ごとのロゴやブランドフィロソフィー、絵のテイストを反映させた上でクリエイティブを作る、など自由度の高い処理はまだまだ対応できる範囲に限界があるのが現状です。

今後、意図したものを意図した通りにコントロールしてアウトプットできるようになれば、画像生成をはじめとするその他の生成AIについても、よりビジネスでの活用の幅は広がってくることが予想されます。


ChatGPTの実務での活用の進め方について

ここでは、ChatGPTを実務で活用する際に抑えておくべきポイントを大きく3つご紹介します。

セキュリティについて

公式のChatGPTは、上げられたデータを学習に使ってしまうため、機密情報を容易に上げないよう十分な注意が必要です。
対策としては、一度ダミーのデータをアップロードして分析させ、そのコードだけローカルに持ってきてリアルデータを使う、などの方法があります。
分析結果に対して「コードとして出力して」と指示を出すとコードのファイルが出力されるので、それを自分たちのセキュアな環境において使うことができます。
あるいは、こういった作業を介することなく直接分析をさせたければ、その環境を自社で構築しなければいけません。

また、社内で使う際も、誰が使ったのかを把握できる状況が望ましいです。
そのため、IDで認証をかけ「誰が」「いつ」「どんなやり取りをしたのか」がわかるようにしておくことを推奨します。

このように使ったログを残して分析することで、「どの部署でどれくらい活用されているのか」「どういうところで使われているのか」をベースに、自社のビジネスや新しいサービス開発にも利用する流れが一般的になってきています。

費用について

ChatGPTは、機能に比して安価に使うことができるサービスです。

例えば、従業員1000人の企業で自由に使えるようにした時、アクティブユーザー数はおおよそ200~300人になり、この場合、OpenAIサービスの利用料だけでいえばだいたい月3~5万円程度で利用することができます。

これだけの機能を備えて月に数万円程度で済むのであれば、かなりコストパフォーマンスの良いサービスであると言えます。
ただし、あくまでサービスの利用料のみの話であり、社内の様々なデータとのAPI連携には、連携サービスの利用料や、開発コストがかかることもあります。
とはいえ、かなりの費用対効果が見込めることは間違いありません。

活用するうえでの体制上の工夫について

いざChatGPTを社内で導入してもなかなか浸透せず、結果効果的に使える人がほとんどいない…という悩みを持たれる企業も多いようです。

そういった状況に陥らないようにするためには、活用事例をつくり、実際の利用イメージを広めていく流れが最も効果的といえます。
たとえば、部門の中で1人よくChatGPTを使う人に目をつけ、実務の中でのベストプラクティスのティップスを集めて誰にでも見えるようにしておく、
あるいは、定期的に「ChatGPT自慢」のようなイベントを開き成功事例を共有する会を作る、などの取り組みが挙げられます。

ChatGPTが社内で広く使われるようになるには、社員がどんどん試してみた結果としていろいろなユースケースが生まれ、盛り上がり、ムーブメント化していく流れが重要です。


まとめ

ChatGPTやその他さまざまな生成AIは、使いこなせれば誰がどう見ても良い結果を生むツールであり、使わない手はないと言えるでしょう。

ただし、決してなんでもできる魔法の道具ではないという点は理解しておく必要があります。
特にビジネスケースにおいては、何が得意で何が不得意なのか、を探索しながら使い道を探していくことが大切です。

どこでどう使えるのか?と試行錯誤を繰り返し、楽しみながら可能性を広げつつ自社にとってベストな活用方法を見つけていただくのが理想の活用形と言えます。

本記事をお読みになり、少しでもChatGPT活用のインスピレーションを得ていただけていれば幸いです!

(※本記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています)


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